自転車操業とは?リスクと借金問題の解決方法を弁護士が解説
「自転車操業とはどんな状態?」
「自転車操業を続けるとどのようなことになるのか」
「自転車操業の状態から脱却するにはどうしたらいいのか」
借金の返済が難しい場合、他の貸金業者から一時的に借入れを行い、返済に充てている方もいるかと思います。
そのような状態を自転車操業といい、これを繰り返すことで借金総額が膨れ上がり、生活にも大きな影響を及ぼすリスクが高まります。
本記事では、借金の自転車操業を続けるリスクや脱却する方法について解説します。
1.自転車操業とは
自転車操業とは、借金を返済するために別の貸金業者などから借金をし、これを返済にあてている状態のことです。
たとえば、クレジットカードの利用額を支払うために、消費者金融からお金を借りるといった状態が該当します。
返済を継続していくためには常に借入れを行っていなければならず、そのような状態を「漕ぎ続けなければ倒れてしまう自転車」になぞらえて、「自転車操業」と呼ばれています。
借金を返済するために借金をしている状態なので、借金が減ることはありません。
むしろ、新たに借金した分の利息が加算されていくため、時間が経つにつれてさらに返済が困難になっていきます。
このように、借金を返済するために新たな借入れを行っても、その場しのぎにしかならず借金問題を解決することにはつながりません。
なお、複数の貸金業者などから借入れを行う「多重債務」のリスクについては以下の記事でも解説していますので、合わせてご覧ください。
2.自転車操業を続けるリスク
自転車操業を続けることで、いくつかのリスクがあります。
主なリスクは以下のとおりです。
- 利息で徐々に借金が増えていく
- 将来的に借入が困難になり返済できなくなる
- 信用情報機関に事故情報が登録される
順にご説明します。
(1)利息で徐々に借金が増えていく
借金の返済をするために新たに別の借金をしていることになるので、借入先が増え、利息が上乗せされて徐々に返済しなければならない借金が増えていきます。
元金の額が大きくなるほど利息も増えていくため、現状を維持しているわけではなく、実際は借金が増えている点に注意が必要です。
賞与や臨時収入の見込みがないにも関わらず、自転車操業が数か月以上も継続する場合には借金が増え続けているだけなので、弁護士に依頼して債務整理の手続きを行うなどの対処が必要です。
(2)将来的に借入が困難になり返済できなくなる
自転車操業を続けていると、いずれはその貸金業者などから借入れができなくなってしまいます。
これは、債務額の総額が年収の3分の1を超えると新たな借入れができなくなる「総量規制」がはたらくためです(貸金業法13条の2)。
自転車操業によって借金が増え続けてしまうと、いずれ新たな借入ができなくなり、自転車操業にも限界が訪れることとなります。
(3)信用情報機関に事故情報が登録される
自転車操業が困難になり、返済が2か月以上滞ると信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に事故情報が登録されます。
信用情報機関は、各金融機関から顧客情報の提供を受けて管理し、反対に各金融機関から信用情報の照会を求められたときにはこれを提供するという業務を行う機関です。
滞納した事実は、その人の返済能力に問題があるということを示す事故情報となってしまい、信用情報機関への照会により各金融機関がこれを知ることになります。
そのため、事故情報が登録されると以下のようなデメリットが発生する点には注意が必要です。
- クレジットカードが使えなくなる
- ローンを組めなくなる
- 分割払いができなくなる
- 賃貸住宅の契約締結や更新ができない可能性がある
クレジットカードやローンの利用ができなくなるだけでなく、分割払いができなくなるため、携帯端末の支払いが完了していない場合は、携帯電話の契約が解約される可能性があります。
また、賃貸物件の保証会社が管理している場合は審査で信用情報を確認されるので、契約できないケースが多いです。
そのため、返済が苦しくなってきたら信用情報機関に事故情報が登録されてしまう前に必要な対処を行うことが重要です。
具体的な対処法については、次項で詳しく解説します。
3.自転車操業から脱却する方法
自転車操業から脱却する方法はいくつかあります。
主な方法は以下のとおりです。
- 支出を見直す
- おまとめローンなどで借金を一本化する
- 債務整理をする
順にご説明します。
(1)支出を見直す
まずは、支出を見直すことが大切です。
収入が増えないのであれば、無駄な支出を抑えることでその分を返済に回すことができます。
生活において必要な費用は使うべきですが、娯楽等にお金を回しすぎている場合は、使い方を見直すことで返済の負担軽減につなげることが可能です。
また、借入先の件数や借金総額についても把握しておくことが重要です。
(2)おまとめローンなどで借金を一本化する
返済能力がある場合には、おまとめローンを利用して借金を1本化することが考えられます。
借金を1つにまとめることで返済の管理がしやすくなり、毎月支払う利息が少なくなる点がメリットです。
