遅延損害金はいくらになる?計算シミュレーションや発生リスク・対処法を紹介
「遅延損害金はいくらかかるのだろう?」
「そもそも遅延損害金はなぜ発生するの?」
遅延損害金とは、返済期日を過ぎても支払いを行わなかった場合の賠償損害金のことです。
一般的に支払金額に対して年利が定められており、クレジットカード会社やカードローン会社などの債権者によって異なります。
本記事では、遅延損害金がいくらになるか計算する方法や発生した時の対処法について解説します。
1.遅延損害金とは
遅延損害金とは、返済期日を過ぎても支払いを行わなかった場合の賠償損害金のことです。
クレジットカードやローンだけでなく、家賃や携帯などの毎月の支払いが遅れた時にも、遅延損害金は適用されます。
遅延損害金は延滞利息や遅延利息とも呼ばれますが、利息とは別物です。
利息は返済日までに発生する一方で、遅延損害金は返済日翌日以降に発生します。
つまり、期限までに支払わなかった場合、元金や利息と一緒に遅延損害金も支払義務が課されるのです。
遅延損害金は、返済期日の翌日から支払いを行う日まで加算され続けます。
支払いが遅れるほど支払総額は高額になるので、早めに返済しましょう。
なかには、何年も前の借金や支払いが残っていると「一体いくら支払うことになるのか」と不安になっている方もいるかもしれません。
5年以上前の借入れや債権者から催促を受けていない場合、消滅時効を主張して免除できるケースがわずかながらあります。
消滅時効とは、一定期間行使されなかった権利を消滅させる制度のことです。
民法166条により、以下の条件のどちらかを満たせば消滅時効を主張できます。
- 債権者が権利を使えると知った時から5年間なにもしなかった時
- 権利を使える時から10年間なにもしない時
ただし、以下の働きかけや当事者の行動があると「なにもしなかった時」にあてはまりません。
- 支払督促の電話や督促状の送付
- 仮差押えや差押え
- 借金をしている本人が認める
クレジットカード会社やローンを提供する金融機関で5年間支払催促をしていないケースは非常にまれなので、消滅時効による債権者の権利の消滅を期待しすぎないようにしましょう。
2.遅延損害金の計算シミュレーション
個人でも遅延損害金がいくらになるのか計算することができます。
遅延損害金の計算方法は以下のとおりです。
- 遅延損害金=元金× 遅延損害金利率(年利) ÷365日(うるう年だと366)×延滞日数
元金とは、借入総額のことでなく滞納した金額のことです。
基本的に、遅延損害金の利率は契約書に記載されているので確認しましょう。
なお、遅延損害金の利率には2種類あり、利率は債権者ごとに異なります。
- 法定利率…法律で定められた利率
- 約定利率…当事者間で契約した利率
当事者間で遅延損害金の利率を定めていなかった場合には法定利息が課され、現在は年率3%です。
当事者間で遅延損害金の利率を定めているなら、約定利率が優先されます。
利息制限法により遅延損害金の上限利率は決まっており、利息の上限利率の1.46倍までとされています。
もっとも、営業的金銭消費貸借状の債務といって、いわゆるクレジットカード会社やカードローン会社からの借入れについては、上限利率は20%とされています。
元金により上限利息は変わるので、一概に遅延損害金の上限はいくらまでと断言できません。
ただし、年率30%を超えるなら違法の可能性があるので、専門知識のある方に相談しましょう。
3.遅延損害金の発生による3つのデメリット
遅延損害金のデメリットは、高額な支払いを迫られるだけではありません。
支払いを長期間怠ると社会的な信用を失うため、日常生活に支障をきたす機会が増えます。
また、度重なる督促を無視していれば、差押えなどによって財産を失うリスクもあります。
遅延損害金を含む支払を先延ばしにしたことで起こる3つのデメリットを確認しましょう。
(1)信用情報に影響が出る
度重なる遅延損害金の発生によって信用情報に影響が出るため、以下のようなことが起こる可能性があります。
- クレジットカードの更新拒否
- クレジットカードの新規作成拒否
- 住宅ローンやスマホローンなど各種ローンの審査否決
信用情報機関に延滞情報が記録されれば、クレジットカード会社や金融機関から「支払能力に疑念あり」と判断されてしまいます。
そのため、カード会社やローン会社での審査が通らず、日常生活に影響をおよぼすこともあるのです。
(2)裁判のリスクがある
督促の電話や書面を放置して支払を滞納していると、債権者から裁判所へ支払督促の申立てや貸金返還請求の訴訟を起こされてしまいます。
さらに、裁判所からの呼び出しを無視すれば自動的に敗訴になるため、事情を考慮されずに元金と利息、遅延損害金をまとめて支払えとする裁判所の決定が下されます。
(3)銀行口座や給与を差し押さえられるかもしれない
裁判所からの仮執行宣言付支払督促が届いても対処しないままでいれば、強制執行が行われて財産を差し押さえられるかもしれません。
強制執行とは、債権者の申立てにより債務者に対する支払請求権を裁判所が強制的に実行する手続のことです。
強制執行されれば、給与や銀行口座といった財産を差し押さえられるため、これまでどおりの生活を送ることは困難になるでしょう。
給与や銀行口座の差し押さえについて詳しく知りたい方は、下記の2つの記事を参考にしてください。
4.遅延損害金が発生したときの対処法
「うっかり口座にお金を入金するのを忘れて、支払いができなかった」というケースは決して珍しいものではありません。
また、引っ越しのタイミングで支払催促の連絡を受け取れず、気付かないうちに遅延損害金を発生させてしまった方もいるでしょう。
意図せず支払いができなかったとしても、遅延損害金の支払義務は課されるので早急に対処すべきです。
遅延損害金が発生した時の適切な処置を確認しましょう。
(1)1日でも早く入金する
日を追うごとに遅延損害金が加算されるため、遅延損害金に気付いたら1日でも早く入金しましょう。
また、滞納期間が長くなるほど社会的信用を損なう可能性があるので、再振替があるなら間に合うように入金しましょう。
再振替とは自動再引落サービスのことです。
指定日までに口座へ入金すれば自動で引き落とされるため、基本的に債権者へ連絡をする必要はありません。
もっとも、再振替ができない場合もありますので、再振替が可能だろうと安易に考えてしまうと遅延損害金の発生する日数が増えてしまいますので、債権者へ連絡しましょう。
早急に対処して事態の深刻化を避けましょう。
(2)弁護士に相談する
借入金が高額な方や遅延損害金がいくらかわからない方は、弁護士に相談しましょう。
以下のような数ある対処法から、その人に合った適切な提案を行います。
- 借入先への相談
- 債務整理
弁護士が債権者との間に入ることで、不利にならない交渉や借金の整理をします。
また、債権者が上限を超えた遅延損害金を請求している悪質な会社の場合、以前支払った過払い金を取り戻せるケースもあるかもしれません。
借入先が多い場合や多額の遅延損害金を抱えてしまった場合は、弁護士に相談して最適な解決方法を見つけましょう。
まとめ
遅延損害金とは、返済期日を過ぎても支払を行わなかった場合の賠償損害金のことです。
支払金額に対して年利が定められているのが一般的で、クレジットカード会社やカードローン会社などの債権者によって異なります。
いち早く返済することで遅延損害金を最小限に抑えられますが、どうしても支払えない場合は弁護士に相談して最善の方法を教えてもらいましょう。
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