借金の利息のせいで完済できない?利息の計算方法や免除について解説

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

「借金を毎月返しているのになかなか完済できないのはなぜだろう」
「利息についてあまり考えずに借入れをしてしまった」

借金の利息についてよく知らないまま、借入れをしている方もいるのではないでしょうか。

利息について理解し、借入れの状況を正しく把握することが借金完済への第一歩です。

金利の上限は法律で定められており、債権者が自由に金利を設定できるわけではありません。

利息を軽減するための方法の一つは、金利の低いローンへの借換えを行うことです。

さらに、完済がどうしても難しい場合には債務整理という方法もあります。

利息の計算だけでなく返済についてお悩みであれば、弁護士に相談してみましょう。

この記事では、利息の理解を深め、返済の負担を少しでも減らせる方法についてご説明します。

1.借金の利息の仕組み

1.借金の利息の仕組み

借金には元本に対して利息が付きます。

この利息の割合のことを金利といい、金利の上限は法律で定められています。

そのため、債権者は債務者から自由に利息を取れるわけではありません。

業者からの借入れでない、知り合いの間の貸し借りであっても利息は発生します。

法定利息というものも定められていますので、貸し借りについて無利息とする約束をしていない限り発生するのが利息です。

ここでは、そもそも借金の利息とは何か、金利の上限に関する条文について詳しくご説明します。

(1)利息とは

利息とは、お金を貸す側が課したことに対する対価として得るもので、債務者が債権者に対して支払う、元本の一定割合で発生するお金のことをいいます。

「利息」と「利子」という二つの言葉がありますが、法律上は「利息」が用いられる割合が高く(「利子」が用いられるのは税金に関する法律くらいです。)、また、慣用的に「利子」はお金を借りる側が支払う場合に、「利息」はお金を貸した側が受け取る場合に、それぞれ用いられています。

さらに、銀行預金の場合は「利息」、ゆうちょ銀行の貯金の場合は「利子」が用いられるなどの使い分けがされていますが、意味に違いはありません。

そこで、ここでは、「利息」に統一してご説明することとします。

(2)利息制限法

貸金業者による上限を超えた金利は、無効になります(利息制限法1条)。

下記のとおり、元本の額によって金利の上限が異なります。

元本の額 金利
10万円未満 年20%
10万円以上100万円未満 年18%
100万円以上 年15%

出典:利息制限法 第一章 利息等の制限|e-Gov

たとえば、100万円の貸付けで契約上の金利が年20%となっている場合、15%を超える部分は無効になりますので、その分のを支払う必要はありません。

(3)出資法

貸金業者が金利20%を超える貸付けを行った場合は、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科されます(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律5条2項)。

個人間の借金の場合は金利が109.5%を超えた場合に処罰されることになります(出資法5条1項)。

個人間の方が貸金業者よりも処罰の対象の金利がかなり高く設定されていますが、あくまで処罰を受けないだけで、利息制限法の上限は適用されますので、高金利での貸付けが有効になるわけではありません。