また、借入金額が高くなるので、金利も低くなる場合があります。
審査基準は比較的厳しく、必ずしも審査に通るとは限りませんが、返済の余力があるという方は、銀行などでおまとめローンの申請をしてみるのも1つの方法と言えます。
もっとも、おまとめローンの利用では、返済総額を減らすことにはつながりませんので、より負担を軽減したい場合には後述する債務整理を行うことを検討しましょう。
(3)債務整理をする
支出の見直しなどを行っても返済の負担が大きい場合は、債務整理をすることをおすすめします。
債務整理とは、裁判所への申立てや債権者との交渉によって、借金を減額または免除する手続の総称をいいます。
主に以下のような方法があります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
順にメリット・デメリットについてご紹介します。
#1:任意整理
任意整理は、債権者と直接交渉を行うことで借金の返済負担の軽減を図る方法で、将来的に発生する利息のカットや借金の返済スケジュールの再設定を交渉することになります。
任意整理の主なメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
・将来発生する利息をカットすることにより返済金額を減らせる
・家族や知人に知られるリスクが低い ・任意整理の対象先を自由に選べる ・生活環境を変える必要がない |
・任意整理に応じてくれない債権者もいる
・借金の大幅な減額は期待できない ・信用情報機関(ブラックリスト)に事故情報が載る |
裁判所を介さずに解決に向かうことができるため、生活に大きな支障をきたさない点が大きな特徴です。
もっとも、債権者と直接交渉する必要があり、債務者自らが交渉をすると、これに応じない債権者もいます。
また、債務者にとって不利な条件を提示するケースもあり、交渉が難航する可能性も高いです。
このように、債務者自ら債権者と交渉し、有利な条件で合意に至るのは容易ではないことが多いため、まずは弁護士に相談することが何よりも大切です。
#2:個人再生
個人再生は、裁判所に申立てをして借金の返済が困難であることを裁判所に認めてもらった上で、借金をその金額に応じた割合で減額し、原則3年間で返済する再生計画案について裁判所の認可を受けたら、計画どおりに返済していく手続です。
借金は以下の基準で最大10分の1まで減額してもらうことができます。
借金総額 | 最低弁済額 |
100万円未満 | 借金総額 |
100万円以上500万円以下 | 100万円 |
500万円超え1500万円以下 | 借金総額の5分の1 |
1500万円超え3000万円以下 | 300万円 |
3000万円超え5000万円未満 | 借金総額の10分の1 |
また、個人再生のメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
・借金が大幅に減額される
・手続中の資格制限が無く仕事の制限がない ・借金の理由に関係なく利用できる ・自宅や自動車を手元に残せる |
・安定した収入がある人しか利用できない
・借金の総額が5000万円を超える場合は利用できない ・官報に個人情報が掲載される ・信用情報機関(ブラックリスト)に事故情報が載る |
任意整理よりも減額幅が大きくなるといったメリットがある一方で、官報に個人情報が掲載されるなどのデメリットもあります。
また、裁判所を介して行う手続であることから、いくつかの要件を満たさなければ個人再生を行うことはできません。
個人再生を行うための要件については、以下の記事も参考になりますので、合わせてご参照ください。
#3:自己破産
自己破産は、裁判所に申立てをして今後借金の返済が不可能であることを裁判所に認めてもらい、借金の支払義務を免除(免責)してもらう手続です。
借金問題を解決するための最終手段で、大きなメリットを得られる代わりに以下のようなデメリットも生じます。
メリット | デメリット |
・借金が全額免除される | ・家や自動車など資産価値が高いものは手放さなければならない
・一時的に就けなくなる職業がある ・官報に個人の氏名や住所が掲載される ・信用情報機関(ブラックリスト)に事故情報が載る |
個人再生と大きな違いは、借金の減額幅と一定以上の財産が処分されてしまう点です。
生活環境の変化を見直す必要はありますが、借金の返済義務がなくなるため、人生をやり直すきっかけにすることができます。
個人再生でも返済が困難な場合は、自己破産を検討してみましょう。
まとめ
借金を自転車操業で返済している状態は決して好ましい状況ではありません。
自転車操業を続けることで、借金総額が大きくなり、最終的には返済自体が困難になる可能性があります。
返済の余力がある方は、家計支出の見直しやおまとめローンなどによって返済を進め、自転車操業の状態から抜け出すことが大切です。
これらの方法で解決できない場合は、弁護士に相談し、債務整理を検討してみましょう。
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