借金の滞納で気をつけるべき遅延損害金とは?利息制限法における上限利率と遅延損害金の支払いを回避する方法
「滞納している借金がある」
「高額な遅延損害金を請求されてしまっていて何とかできないか」
「請求されている遅延損害金が法定利率を超えている気がする」
カードローンやキャッシングでお金を借りた場合に返済する必要があるのは実際に借りたお金(元本)だけではありません。
利息と、もし支払期日に遅れてしまった場合は遅延損害金も支払う必要があります。
わが国において、利息と遅延損害金には、債権者が極端に得をすることがないよう法律で利率の上限が定められています。
本記事では遅延損害金の概要として、上限や法定利率、ケース別の計算方法、遅延損害金の回避方法についてご紹介します。
この記事を読んで、できる限り負担を軽減した状態で遅延損害金や借金返済の対応を進めていただければ幸いです。
1.遅延損害金について
遅延損害金とは、借金の返済を滞納してしまった場合に発生する損害賠償金のことです。
この遅延損害金と混同しやすいものに「利息」と「延滞金」があります。
「利息」とはお金を借りることに対する対価のことであり、「延滞金」とは税金や公共料金を滞納した場合に生じるペナルティのことであり、借金の返済期日に遅れた場合に発生する遅延損害金とは異なります。
そして、「遅延損害金」については、いくらまで債権者はもらってよいのかといったルールが「利息制限法」という法律に定められています。
(1)利息制限法とは
利息制限法とは、利息や遅延損害金の利率を制限するための法律です。
なぜこの法律が必要かというと、お金を貸す立場と借りる立場とでは、貸す立場の方が圧倒的に強いため、貸す側が借りる側に極端に不利な内容で貸付けをすることがないよう、この法律が弱い立場である借りる側を保護しています。
(2)利息制限法における遅延損害金の上限
遅延損害金は、遅延損害金には利息制限法という法律によって、定めることができる上限が決まっています。
#1:遅延損害金の上限は利息の上限の1.46倍
遅延損害金は、利息の上限利率の1.46倍と決められています(利息制限法第4条1項)。
では、利息の上限利率とは何%なのでしょうか。
#2:利息制限法における利息の上限
利息の上限は、利息制限法第1条に定められています。
具体的には、残っている借金の元本の金額に応じて、
- 10万円未満の場合:20%
- 10万円以上100万円未満の場合:18%
- 100万円以上の場合:15%
の3段階となっています。
したがって、遅延損害利率は、先ほど説明したとおり、利息の上限利率の1.46倍と決められているため、この利息の上限利率から以下の上限になります。
借入総額(元本) | 10万円未満 | 10万円以上~100万円未満 | 100万円以上 |
利息 | 20% | 18% | 15% |
遅延損害金(※) | 29.2% | 26.28% | 21.9% |
※債権者が消費者金融の場合は20%。
また、利息は返済期限までの借入れに対して発生するのに対し、遅延損害金は決められた返済期限以降に、返済すべき元金に対して発生します。
そのため、利息と遅延損害金が同時に発生することはありません。
#3:遅延損害金の上限の例外
遅延損害金の上限には例外があります。
①消費者金融からの借入れの場合は20%が上限
遅延損害金は、利息の上限利率の1.46倍だと上述しました。
しかし、これは原則です。
利息制限法は、債権者が消費者金融などの営利団体の場合を例外として規定しています。
営利団体の場合の遅延損害金の利率の上限は、年20%です(利息制限法第7条)。
現に、消費者金融は上限を20%としているところが多いです。
②取引していた時期に注意する
上述したとおり、遅延損害金の上限は法律で決まっています。
そのため、遅延損害金の上限を確認するためには、それがいつの法律のもとでの取引なのかについておさえておく必要があります。
たとえば、平成12年5月31日以前の遅延損害金の利率の上限は2倍です。
利息制限法は、度々改正されていますので注意しておきましょう。
(4)利息や遅延損害金が利息制限法の上限を超えている場合
利息や遅延損害金が利息制限法の上限を超えている場合は、上限を超えている部分が無効となります。
ただし、元本が残っている場合は、上限を超えている部分が元本に充当されます。
元本に充当しても、上限を超えて支払った部分が大きい場合は過払い金として債権者に請求できることになります。
2.遅延損害金の計算方法
遅延損害金はどのように計算するのかどうかを下記の2つのケースでご説明します。
(1)ケース1
借入れ額100万円、遅延損害金利率年20%、遅延日数30日の場合
⇒100万円×20%×30日÷365日=16,700円
(2)ケース2
借入れ額100万円 遅延損害金利率年20%、遅延日数180日の場合
⇒100万円×20%×180日÷365日=98,630円
(3)遅延損害金は遅延日数が長くなるほど増えていく
上記のケースのとおり、遅延損害金は、遅延日数が長くなるほど金額も増えてしまいます。
そのため、遅延損害金を膨らませないためには、遅延日数を少しでも短くする必要があるでしょう。
3.遅延損害金の支払いを回避する方法
遅延損害金は、状況によって回避できる可能性があります。
(1)債権者に相談して支払期限を延ばしてもらう、遅延損害金のカットを交渉する
遅延損害金は期限までに支払いが出来なかった場合に発生するものです。
そのため、もし支払期限を迎える前に、支払いができないことがわかっているのであれば、債権者に支払期限を延ばしてもらえないかと相談してみましょう。
支払いが出来ない事情や、返済の目途によっては応じてもらえる可能性もあります。
また、期限までに支払いができず、遅延損害金が発生した場合も、債権者に遅延損害金のカットを相談してみましょう。
支払えなかった事情や返済の目途によっては、全額もしくは一部、遅延損害金のカットに応じてもらえる可能性もあります。
(2)弁護士に債務整理手続を依頼する
遅延損害金が膨らんでしまい、返済の目途が立たないという場合は債務整理手続を行う必要があります。
弁護士に任意整理の手続を依頼することによってふくらんでしまった遅延損害金のカットや減額の交渉ができます。
その他、債務整理手続には、自己破産、個人再生の手続によって支払金額を大幅に減らすことや免責を受けるという方法もあります。
弁護士にご相談いただくことで、どの方法がご自身の借金問題を解決するのに適しているかのアドバイスを受けることができます。
(3)長らく取引をしていなければ時効により借金が消滅する可能性がある
最後の取引が5年以上前など、長らく取引がなかった場合には時効により借金が消滅する可能性があります。
時効により借金を消滅させるためには、時効の援用が必要です。
ただし、状況によっては5年以上取引がない場合であっても、時効が成立していない可能性があります。
例えば、信用金庫や個人など非営利団体からの借入れの場合は最後の取引から10年以上経過している場合には、時効により借金が消滅します。
また、最後の取引から現在までの間に、債権者から裁判を起こされている場合は、裁判の判決の確定から10年以上経過していないと、時効の期間が経過していないものとされますのでご注意ください。
「だいぶ前から取引はしていないけど、自分の借金は時効によって消えるのかどうか」と思われた方はぜひ弁護士にご相談ください。
4.まとめ
本記事では遅延損害金について上限や計算方法の他に回避方法などをご説明しました。
遅延損害金は、返済が遅れれば遅れるほど増えてしまいます。
できるだけ早く対処することが賢明といえます。
遅延損害金に対する対応でご不明な点は、そのままにせず、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
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