借金の減額を行うには?おすすめの法的手続をご紹介
「毎月の借金返済が家計を圧迫していて、このままでは生活がままならない」
このようなお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
無理な返済計画で借金を返済していると、返済のために新たな借入れをするなどの負の連鎖に陥ることもあり、生活を立て直すことが難しくなってしまいます。
もし抱えている借金を返すことができないと感じたら、借金減額の法的手続について考えてみましょう。
この記事では借金の額を減らせる法的手続四つと、手続を弁護士に依頼すべき理由について解説します。
1.借金の減額ができるおすすめの法的手続とは?
一度背負ってしまった借金はどんな事情があっても減額してもらえないのではないかと思いがちですが、実は法的に認められた借金の減額方法がいくつか存在します。
借金を減額する方法の具体的な例は、以下の四つです。
- 過払い金請求
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
借金の額や財産状況などによって選択できる手続は異なるため、一概にどの手続が適しているかを判断することはできません。
メリット・デメリットを考慮しつつ、自分に最も適した借金の減額手続を行いたい場合は、かならず専門家である弁護士に相談しましょう。
(1)過払い金請求
年利20%以上の高い金利でお金を借りていたことがある、または、十数年の長期間にわたって返済をしている方は、過払い金が発生していないかをチェックしましょう。
完済済みで過払い金がある場合はこれを取り戻せることとなり、借金の返済中に過払い金が生じている場合は、過払い金と借金の残高のどちらが多いかによって手続後の結果が変わります。
借金の残高よりも過払い金が多ければ借金を完済した上で借金を上回る部分の支払を請求できることになり、借金の残高よりも過払い金が少ない場合は過払い金の分、借金が減額されることになります。
ただし過払い金によって借金がすべて完済できなかった場合は信用情報機関に事故情報として手続の記録が残り、過払い金の請求以降しばらくの期間、クレジットカードやローンの審査に通るのが難しくなりますので注意が必要です。
(2)任意整理
月々の返済額や利息に悩んでいる方は、任意整理を行うことを検討してみてください。
任意整理は債務整理の手続の一つで、借金の利息部分のカットと返済期間の再設定を債権者と交渉することにより、無理のない返済計画を組むことを目指すものです。
なお手続中に過払い金があることがわかった場合は、借金の元本も減らすことが可能です。
任意整理の手続は裁判所を通す必要がなく、依頼を受けた弁護士が貸金業者と直接交渉を行います。
ただし過払い金請求をして借金が残ってしまった場合と同様に、一定期間は信用情報機関に記録が残ってしまう点は注意しましょう。
(3)個人再生
借金の元本が大きく、債務整理では月の返済額の負担が軽くならないという方は、個人再生手続を検討してみてはいかがでしょうか。
個人再生は裁判所に申立てを行う必要がありますが、借金の残高をその総額に応じて最大で10分の1まで減らすことが可能です。
実際にどのくらいの金額が減額されるかは、所有している財産の状況や借金の総額によって異なるため、弁護士にしっかりと相談したうえで手続を依頼しましょう。
個人再生では借金が完全になくなるわけではなく、手続後も原則3年で減額した借金を返済していくことが必要ですが、例えば住宅ローンの残った持ち家がある場合にもローンの支払を並行して行うことにより、持ち家手放さずに手続を進められる可能性があるのがメリットといえます。
なお手続を行った履歴は信用情報機関に記録されるほか、手続を行った人の氏名・住所が官報に掲載される点は覚えておくべきでしょう。
(4)自己破産
借金が減額されたとしても、その後に返済していく手立てがないという方は、自己破産手続についてご検討ください。
自己破産とは破産者の収入・財産では借金を返済できないことを裁判所に認めてもらった上で、一部を除いて借金の支払義務の免除(「免責」といいます。)を受ける手続です。
この手続において、一定以上の金額の現金・預金や価値のある財産については、換価処分され、債権者への配当にあてられてしまいます。
