借金の消滅時効が成立するのは難しい?その理由と返済に困ったときの対処法
「借金の時効が成立するのは難しいと聞いたが本当なのか」
「借金の返済に困ったらどうしたらいいのか?」
借金の返済で困っている方の中には、時効について調べている方もいるのではないでしょうか。
借金の返済義務は、債権者の貸金返還請求権が消滅時効にかかることで、消滅します。
もっとも、消滅時効が成立するためには、様々な要件があります。
本記事では、借金の時効に関することや返済に困ったときの対処法についてご紹介します。
1.借金の消滅時効が成立するのは難しいのか
結論から述べると、借金の消滅時効が成立するのは難しいです。
まず、借金の消滅時効が成立するためには、支払期限から原則5年経過したあとに時効の援用をしなければなりません。
しかし、相手が一般人であるならともかく、貸金業者の場合は契約内容を徹底して管理しているため、時効が成立する前に行動を起こします。
時効が成立するのが難しい理由については、次の段落で詳しくご説明します。
2.借金の時効が難しい理由
借金の時効成立が難しい理由はいくつかあります。
主な理由は以下の3つです。
1.時効の進行がストップする場合がある
2.時効がリセットされる場合がある
3.公示送達が行われる可能性がある
順にご紹介します。
(1)時効の進行がストップする場合がある
特定の条件を満たすと、時効の進行がストップすることがあります。
時効の進行が一時的に止まることを時効の完成猶予と呼び、その間は消滅時効期間に含まれません。
たとえば、以下のケースに該当する場合は、時効の完成猶予が発生します。
時効の完成猶予が発生するケース | 停止期間 |
借金の返還を求める訴えが裁判所に提起された | 裁判手続が進行している間 |
債権者が債務者に対して催告を行った | 催告のときから6か月間 |
支払督促の申立てがなされた | 手続が進行している間 |
債権者が債権の回収に向けて何らかの行動に移したときに時効の進行がストップすることが多いです。
時効の完成を遅らせた上で、その間に対処しようとするため、現実的に時効の完成を迎えることは難しいといえます。
(2)時効がリセットされる場合がある
特定の条件を満たすことで時効がリセットされることがある点も大きな理由です。
時効がリセットされることを時効の更新と呼び、時効の更新事由が発生することで、今まで進行してきた消滅時効の期間が意味を失うことになります。
主な時効の更新事由は以下のとおりです。
- 借金の返還を求める裁判で、債権者勝訴の確定判決が出されたとき
- 支払督促の内容に対して債務者が送付から2週間以内に異議申立てを行わずに債権者の権利が確定したとき
- 債務名義に基づく強制執行手続が行われ、換価手続が完了したとき
- 債務者が債務の承認を行ったとき
これらのケースに該当する場合、時効が更新されてその時から新たに消滅時効の進行が始まることになります。
(3)公示送達が行われる可能性がある
公示送達がなされることで返済義務から逃れることができなくなります。
債務者が行方をくらました場合でも、法的に書類を送達したものとする手続を公示送達といいます。
相手に直接催告書などの書類を届けることができなくても、相手方に意思表示が到達したものとして扱われ、法的効果が認められるのです。
そのため、債務者が夜逃げをして行方をくらましている間に訴訟を提起したり支払督促を行ったりすることで、時効の進行を止めることができます。
つまり、時効が完成するまで逃げて、消滅時効に必要な期間が経過したら援用しようという考えは成り立ちませんので、注意が必要です。
3.借金の返済で困ったときの対処法
借金の返済で困ったときの対処法についてご紹介します。
主な方法は以下の3つです。
1.借金問題に強い弁護士に相談する
2.消滅時効の援用ができるかどうかを確認する
3.債務整理を検討する
順にご説明します。
(1)借金問題に強い弁護士に相談する
まずは、借金問題に強い弁護士にどうすべきか相談することをおすすめします。
借金の状況や返済能力、財産状況など人によって対応の仕方が異なるので、自分で判断せずに専門家のアドバイスやサポートを受けるのが最適です。
法律事務所のホームページをチェックして、借金問題の解決実績が豊富かどうかも事前に確認しておくことがおすすめです。
(2)消滅時効の援用ができるかどうかを確認する
そもそも、消滅時効の援用ができるか確認することも大切です。
時効の援用をするためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 法律で定められている時効期間が経過していること
- 時効の完成猶予事由がないこと
- 時効の更新事由がないこと
どれか1つでも欠けてしまうと時効の援用が失敗するリスクがある点に注意しましょう。
また、時効の援用が失敗すると、債権者も時効の完成が近いことを察知して督促や訴訟の提起といった措置をとる可能性が高まります。
そのようなリスクを回避するためにも、時効の援用を検討する場合には、なるべく弁護士に相談をして進めていくことが重要です。
(3)債務整理を検討する
消滅時効によって解決ができない場合には、債務整理を検討してみましょう。
債務整理とは、借金の減額や免除、支払期間の調整などにより借金トラブルを解消することができる法的手続のことです。
主に3つの方法があり、各手続の特徴やメリット・デメリットは異なります。
方法 | 概要 | メリット | デメリット |
任意整理 | 債権者と交渉することによって、毎月の支払金額の減額や利息のカットを行い、借金を返済しやすくする手続 | ・毎月の返済額の減額や利息のカットを行い着実に借金を減らせる
・3~5年(例外あり)の期間に伸ばして借金が返済できる ・財産が処分されない ・家族や勤務先に知られるリスクが低い ・事情に応じて任意整理を行う対象を選択できる |
・長期分割にできない場合がある
・任意整理に応じてくれない債権者もいる ・信用情報機関に一定期間事故情報が登録される |
個人再生 | 裁判所に申立てを行い、現在の支払能力や財産状況では借金の返済が困難であることを裁判所に認めてもらい、返済金額を大幅に減額してもらえる手続 | ・借金が最大10分の1まで減額される
・破産のような手続中の資格制限が無く仕事の制限がない ・借金の理由は問われない |
・借金の総額が5000万円を超えると利用できない
・継続した収入があることが必要 ・連帯保証人に請求がいってしまう ・官報に個人の氏名や住所が掲載される |
自己破産 | 裁判所に申立てを行い、現在の支払い能力や財産状況では借金の返済が困難であることを裁判所に認めてもらい、借金すべての支払義務の免除を受けることができる手続 | ・借金が全てなくなる | ・家など価値が高い資産は手放さなければならない
・破産手続中は一定の資格制限があるため一時的に就けなくなる職業がある ・連帯保証人に請求がいってしまう ・官報に個人の氏名や住所が掲載される |
借金の金額や返済能力などによって、行える手段が変わるので、弁護士に相談してどの方法で債務整理を行うのが適切か、検討してみましょう。
まとめ
借金の時効の成立は現実的に考えると難しいことが多いといえます。
債権者は時効の成立を阻止するために行動してくるため、時効の完成猶予や時効の更新が発生するケースも多いです。
時効の援用ができるかわからない方は、まずは弁護士に相談して何をすべきか確認し、時効の成立が見込めない場合は、債務整理を検討してみましょう。
弁護士法人みずきでは、借金に関する相談を無料で受け付けておりますので、返済でお困りの方はお気軽にご相談ください。
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