奨学金を対象に任意整理はできる?奨学金の返済に困ったときの3つの対処法
「奨学金を任意整理することはできるの?」
「奨学金の返済に困ったときに対処する方法はないの?」
奨学金を返済している方の中には、返済が苦しくなり任意整理できないか考えている方もいらっしゃると思います。
奨学金を対象に任意整理することは可能ですが、奨学金自体は利息が低いため、それほど大きな減額にならなかったり、任意整理することによるリスクもあります。
この記事では、奨学金を任意整理する際のリスクや奨学金の返済に困ったときの対処法についてご説明します。
1.奨学金は任意整理できるのか
奨学金を対象に任意整理することはできます。
前述したとおり、奨学金に関してはもともと利息が低く設定されているので、任意整理で利息をカットしてもらったところで月々の返済に大きな影響はないでしょう。
任意整理をするメリットは、利息を免除してもらい元金を三年~五年かけて返済できる点なので、奨学金を任意整理するメリットは乏しいといえます。
任意整理をすることでいくつかのリスクが伴うので、メリットよりもデメリットの方が大きいでしょう。
2.奨学金を任意整理する際のリスク
奨学金を任意整理する際のリスクをご説明します。
以下のようなリスクが考えられます。
- 信用情報機関に事故情報を登録される
- 保証人に返済請求がなされる
- 家族に任意整理していることが判明してしまう
(1)信用情報機関に事故情報として登録される
任意整理をすることで信用情報機関に事故情報として登録されます。
信用情報機関に事故情報として登録されることで、主に以下のような影響があります。
- 契約しているクレジットカードが解約される
- 新規でクレジットカードが発行できない
- ローンの審査に通らない
クレジットカードが使えなくなるので、キャッシュレス決済として活用できなくなるだけでなく、クレジットカード払いで取引している契約の支払手続きの変更などもしなければなりません。
事故情報が削除されるまでは新規でクレジットカードの発行や自動車や住宅ローンを組むことができないため、生活にも影響するでしょう。
(2)保証人に返済請求がなされる
奨学金を任意整理することで、債務者の代わりに保証人に返済請求がなされることになります。
奨学金の場合は家族が保証人であるケースが多いので、自分の借金を家族に肩代わりさせることになります。
家族が返済できない場合は、家族も債務整理をすることになるため、大きな負担となってしまいます。
(3)家族に任意整理していることが判明してしまう
奨学金の返還債務は家族が保証人になっていることが多いので、任意整理をしたことが家族に判明してしまいます。
任意整理をすると家族が奨学金の返済請求をされるので、いくら対策したとしても家族に任意整理をしたことを知られてしまいます。
任意整理の事実を家族に知られたくなければ、任意整理以外の方法で奨学金の返済に対応することをおすすめします。
3.奨学金の返済に困ったときの任意整理以外の3つの対処法
奨学金の返済に困った方のために、任意整理以外の救済措置が設けられています。
任意整理以外で奨学金の返済に対応する方法は以下の三つです。
- 減額返還制度を活用する
- 返還期限猶予制度を活用する
- 個人再生をする
順にご説明します。
(1)減額返還制度を活用する
減額返還制度とは月々の返済額を減らすことができる制度で、月々の返済の負担を軽減することが可能です。
1/3~1/2まで減らすことができるため、だいぶ負担を軽減することができるでしょう。
ただし、トータルの返済金額は変わらず、返済額を減らした分だけ返済期間が延びてしまいます。
たとえば、月々の返済額を半分に減らせば返済期間は二倍になります。
ローンの場合は返済期間が長くなるほど利息が膨らみトータルの返済金額が増えてしまいますが、奨学金の場合は期間が延びても利息は増えないので安心してください。
減額返還制度を利用するときは、日本学生支援機構に減額申請を行います。
審査に通れば、一回の申請で十二ヶ月まで支払い期間を延長することができ、最大十五回の申請(最長十五年の延長)が可能です。
返済が困難であることを証明するために収入証明書や休職証明書などが必要なので、事前に何の書類を揃えておけばよいのか確認しておきましょう。
なお、過去に奨学金の返済を延滞している場合は、減額返還制度を利用することはできないので注意してください。
(2)返還期限猶予制度を活用する
返還期限猶予制度とは一定期間返済を待ってもらえる制度のことで、災害や傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合に利用できます。
一定期間返還期限を延期するだけの制度なので、元金や利子が免除されるわけではありません。
返還期限猶予制度には、以下の二つの種類があります。
- 一般猶予
- 猶予年限特例又は所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予
順に紹介するので、どちらを利用できるのかチェックしてみましょう。
#1:一般猶予
一般猶予は、現在進行形で返済が困難である場合に申請することができる制度です。
通常は十年(百二十ヶ月)の延期が上限ですが、災害、傷病、生活保護受給中、産前休業・産後休業および育児休業、一部の大学校在学、海外派遣の場合は適用期間に上限はありません。
なお、災害に関しては、五年の延期が原則です。
減額返還制度とは異なり、返済が延滞している人でも申請することができます。
しかし、審査で認められなければ利用できない制度なので、必ずしも利用できる制度ではないことを頭に入れておきましょう。
#2:猶予年限特例又は所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予
猶予年限特例と所得連動返還型無利子奨学金は、「猶予年限特例又は所得連動返還型無利子奨学金」を受け取った場合に、 一定の収入や所得を得るまで返還を待ってもらえる制度です。
この制度の対象は平成二十四年度以降の大学院を除く第一種奨学金採用者のうち、「猶予年限特例」(平成二十九年度以降採用者)又は「所得連動返還型無利子奨学金」(平成二十四年~二十八年度採用者)を貸与された人に限られています。
適用期間に制限はないので、該当する方は申し込んでみるとよいでしょう。
(3)個人再生をする
上記二つの制度が利用できなければ、個人再生を検討しましょう。
個人再生とは、借金の返済が困難であることを裁判所に認めてもらい、税金など特定の支払いを除いて借金額を大幅に圧縮したうえで原則3年間で分割返済する再生計画を裁判所に認めてもらう手続きのことです。
任意整理は利息だけをカットできるのに対し、個人再生は借金の元金を圧縮することができるので、事故情報が登録されるなどのデメリットを負ってでも受ける経済的メリットはあるといえます。
原則三年の分割払いですが、裁判所が認めれば最長五年の分割払いにすることができるため、ある程度猶予を持って奨学金の返済を行うことが可能です。
弁護士に相談して個人再生を推奨されたら、検討してみましょう。
まとめ
奨学金を任意整理してもメリットは乏しいため、減額返還制度や返還期限猶予制度などの救済措置を利用することをおすすめします。
もし、どちらも利用できる条件に該当しない場合は、弁護士に相談してどうすべきなのか適切なアドバイスをもらいましょう。
弁護士法人みずきでは奨学金に関する悩みの相談も受け付けていますので、お気軽にご相談ください。
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