借金の利息の計算方法は?借金を減らす方法を紹介

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。

「借金の利息はどうやって計算するのか?」
「利息ってどのくらいかかっているの?」
「借金の利息を最小限にする方法を知りたい」

借金をしている方の中には、自身が毎月どの位の利息を払っているのか、借金を返し終わるまでにどのくらいの利息を自分が払うことになるのか分からずに困っている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、借金の利息の計算方法やその他知っておくとよい知識についてご紹介します。

1.利息とは

利息とは

利息とは、簡単に言えば、お金を使用したことに対する対価であり、金融機関から借金を行う場合、借入れをした元金の返済とは別に利息を支払う必要があります。

お金を借り入れた債務者は、元金の借入期間や借入利率により計算された利息を上乗せした金額を返済することになるのです。

なお、類似した言葉に利子がありますが、利息と意味合いは同じです。

慣用的には、利息は貸主が受け取る対価で、利子は借主が支払う対価という意味で使い分けられる傾向があります。

2.借金の利息の計算方法

借金の利息の計算方法

借金の利息は以下の計算式をもとに算出することができます。

「利息=借入残高(円)×年利(%)×借入日数(日)÷365(閏年の場合は366)」

年利は、元金に対する1年間で必要になる利息の割合で、一般的には金利と言われています。

たとえば50万円を年利18%で借りている場合、それが1か月後(30日後)にはいくらの利息が発生しているかは、50万円×18%×30日÷365日=7397円という計算になります。

つまり、1か月で約7397円の利息が必要になるということになります。

借金の金利は、借入契約の際に金融機関との間で定められ、契約書類に記載されています。

借入れを行う際はよく金利を確認しましょう。

3.金利で知っておくとよい知識

金利で知っておくとよい知識

金利について知っておくとよいことがいくつかあります。

特に知っておくべきことは以下の3点です。

  1. 年利の上限が法律で決まっている
  2. 年利は借入先で異なる
  3. 法定利率は3%となっている

順に説明します。

(1)年利の上限が法律で決まっている

年利の上限は利息制限法や出資法によって定められています。

そのため、金融機関が無制限に高い利率を定めてよいというわけではありません。

利息制限法(利息や遅延損害金の上限を定めている法律)で定められている年利の上限は以下のとおりです。

借入金額 年利の上限
10万円未満 20%
10万円以上100万円未満 18%
100万円以上 15%

借入金額によって年利の上限が若干変動する点に注意が必要です。

上記の年利の上限を超える条件で借りた場合は、上限を超えた部分に関しては法律に違反するもので無効になり、支払義務が認められません。

一方、出資法は消費者が金融業者から不当な利率でお金を借りることを防止するための法律で、年利20%を超える借金の契約が禁じられています。

また、違反者に対して「5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方」の罰則が設けられています。

(2)年利は借入先で異なる

年利は借入先の金融機関によって異なります。

消費者金融の場合は、借入金額によって3~18%程度の年利が定められています。

クレジットカード会社では年利を一律18%に設定している会社もあります。

また、同じクレジットカード会社でもキャッシングの年利を借入金額に応じて変動するように定めている会社もあるのです。

借金の利息は金融機関によって変わるため、借入先の年利は借入れをする前によく確認しておきましょう。

(3)法定利率は3%となっている

金融機関以外の例えば個人間の借金の場合にも利息の支払いを条件に定めることができます。

この場合、事前に利率の取り決めがない場合は法定利率の3%が適用されます。

民法404条に、契約時の取り決めがなければ法定利率は3%と定められているためです。

ちなみに、事前に取り決めがある場合は、当事者間で自由に金利を設定することができますが、利息制限法の上限利率の範囲内という点は守らなければなりません。

個人の方から借金をした場合でも、事前に金利についてどのような取り決めをしているかきちんと確認しておきましょう。

4.借金を減らす方法

借金を減らす方法

借金をすると元金に加えて利息分も支払う必要があるため、返済総額が思っている以上に大きな金額になることが少なくありません。

もし利息の支払いによって借金の返済が困難になってしまった方は債務整理を検討しましょう。

債務整理を行うことによって、借金の利息のカットや元金自体の支払義務の免除など、借金の負担を大幅に軽減することができます。

債務整理には以下の3つの手続があります。

  1. 任意整理
  2. 個人再生
  3. 自己破産

借金の金額や本人の収入の状況に応じて適した手続が異なりますので、よく弁護士と相談をしたうえでもっとも自分に合った手続を選択しましょう。

(1)任意整理

任意整理とは、債権者と交渉をして、借金の利息をカットしたり、毎月の返済額や返済スケジュールを新たに取り決めて、返済の負担を軽減する手続です。

裁判所を介さずに債権者と交渉を行うため、任意整理を行う借金の債権者を選択することができます。

裁判所に申立てをしない点から比較的早期かつ少ない準備で借金の減額を図れる点が特徴です。

信用情報機関に事故情報が一定期間登録され、クレジットカードやローンの利用ができなくなるというデメリットはあります。

新たに取り決める返済期間が最長5年が目安となりますので、借金の元金を5年で返済できる収入能力がある方は、任意整理を検討してみましょう。

(2)個人再生

個人再生は、裁判所に申立てを行い、再生計画の認可を受けることによって、借金を約5分の1程度に圧縮して返済をしやすくする手続です。

任意整理とは異なり、裁判所を介して借金の減額をする手続のため、必要書類の収集など一定の準備が必要になり、任意整理と比べて時間は要することが多い手続になります。

また、個人再生のメリットとして、借金を5分の1程度に減額することができるだけでなく、住宅ローンはそのまま支払いを継続しながら自宅を残すことができるという特徴があります。

なお、借金の総額が5000万円を超える場合は個人再生をすることができないのですが、住宅ローンや別除権のある借金を除いて5000万円以内であれば個人再生が認められる可能性があります。

手続の利用にあたっては、弁護士とよく相談することをおすすめします。

(3)自己破産

自己破産は、裁判所に申立てを行い、免責の許可をうけることによって、借金の支払義務が全額免除される手続です。

免責許可を受けることによって個人再生と異なり、上限の金額なくすべての借金の支払義務がなくなります。

ただし、自宅や一定の価値のある車などの資産も処分する必要があるという点がデメリットです。

資産の状況によっては生活を変える必要が生じる可能性があるという点は押さえておきましょう。

それでも借金がゼロになることは経済的な再生という目的のためにとても効果が大きく、有用な手続です。

借金の返済の見込みがない場合は自己破産を検討することをおすすめします。

まとめ

金融機関から借金をする場合には、利息の支払義務が定められていることや返済し終えるまでに払う利息が思っている以上に大きくなることが少なくないことがあります。

このうち、利息については上限が法律で定められていることから、借金をする場合には契約内容を事前によく確認して、利息をいくら支払う必要があるのかを押さえておきましょう。

また、もし借金の返済が困難になった場合は、債務整理を検討することをおすすめします。

債務整理のうち、どの手続を行うかはそれぞれの方の収支や資産によって変わるため、もっともご自身にあった債務整理の方法について弁護士によく相談しましょう。

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