任意整理の支払いが遅れたら?払えない場合の対処法を弁護士が解説
「任意整理中に支払いが遅れるとどうなる?」
「滞納が続きそうな時はどうすればよい?」
任意整理の支払いが遅れると、どのような影響があるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
支払いが数日遅れる程度なら、すぐに債権者や弁護士に相談すれば大きな影響はありません。
しかし、多くの場合、遅れが2か月を超えると残額を一括請求される可能性があります。
この記事では、任意整理の支払いが遅れるとどうなるのかや、支払いが遅れる時の連絡先、その後も支払いが困難な場合の対処法についてご説明します。
1.任意整理の支払いが遅れた場合はどうなる
任意整理の支払いが遅れたとしても、数日で延滞が解消できるのであれば大きな影響はありません。
しかし、2か月分の支払いについて滞納の状態になると、一括請求されたり遅延損害金が発生したりする可能性があります。
ここからは、その月だけ払えない場合と2か月分払えない場合に分けて、どういう事態が生じるのかを見ていきましょう。
(1)その月だけ払えない場合
その月だけ支払いができず、1か月分(1回目)の延滞となった時点で、債権者から催促の連絡を受ける可能性があります。
弁護士や司法書士などに弁済代行を依頼している場合、債権者からの連絡はその事務所宛てとなりますが、自身で返済をしている場合は自宅に書面が届いたり携帯電話に連絡が入ったりすることになります。
ただし、1回目の延滞の場合、早めに延滞を解消すれば大きな影響が出ることは少ないです。
債権者や事務所から連絡があった際には、絶対に無視せず、支払いが遅れた理由やいつまでに入金できるかを伝えましょう。
(2)2か月分払えない場合
2か月分続けて(2回目)の延滞となると、債権者から一括請求されるうえ、完済までの間に遅延損害金が発生する可能性があります。
その理由は、任意整理の和解書(合意書)において、以下のような取り決めがされているケースが多いからです。
この取り決めにより、2か月分の延滞が発生すると債権者との間の分割払いの約束は意味を持たなくなり(期限の利益の喪失)、延滞が始まった時から遅延損害金が発生することになってしまうのです。
いつから期限の利益が喪失となるのかは債権者との和解内容によって異なるので、必ずしも2か月分の延滞で一括請求されるとは限りません。
ただし、ほとんどの場合は上記のように2か月分の未払いを条件としています。
なお、一括請求も無視すると、債権者は法的措置を取る可能性があり、最終的には財産の差押えといった強制執行手続をされてしまうので注意が必要です。
また、支払代行を依頼している場合も、2か月分(2回目)払えないと、担当の弁護士が代理人を辞任してしまうこともあります。
2.任意整理の支払いが遅れる時の連絡先
任意整理を利用した支払いが遅れることが事前にわかった、または支払いが遅れたことに気づいた際は、早急にその旨を連絡することが大切です。
その際の連絡先については、自身で直接返済をしているのか、弁護士事務所などが弁済代行しているのかで異なります。
支払いが遅れる時の連絡について、返済方法のケース別に見ていきましょう。
(1)自身で直接返済しているケース
任意整理後の支払いを自身で直接債権者の指定する口座へ振り込んでいる場合は、債権者宛てに連絡をしましょう。
その際、支払いの目途が立っていて支払時期もわかっているならば、それを伝えることにより、債権者が遅れを取り戻せるならばそれまでどおりの支払いの継続を認めてくれることも考えられます。
(2)弁護士などが返済を代行しているケース
法律事務所や司法書士事務所などが任意整理の支払いを代行している場合、事務所宛てに連絡をしましょう。
この場合も、事務所に支払いの目途などを伝えましょう。
それらの情報をもとにして、債権者に対して支払いの猶予を交渉してくれることもあります。
もし事務所に積立金があれば、その中から支払って、遅れが生じないようにしてくれる可能性もあるでしょう。
3.任意整理の支払いが難しい場合の対処法
任意整理の支払いを続けていくのが難しくなり、延滞を解消できない場合は、以下の対処法を選択することになります。
- 再和解する
- 追加介入する
- 他の債務整理を検討する
どの対処法が自身に合っているかを判断することは難しいので、まずは弁護士へ相談しましょう。
それぞれの対処法について詳しくご説明します。
(1)再度任意整理(再和解)をする
1つ目の対処法は、もう一度任意整理(再和解)をすることです。
1回目の任意整理では利息を免除してもらっているため、2回目の任意整理では支払期間の再延長の交渉をすることになります。
任意整理自体は債権者が応じてくれる場合は何回でもできます。
しかし、1回目の任意整理で取り決めた内容を守ってもらえないのに、2回目の任意整理にまで応じられないという債権者もいます。
再和解によって1回目の和解よりも楽な条件での支払いの約束ができるかどうかは債権者次第となってしまうのです。
(2)任意整理の対象外とした債務について追加で任意整理を行う(追加介入)
2つ目の対処法は、もともとの任意整理において対象外としていた債務について、あらためて任意整理の対象として、交渉を行うことです。
これを追加介入と呼ぶことがあります。
任意整理の際に何かしらの事情で一部の債務を除外していた場合、追加介入することで借金返済の負担が軽減でき、任意整理後の支払いも可能になることがあります。
ただし、任意整理の場合に除外する債務として考えられるのは、①少額債権、②自動車ローン、③保証人がついている債務といったものです。
①少額債権については、追加介入をしても減額幅が小さい場合がほとんどでしょう。
②自動車ローン、③保証人がついている債務について追加介入をすると、自動車の引上げ、保証人への請求といったデメリットが発生してしまいます。
(3)ほかの債務整理を検討する
3つ目の対処法は、個人再生や自己破産といったほかの債務整理を検討することです。
個人再生とは、借金をその総額に応じて最大10分の1まで減額できる可能性のある手続です。
不動産等の財産がある場合も手放さずに手続を進められますが、それらの財産が多いと返済額が多額になってしまう場合があります。
一方、自己破産は一定の種別のものを除いて借金の全額について免除を受けられる(免責)手続ですが、一定以上の価値のある財産は手放す必要があります。
個人再生も自己破産もほとんどの場合、任意整理よりも借金の負担を大幅に軽減できる手続です。
そのため、任意整理の支払いが困難になった方もこれらの手続により生活の立て直しを図れる可能性があります。
まとめ
任意整理の支払いが遅れる場合でも、数日程度の遅れなら大きな影響はありません。
しかし、2か月分続けて(2回分)の延滞となると、一括請求されたり遅延損害金が発生したりする可能性があります。
そのままの状態で放置すると、最終的には強制執行により財産を差し押さえられる可能性もあります。
支払いが遅れそうになったり、支払いが遅れたことに気付いたりした場合は、早めに債権者や支払代行を依頼している弁護士などへ連絡をしましょう。
また、支払いの継続が困難になってしまっている場合は、早急に弁護士に相談してください。
弁護士は再和解や追加介入、他の債務整理といった対処法の中から、自身にとって一番よい方法を提案してくれるでしょう。
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