とはいえ生活に最低限必要な財産は手元に残しておくことができるので、自己破産をしたからといってすべての財産を取り上げられてしまうことはありません。
自己破産は借金を減額する手段としては最も効果が高い手続ですが、信用情報機関への事故情報の登録、官報への掲載にくわえて、持ち家・車について換価処分されてしまったり、破産の手続の進行中一部の資格や職業が制限されるなどのデメリットもあります。
なお、自己破産をしても税金等、公租公課の支払は免除されません。
2.借金の減額手続をする際に弁護士に任せることをおすすめする理由
借金の減額について「なるべく費用がかからないように自分で手続を行いたい」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
前の項でご説明した四つの手続(過払い金請求・任意整理・個人再生・自己破産)を債務者自身が行うことは法律上可能ですが、個人再生、自己破産には裁判所へ提出する書類の準備に相当の手間が掛かり書類に問題があれば手続が途中で終了することにもなりかねません。
また、任意整理、過払い金請求では債権者と直接の交渉が必要であり自分に有利な条件で進めることは難しいのが現状です。
弁護士に依頼した場合は以下の三つのようなメリットがあるので、できるだけ早く確実に借金の減額をしたい方は専門家に相談することをおすすめします。
- 専門知識が必要な書類作成・交渉などを任せられる
- 可能な限り大きい金額で借金の減額ができる
- 対応できる負債の額に制限がない
ここからは以上の理由について詳しく解説します。
(1)専門知識が必要な書類作成・交渉などを任せられる
借金の減額手続には書類の作成や貸金業者・裁判所とのやり取りが必要になりますが、弁護士に依頼すればそれらを弁護士に任せることができ、自分の時間を割く必要がなくなります。
もちろん、弁護士から手続に必要な書類の作成・提出を求められることはありますが、弁護士の指示に従うだけとなりますので、各種手続に関する資料を自分で収集するよりは、はるかに楽に進められるでしょう。
弁護士に手続を任せることにより、結果的に手続の終了を早め、早く借金の負担からの解放を得られることになるでしょう。
(2)可能な限り大きい金額で借金の減額ができる
借金の減額手続を弁護士に依頼することにより、債権者と対等の立場で交渉をすることができます。
個人で貸金業者と交渉する場合は、相手方との知識の差や、お金を借りているという弱い立場に立っていることによって、債務者に不利な条件で交渉が進む恐れがあります。
しかし弁護士に代理で交渉してもらえば、知識量や立場の影響を受けることはありませんから、交渉により、可能な限り大きい金額で借金を減額することができます。
(3)対応できる負債の額に制限がない
借金減額のための過払い金請求や債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)は、弁護士だけでなく司法書士にも依頼をすることが可能です。
ただし司法書士が対応できるのは、個人再生・自己破産では書類の作成だけであり、裁判所とのやり取りは債務者自身で行うことになります。
また、司法書士が取り扱える事件は請求額が140万円を超えない案件と定められているため、債権額が140万円を超えている債権者との交渉を行うことができません。
これに対し、弁護士は個人再生・自己破産について申立て自体を代理して行い裁判所とのやり取りを債務者に代わって行うことができますし、案件の金額に制限が設けられていないため、金額の大きい債権者との交渉案件でも当然行うことができます。
借金額が140万円を超えない債権者との交渉は司法書士に依頼しても問題ありませんが、140万円を超えている債権者がいるのであればまとめて弁護士に任せてしまった方が手続を複雑化させずに済むでしょう。
まとめ
この記事では借金の額を減らせる法的手続四つと、手続を弁護士に依頼すべき理由について解説しました。
借金の返済で家計が圧迫され、ご自身やご家族の生活が苦しい状態であれば、借金を減額できないか確認することをおすすめします。
ただし借金の額や財産状況によってどのような減額手続が最適かは異なりますので、お一人で悩まずに法律の専門家である弁護士に相談しましょう。
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