親の借金は子供にも返済義務がある?子供にできることについて解説
「親の借金は必ず子供が返済しなければならないのか」
「親の借金問題を解消する方法を知りたい」
もし親が借金しているとわかった場合、子供である自分に返済義務があるのかどうか心配になりますよね。
もしかすると、親が亡くなってから借金が発覚することもあるかもしれません。
今回は、親の借金について子供に返済義務があるのかどうかについてご説明します。
返済義務があるケースや、返済義務を生じさせないためにするべきことなどを解説しているので、親の借金についてお悩みの方は参考にしてみてください。
1.親の借金についてよくある質問5つ
もし親が借金をしている場合、子供に影響が出ることもあります。
ここでは、よくある疑問五つについてご説明します。
(1)子供に返済義務はあるのか
基本的に子供に返済義務はありません。
債務者はあくまでも親であり、例え家族である子供でも返済する必要はないのです。
ただし、子供が保証人・連帯保証人になっている場合や子供名義で借入れを行っている場合は、子供にも返済義務が生じます。
(2)親の借金が子供の生活に影響を与えるのか
子供が返済義務を負わない限り、子供の生活に影響が出ることはありません。
しかし、親が自己破産をした場合は車や家などの財産を手放さなければならない場合もあります。
親が所有する車を子供も使っていたり、親の持家に子供と同居していたりする場合は子供の生活にも影響が出てしまいます。
(3)貸金業者が子供に請求してくるのか
原則、子供に対して請求がくることはありません。
借りた相手がクレジットカード会社や消費者金融などの貸金業者であれば、業者は債務者本人以外に返済を請求してはいけないと法律で決められているからです(貸金業法第21条1項7号)。
借りた相手が貸金業者ではなく知人などの場合は、子供にも借金の返済についての話をする可能性があります。
しかし、後述する「子供に返済義務が生じるケース」でない限り返済義務はありません。
(4)親の借金を肩代わりすべきなのか
子供が代わりに支払う義務はありませんが、状況によっては肩代わりするケースもあります。
子供に支払義務がないのに肩代わりすることを、債務引受と言います。
債務引受には二つの方法があり、一つ目は子供だけが返済義務を負う免責的債務引受、二つ目は親子で返済義務を負う併存的債務引受です。
ただし、どちらの方法も債権者である貸金業者の承諾が必要なため注意しましょう。
(5)借金を残して親が亡くなった場合はどうすればよいのか
親が借金を残したまま亡くなっても、相続放棄をすることで返済義務を負わずに済みます。
まず、相続には単純承認・限定承認・相続放棄の三種類があります。
#1:単純承認
単純承認は預貯金や不動産などのプラスの資産も、借金などのマイナスの資産もすべて相続する方法です。
もしマイナスの資産の方が多くてもそのまま相続するため、相続人が借金を肩代わりする結果になってしまいます。
#2:限定承認
限定承認ではプラスの資産の範囲内でマイナスの資産を相続します。
プラスの資産>マイナスの資産の場合、どちらも相続してマイナスの資産を差し引いた金額が手元に残ります。
プラスの資産<マイナスの資産の場合、マイナスの資産はプラスの資産を超えた部分がカットされます。
プラスの資産の範囲内に限定して相続するため、相続人が必要以上の借金を背負うことはありません。
ただし、相続人全員で申述しなければならない点に注意しましょう。
#3:相続放棄
相続放棄はプラスの資産もマイナスの資産も相続しない方法です。
財産を相続することは一切できませんが、その分複雑な相続手続をしなくてもよいというメリットがあります。
さらに、相続放棄は一人の相続人が単独で手続できるため、もしマイナスの資産の方が多い場合は相続放棄を選択するべきといえます。
相続放棄については以下の記事で詳しくご説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。
2.子供が返済しなければならない主な3つのケース
子供が返済しなければならないのはどのようなケースでしょうか。
具体的には、以下のようなケースが考えられます。
- 親の借金の保証人・連帯保証人である
- 子供の名義で親が借金をしている
- 相続放棄の手続を行わなかった
