任意整理中の借入は避けるべき!注意点や借入の制限について解説

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。

「任意整理中に他の会社から借入できる?」
「任意整理中はどんな借入の制限があるの?」

任意整理中にどうしてもお金が必要になり、借入を検討されている方もいらっしゃるでしょう。

ただし、任意整理中の借入は原則として行うべきではなく、避けるべき行為です。

任意整理中に借入をしてしまうと、債権者からの信用を失い任意整理の合意ができなくなったり、弁護士との委任契約が解約になってしまうこともありえます。

本記事では、任意整理中の借入について詳しく解説します。

1.任意整理を返済中に借入できるのか

任意整理を返済中は、基本的には他社からの借入ができません。

任意整理を行うと、任意整理を行った事実が信用情報機関に事故情報として登録され、完済後5年間は事故情報が削除されることはありません。

事故情報が登録されている期間中は、借入の申込みを行ったとしても、その貸金業者、クレジットカード会社が信用情報機関に照会を行うため、審査に落とされてしまいます。

日本で借入などに関する情報を管理している信用情報機関は以下が挙げられます。

  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
  • 株式会社日本信用情報機構(JICC)
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC)

信用情報機関はそれぞれ情報共有しているので、任意整理の事故情報が登録されると、全ての金融機関に情報を知られることになると考えておいてください。

2.任意整理中の借入は避けるべき

任意整理中に借入すると、任意整理が上手くいかずに借金の返済がより困難な状況になってしまうリスクがあります。

任意整理中の借入は、以下のようなリスクがあるので、避けるのが無難です。

  • 任意整理で新たな返済スケジュールの合意を拒否されるリスクがある
  • 弁護士・司法書士から委任契約の解除をされるリスクがある

任意整理中の借入は避けるべき理由について解説します。

(1)任意整理で新たな返済スケジュールの合意を拒否されるリスクがある

任意整理中に借入すると、任意整理を行って債権者と新たな返済スケジュールの合意を行おうとしても、債権者から拒否されるリスクがあります。

任意整理を行っているということは、借金の返済が難しい状況なので、さらに他社から借入をすることに関して債権者に返済に関して不信感を持たれます。

債務者の行動や返済能力が信用に足るものではないと判断され、任意整理で新たな返済スケジュールへの合意を拒否する可能性が高くなるのです。

任意整理がまとまるには債権者の合意が必要なため、債権者が拒否した場合には任意整理がまとまりません。

債権者が任意整理によって利息のカットなど返済の負担を軽減する条件に応じてくれていることを理解し、他社から借入をして返済が困難な状況に陥ってしまうような行為はせず、誠実に対応することが大切です。

(2)弁護士・司法書士から委任契約の解除をされるリスクがある

任意整理中に借入すると、弁護士・司法書士から委任契約の解除をされるリスクがあります。

弁護士などに任意整理を依頼する際は、以下のような約束をするのが一般的です。

  • 任意整理中に借入しない
  • 生活再建に向けて努力する

弁護士との約束を破り、任意整理中に借入すると、その時点の借金を前提として返済計画を弁護士は立てるため、任意整理がスムーズに進められなくなります。

上述のように貸金業者やクレジットカード会社から任意整理を拒否されるということもあります。

任意整理中に借入し、返済計画が立てられなくなってしまったり、債権者から任意整理を拒否されてしまうと、弁護士は代理人を辞することもありえます。

再度弁護士に依頼を考えた場合も、一度弁護士に辞任された事実があると、信頼を得るのが難しくなってしまい、改めて任意整理を進めるのに支障が出る可能性もありますので注意が必要です。

3.事故情報が削除されるまでの借入制限

過払い金請求の費用で困らないためのポイント

任意整理後は事故情報が信用情報機関に登録されている間、以下のような影響があります。

  • ローンの審査に通過しない
  • クレジットカードが利用できなくなる
  • 分割払いでの商品購入ができないことがある
  • 賃貸物件の家賃保証会社との契約がしにくくなる

事故情報が削除されるまでの借入制限について、詳しく解説します。

(1)ローンの審査に通過しない

任意整理をし、事故情報が信用情報機関に登録されると、各種ローンの審査に通過しなくなります。

事故情報が登録されていると、照会をしてその事実を知った金融機関から返済能力を疑われるためです。

たとえば、以下のような状況で困るケースが多いです。

  • マイホームを購入する
  • 車を購入する
  • 医療ローンを利用する

額の大きい住宅ローンや車のローンのみならず、その他のローンも利用できなくなります。

(2) クレジットカードが利用できなくなる

任意整理をし、事故情報が信用情報機関に登録されると、他社のクレジットカードに申し込みをしても審査に通らなくなります。

また、利用中のクレジットカードに関しても、当面は利用できますが、更新の際などで信用情報機関に照会をされてしまうとその時点から利用停止となる可能性があります。

クレジットカード払いにしているものも支払いができなくなるので、注意が必要です。

(3)分割払いでの商品購入ができないことがある

信用情報機関から事故情報が削除されるまで、分割払いでの商品購入ができないことがあります。

分割払いで商品を購入しようとする際は、信用情報の照会が行われることがあるため、その場合には支払い能力を疑われ拒否されることがあります。

たとえば、携帯電話の機種も分割払いで購入できません。

(4)賃貸物件の家賃保証会社との契約がしにくくなる

信用情報機関から事故情報が削除されるまで、賃貸物件の家賃保証会社との契約がしにくくなります。

賃貸物件を契約する際、家賃の支払いが滞った場合に備え、家賃保証会社との契約を求められることがあります。

家賃保証会社は信用情報機関へ情報照会して審査するので、事故情報が登録されていると拒否されるケースが多いです。

事故情報が登録されている期間に賃貸物件を契約する場合は、家賃保証会社不要の賃貸物件を選ぶなどの対処が必要です。

まとめ

任意整理中の借入は避けるべき行動です。

任意整理中に借入すると債権者や交渉を進めた弁護士から信用を失ってしまうことがあり、任意整理の拒否や弁護士から辞任をされてしまうことがあります。

とはいえ、どうしてもお金が必要になるケースもあるので、そのような場合は借入する前に弁護士へ相談しましょう。

債務整理中に借入するリスクを考慮し、どうしたらよいか提案を受けることができます。

任意整理中は、新たな借入を避け、対処法を見いだすことが大切です。

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執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。