アスベスト給付金で請求できる金額は?給付金が減額される3つのケース
「アスベスト給付金はいくらくらいもらえるのか?」
「アスベスト給付金で満額受け取るにはどうしたらいいのか?」
アスベスト給付金の対象者の中には、一体どのくらいの金額を受け取れるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、アスベスト給付金で請求できる金額や減額されるケース、請求方法についてご紹介します。
1.アスベスト給付金で請求できる金額
アスベスト給付金は、症状や被害者の生死によって、請求できる金額が異なります。
正規の手続を踏むことで、以下の金額の請求が可能です。
石綿肺 (管理3) 合併症あり | 950万円 |
中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、石綿肺 (管理4)、良性石綿胸水である者 | 1,150万円 |
被害者の遺族が請求する場合 | |
病態区分 | 金額 |
---|---|
石綿肺 (管理2) 合併症なし | 1,200万円 |
石綿肺 (管理2) 合併症あり | 1,300万円 |
石綿肺 (管理3) 合併症なし | 1,200万円 |
石綿肺 (管理3) 合併症あり | 1,300万円 |
中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、石綿肺 (管理4)、良性石綿胸水である者 | 1,300万円 |
同じ症状でも合併症の有無で金額が100万円ほど変わります。
また、中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、石綿肺 (管理4)、良性石綿胸水など、症状が重くなれば請求金額は高いです。
医師の診断を受けて、どの区分に該当するか確認してみましょう。
2.アスベスト給付金が減額されるケース
場合によっては、アスベスト給付金が減額されることがあります。
減額されるケースは以下の3パターンです。
- すでに和解金を受け取っている
- 業務従事期間が短い
- 喫煙の習慣がある
それぞれご説明するので、上記の条件に該当していないか確認してみましょう。
(1)すでに和解金を受け取っている
すでに国から和解金や賠償金を受け取っている場合は、先にご紹介した金額を満額で受け取ることはできません。
上記のアスベスト給付金の請求できる金額は、和解金等を含めたものなので、給付金の申請前に国からいくらか受け取っていれば、その金額が差し引かれて支給されます。
たとえば、被害者が存命で石綿肺 (管理2)合併症なしの区分に該当する場合、和解金として100万円受け取っていれば、550万円から差し引かれた残りの450万円をアスベスト給付金として請求することが可能です。
国からアスベスト給付金以外の形で支給を受けていないか確認しておきましょう。
(2)業務従事期間が短い
特定石綿ばく露建設業務に従事した期間が短い方は、給付金が減額されてしまいます。
「建設アスベスト給付金制度の概要」によると、給付金が減額されるケースは以下のとおりです。
病態区分 | 従事期間 |
肺がん、石綿肺 | 10年未満 |
著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚 | 3年未満 |
中皮腫、良性石綿胸水 | 1年未満 |
上記に該当する場合は、給付金は10%減額されます。
たとえば、石綿肺 (管理2)合併症ありの方で10年以上従事していなければ、700万円から10%減額された630万円が支給される金額です。
中皮腫であれば、1年従事するだけで満額受け取ることができます。
病態区分によって減額条件が異なるため、従事期間には注意しましょう。
(3)喫煙の習慣がある
病態区分が肺がんの人に限られますが、喫煙の習慣がある方は減額対象になります。
アスベストによって肺がんを患っている方で、喫煙の習慣がある場合は、給付金の10%が減額される可能性が高いです。
そのため、肺がんの場合のアスベスト給付金の満額は1150万円ですが、喫煙の習慣があると認められれば、10%減額の1035万円になります。
ちなみに、喫煙の習慣に加えて、業務業務従事期間が短いことによる減額も併用されるので注意しましょう。
両者が適用される場合は、10%減額された給付金からさらに10%減額されるので、100%×0.9×0.9=81%となり、満額から19%減額されることになります。
肺がんを患っている方のうち、従事期間が10年未満かつ喫煙の習慣がある方は、大幅に減額される可能性があるでしょう。
3.追加支給が認められるケースもある
アスベスト給付金は、支給を受けた後に症状が悪化した場合、追加の給付金を請求することができます。
追加請求の対象者は以下のすべての条件を満たした方です。
- すでに給付金の支給を受けていること
- 被災者が、吸入した石綿により症状が重くなったなどにより、病態区分が変わったこと
- 請求期限を過ぎていないこと
- 請求者が、労働者・中小事業主・一人親方・家族従事者等・遺族のいずれかに当てはまること
すでに給付金を受けており、請求が可能な状態であることに加えて、症状が重くなることも求められます。
たとえば、石綿肺 (管理2)合併症なしの区分から石綿肺 (管理2)合併症ありの区分になった場合などです。
上記の条件に該当する方は、「建設アスベスト給付金請求の手引き③」を参考に追加請求の手続を進めましょう。
4.建設アスベスト給付金の請求方法
建設アスベスト給付金を申請する場合は、必要な書類を揃えて厚生労働省に提出しなければなりません。
必要な書類は、労災支給決定等情報提供サービスを受けているかどうかで異なります。
労災支給決定等情報提供サービスとは、建設アスベスト給付金の請求手続の利便性を図るために設けられたサービスです。
このサービスを利用することで、請求書への記入事項や提出書類が減るなど申請の負担を軽減できるメリットがあります。
必要な書類は、建設アスベスト給付金請求の手引きに記されており、労災支給決定等情報提供サービスを利用している方は手引き①、利用していない方は手引き②をご参照ください。
なお、必要な書類を揃えたら、配達状況や到着の確認ができる簡易書留やレターパックで郵送しましょう。
このほか、石綿健康被害救済法に基づく救済給付や、アスベスト訴訟といったものもあります。
詳細は弁護士までご相談ください。
まとめ
アスベスト給付金は、症状や被害者の生死によって変わってきます。
また、場合によっては10%減額されることがあり、肺がんを患っている方は最大で19%減額されることがあるので、減額条件は確認しておくことが大切です。
給付金の支給後、症状が重くなれば追加請求できるケースもあるので、建設アスベスト給付金制度の概要を一通り確認しておきましょう。
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