では上記三つのケースをご説明します。
(1)親の借金の保証人・連帯保証人である
子供が保証人・連帯保証人になっている場合は子供にも返済義務が生じます。
保証人と連帯保証人の違いは、連帯保証人の方がより主債務者と同等に扱われるという意味で、重い責任を課せられるという点にあります。
【保証人】
- 主債務者が個人再生や自己破産などの債務整理手続をした場合
【連帯保証人】
- 貸金業者がいきなり連帯保証人に対して請求してきた場合
- 主債務者が返済を拒んでいる場合
- 債務者が個人再生や自己破産などの債務整理手続をした場合
なぜこのような違いがあるのかというと、保証人には催告の抗弁権・検索の抗弁権があるからです。
催告の抗弁権は、貸金業者がいきなり保証人に対して請求してきた時に、先に主債務者に請求するように主張できる権利です。
検索の抗弁権は、債務者が返済できるにもかかわらず返済を拒んでいる時に、先に主債務者の財産を差し押さえるように主張できる権利です。
連帯保証人にはこれらの権利がないため、上記のような請求を受けた場合は支払う必要があります。
そして、親が個人再生か自己破産を行った場合は、子供は保証人・連帯保証人のどちらでも借金の支払義務があります。
個人再生は借金の一部、自己破産は借金の全部が免除される方法です。
しかし、免除は債務者に対してだけであり、保証人や連帯保証人は免除されないのです。
(2)子供の名義で親が借金をしている
子供の名義で親が借金をしている場合、実際には親が支払っていても返済義務が生じるのは名義人である子供です。
しかし、これは子供の同意を得ている場合に限ります。
子供の同意を得ずに親が勝手に子供の名義で借金をした場合は返済を断ることができる可能性もあるため、借金の名義人が誰であるか確認しておきましょう。
(3)相続放棄の手続を行わなかった
相続放棄は、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所で手続する必要があります。
もし期間内に手続しなければ、単純承認したことになってしまいます。
単純承認はマイナスの資産も相続するため、亡くなった親が借金していれば相続人である子供に返済義務が生じるのです。
事情によっては、3か月の期間制限を延ばす手続をすることもできますので、早めに弁護士に相談しましょう。
3.親の借金問題を解消するために子供ができること
借金問題を解消するためには、親自身が返済に向けて行動することが大切です。
では、子供としてはどのようなサポートができるのでしょうか。
(1)借金の返済見込みがあるか親に確認する
まずは借金がいくらあり、返済の見通しがあるのか確認しましょう。
総額がわからない場合は、信用情報機関に問い合わせて借入履歴等を開示してもらうことができます。
ただし、開示請求は本人のみ可能なので親自身に行ってもらう必要があります。
返済できそうな場合は返済計画を立て、計画通りに返済するようにしましょう。
返済が難しそうな場合は、借りている貸金業者などに連絡し、返済日の調節をしてもらえないか掛け合ってみるのも一つの方法です。
(2)債務整理を検討する
債務整理をすることで借金の減額や免除ができます。
手続には三つの方法があり、任意整理は債権者と任意で交渉し、利息部分のみ減額してもらう方法です。
元本は減らせないため大幅に借金を減らすことはできませんが、比較的リスクも少ない方法です。
個人再生では元本も含めて減額した金額を、裁判所が認可した3~5年で返済する再生計画案に沿って返済していきます。
自己破産は借金そのものが免除されます。
個人再生と自己破産では、減らせる金額は大きいですが、子供が保証人・連帯保証人になっていると子供は支払いを免れることはできません。
また、自己破産は資産価値の高い財産を手放す必要があったり、一定期間就けない職業があったりします。
どの方法が最適かよく検討したうえで選択しましょう。
まとめ
親が借金していても、必ずしも子供に返済義務が生じるわけではありません。
ただし、相続放棄や債務整理などの手続をしなければならない場合もあります。
手続についてわからないことや、借金を返済しすぎていないかなどの疑問があれば弁護士に相談してみましょう。
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