2.利息の計算方法

2.利息の計算方法

「借金の利息を計算するのは難しそう」と敬遠している方もいるかもしれません。

しかし、今は借入れの金額や金利、返済回数などを入力するだけで返済予定をシミュレーションしてくれるソフトやアプリがあります。

ここでは、利息の正確な計算に必要となる情報を集める方法と実際の計算方法についてご説明します。

(1)借金の利息を確認する方法

複数の金融機関から借金している場合、それぞれの利息すべてを正確に把握するのはなかなか難しいでしょう。

そこで、借金や利息などの情報を知るために必要になってくる手続が、信用情報機関への開示請求です。

信用情報開示請求によって、ご自身の残債状況を把握でき、借金の利息も計算できるようになります。

#1:借金に関する現状を確認

信用情報機関では、債務者の情報を金融会社などから収集し、金融機関に提供しています。

信用情報機関の信用情報開示で得られる情報は以下のとおりです。

  • 名前などの個人情報
  • 現時点の借入れ残高
  • 利用した金額
  • 過去の取引履歴
  • 滞納の有無
  • 過去の法的手続の有無 など

#2:信用情報開示請求

信用情報機関は三つあり、それぞれ情報を収集している金融機関先が少しずつ異なります。

そのため、一箇所にだけ開示請求を行うのではなく、すべての信用情報機関に対して行っておいたほうがよいでしょう。

なお、債務整理の実行や延滞などの事故情報を登録するいわゆる「ブラックリスト入り」も、信用情報機関でなされています。

信用情報機関 情報開示請求の方法 開示請求手数料
株式会社シー・アイ・シー(CIC) インターネット、郵送、窓口で受付 インターネット、郵送:¥1000
窓口:¥500
株式会社日本信用情報機構(JICC) インターネット、郵送、窓口で受付 インターネット、郵送:¥1000
窓口:¥500
全国銀行個人信用情報センター(KSC) 郵送のみ受付 ¥1000

信用情報機関によっては、オンラインで情報開示できるところもあれば、郵送でしか受け付けていないところもあります。

(2)利息を計算する

利息は次のとおり計算されます。

「元金(借りた金額)×金利(利息の割合)×借入れ期間(年単位)=利息」

たとえば、10万円を年利10%で借り入れ、半年が経過した場合は、次のようになります。

10万円(元金)×0.1(金利)×6/12(借入れ期間)=5000円

借りた金額と金利、借入れ期間さえ分かっていれば、利息を計算できるのです。

3.借金の利息を減らす方法

3.借金の利息を減らす方法

借金の利息が高いと返済の負担になってしまいます。

返済をしている間も利息は発生していき、月の返済額の一部は利息の支払に充てられていますので、なかなか返済が終わらないという事態になりかねません。

このような場合には、借換えなど利息を減らす方法があります。

利息を減らしても返済が難しければ債務整理という方法もあります。

それでは、利息を減らす方法についてご説明します。

(1)借換え

現在借入れしているものより、金利の低いカードローン先に借換えをし、利息を軽減する方法があります。

利息が抑えられると、毎月の支払額を減らすことになります。

また、一つの金融機関からまとまった金額を借り入れ、他の金融機関への借金を完済する方法もあります(金融機関によって「おまとめローン」などと呼ばれていることが多いです。)。

借金の金額が大きいと金利は低く設定される傾向にありますので、この場合も支払う利息を減らすことができるかもしれません。

ただし、審査に通らなければ借換えはできません。

金利が低くなり毎月の返済額が減っても、返済期間が延びてしまうと最終的な返済額が増えることもあります。

このため、借換えを検討する際には、返済シミュレーションをしっかりとしておきましょう。

(2)債務整理

借金の利息を減らし、毎月の返済額の負担を軽減してもなお返済が厳しいというケースもあるでしょう。

その場合は、任意整理をすることも考えられます。

任意整理とは、裁判所を通さずに債権者と直接交渉し、債務を減額してもらう形で和解する手続です。

任意整理においては将来利息を発生させないようにしたり、すでに発生した利息について減額するよう交渉したりすることにより、総債務額を減らすようにします。

また、返済の期間も再設定し、月々の返済額も減額できるようにします。

このように、債権者との交渉により、総返済額と月の返済額のいずれも減額するようにして、借金の負担を軽くするのが任意整理です。

ただし、任意整理をする場合、継続的な収入があることなど、いくつかのの条件を満たさなければなりません。

詳しくは下記記事をご覧いただければと思います。

内部リンク:https://franchise-bengosi.mizukilaw.com/column/voluntary-liquidation-qualification

まとめ

借金の利息を決める金利の上限については、法律で定められており、この上限の範囲内で金融機関は利息の支払を受けています。

まずは、月の返済額のうち利息をどれくらい支払っているのか、ご自身でしっかり把握しましょう。

利息の支払が多く、返済のめどが立たないという場合、和解交渉によって利息の一部または全部の免除を受ける任意整理をすることも考えられます。

任意整理は債権者と直接交渉する手続ですので、スムーズに進めるためには、専門家のサポートを得たほうがよいでしょう。

借金の利息や返済方法、任意整理をするかどうかなどについてお悩みであれば、弁護士へのご相談をおすすめします。

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。