子供の借金は親が返済すべき?借金を知ったときの注意点と解決方法

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。

「子供の借金は親が返済しなければならないのか」
「子供の借金を解決する方法はないのか」

子供に多額の借金があることを知って親としてどうにかしたいと思っている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、子供の借金を知ったときの注意点や解決する方法についてご紹介します。

1.子供の借金は親が返済しなければならないのか

子供の借金について、子供が返済できない場合には親が返済しなければならないと思っている方もいるのではないでしょうか。

結論から述べると、子供の借金を親が返済する義務はありません。

これは親に限らず、配偶者や子供も同じです。

借金の返済義務を負うのは、借金をした本人(この場合子供)であって、借金の契約をした当事者ではない親が返済義務を負うことは原則としてありません。

ただし、例外的に親に返済義務が生じる場合もあります。

たとえば、親が子供の借金の保証人や連帯保証人になっている場合は、子供が返済できないときには親が代わりに返済しなければなりません。

保証人になるには、保証人になるご自身が署名捺印をしている必要があります。

子供の借金が発覚したときには、ご自身が保証人になっていた借金であるかどうか確認しましょう。

2.子供の借金を知ったときの注意点

子供に借金があり、返済することが難しくなっていることを知ったときに注意すべきことがあります。

主な注意点は以下の2つです。

子供の借金が発覚したときの注意点

  1. 借金の状況を確認する
  2. 弁護士に早期に相談する

順にご紹介します。

(1)借金の状況を確認する

まずは借金の状況を確認しましょう。

主に以下の点について明らかにすることが大切です。

子供の借金について明らかにすべきこと

  • どこから借金をしているのか
  • どのくらい借金をしているのか
  • 金利はどのくらいなのか

特に複数の貸金業者から借金をしている場合は、なるべく早く整理して対処する必要があるといえます。

同時に複数の金融機関や貸金業者から借入れを行っている状態を多重債務といい、この状態が続くと雪だるま式に借金が増えていくことがあるので要注意です。

整理をしたうえで、金利が高い借入先から優先して返済するなど、借金が膨らむことを抑えられるようにしましょう。

なお、多重債務に陥ってしまう原因やそのリスクについては、以下の記事でも取り上げていますので、合わせてご確認ください。

多重債務者とは?多重債務を放置するリスクや弁護士に相談するメリット

(2)弁護士に早期に相談する

借入状況や契約の内容によっては自力で返済するのが難しいケースがあります。

その場合には弁護士に早期に相談することをおすすめします。

弁護士に相談することで、ご本人の状況に応じて、任意整理、自己破産、個人再生など最も適した手続の方法について提案を受けることができる利点があります。

経済的再起に向けて早期に弁護士に相談されるとよいでしょう。

3.子供の借金を解決する方法

子供の借金について問題を解消する方法はいくつか考えられます。

主な解決方法は次のとおりです。

子供の借金を解決するための主な方法

  1. 親が代わりに子供の借金を返済する
  2. 子供にお金を貸して返済する
  3. 債務整理の手続を行うことを促す

順にご紹介します。

(1)親が代わりに子供の借金を返済する

親が代わりに子供の借金を返済することで子供の借金を無くすことを考える方もいるでしょう。

ただし、親が借金を支払う場合、贈与税が発生する可能性がある点に注意しましょう。

贈与税が発生するケースは、110万円以上の借金を支払うお金を子供にあげた場合で、110万円を超える借金が子供にあった場合、親が立て替えると子供に贈与税を納める義務が発生します。

金額が大きくなるほど課税率も上がるので、状況によっては贈与税を払うことになって支出が増えてしまい借金をするという事態も考えられるでしょう。

万一贈与税を払うために借金をしては本末転倒なので、110万円以上の借金を支払うお金を子供にあげる際は贈与税が発生することを予め話しておくなどしておいた方が良いです。

ちなみに、親が借金を支払うお金をあげた場合、子供は税務署に申告書を提出して納税しなければなりません。

申告をせずに発覚した場合は税務署の調査が入るので、子供に申告させるようにしましょう。

(2)子供にお金を貸す

贈与税の発生を防ぐ方法として、子供にお金を貸すという方法も考えられるでしょう。

子供に貸付を行う場合、贈与には該当しないため、贈与税の納税義務は発生しません。

ただし、この場合は必ず借用書などの契約書類を作成して残しておくべきです。

親子の関係であれば、口では貸すといっても実際は返済を求めないケースも十分考えられます。

実際は返済を求めないような場合は、実態は貸付ではなく贈与に当たると見られることもあるため、納税義務が生じる可能性があります。

口約束では貸付を証明することができないので、もし税務署から調査を受けた際に贈与ではなくお金を貸していたという証明ができるように借用書などの形を残しておきましょう。

ちなみに、実際は親がお金をあげて借金の支払いを行っていたにもかかわらず、お金を子供に貸していたことにすると脱税になりますので絶対に控えてください。

(3)債務整理を促す

借金の金額が大きくて子供が返済できない場合、子供に債務整理を提案してみましょう。

債務整理とは、利息のカットや毎月の返済額の見直し、借金自体の減額、全ての借金の支払いの免除など返済の負担を減免して経済的再起を目指す手続です。

債務整理の手続には、任意整理、個人再生、自己破産の3つの手続があります。

任意整理は、債権者との交渉によって、将来利息のカットと毎月の返済金額の変更によって返済の負担を減らして借金の完済を行う方法です。

個人再生は、裁判所に申立てをする手続になり、借金総額に応じて借金を5分の1程度に減額したうえで、それを3~5年で返済する手続です。

自己破産は、これも裁判所に申立てをする手続になり、すべての借金の返済義務について免除を受けるための手続です。

いずれの方法においても、一定期間、信用情報機関に情報が登録されて、クレジットカードやローンの契約の与信審査で通らなくなってしまうというデメリットはあるのですが、返済が難しくなってしまった借金の負担を減免して経済的再起を図るためにとても有用な手続です。

債務整理を検討する際は、弁護士に相談して、それぞれの方の状況に最も合った手続についてアドバイスを受けましょう。

この債務整理の方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

債務整理の種類とは?各手続のメリット・デメリットを弁護士が解説

まとめ

子供に返済に困難を感じている借金があることを知った方は、まずは借金の内容を整理しましょう。

各借入先や借金の金額、金利など借金の全容を把握しないと適切な対応ができません。

中には一部の借金をそれが全ての借金であると思って代わりに返済をしてしまった後で、他に多額の借金があることがわかるようなこともあります。

最初から全ての借金を把握していたら、一部の返済をしないで、全ての借金について債務整理手続を行うなど抜本的な解決が図ることができたというケースもあるので、借金の全容を把握することは大切です。

また、借金の返済が困難になっている状況は、長引くと借金に低くない利率の利息が付いているため、状況が悪化してしまいます。

早期に弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士法人みずきでは、借金に関する相談を無料で受け付けておりますので、子供の借金について悩んでいる方はお気軽にご相談ください。

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執筆者 花吉 直幸 弁護士

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