任意整理をしても意味がないケースとは?交渉を成功させる3つのポイント
「任意整理をしても意味のないケースはあるのか?」
「任意整理を成功させるには何に注意したらいいのか?」
債務整理の中で、任意整理を検討している方の中には、本当に任意整理で借金を減額できるようになるのか不安になっている方も多いのではないでしょうか。
実際のところ、状況によっては任意整理による解決が難しい場合があり、そのような場合に任意整理を試みても意味がないことがあります。
この記事では、任意整理による解決が難しい場合や任意整理を成功させるためのポイントについてご説明します。
1.任意整理による解決が難しい場合は?
まずは任意整理が失敗に終わってしまうケースを紹介します。
- 債権者が和解交渉に応じない
- 圧縮した返済金額が支払能力を上回っている
- 任意整理後の返済で支払えなくなってしまう
順にご説明します。
どのような場合に任意整理が失敗に終わってしまうのか確認し、任意整理をしても意味がない状況にないかどうか確かめましょう。
(1)債権者が和解交渉に応じない
債権者が和解交渉に応じない場合は任意整理が成立しづらくなります。
任意整理は、債権者との交渉によって利息のカットや返済期間の再設定をするものです。
任意整理に応じるかどうかは債権者が決めることになりますので、任意整理を拒否している相手を無理やり交渉の場に立たせることは難しいでしょう。
多額の借入れをしてすぐ任意整理をするなど、明らかに返済の意思がないのに借入れをしているようにみえる場合、債権者に和解交渉を拒否されることがあります。
(2)圧縮した返済金額が支払能力を上回っている
任意整理で圧縮したとしても、その金額が支払能力を上回っている場合は、任意整理ができません。
任意整理では、通常5年で借金を完済する計画を立てますので、これにしたがって計算したひと月当たりの返済額を毎月支払っていく見込みが立たなければ、交渉を開始することができません。
交渉で5年よりも長い期間で返済を行っていくよう債権者に認めてもらうことも考えますが、これに債権者が応じてくれることを期待するのは難しい場合が多いです。
収入が不安定で返済能力が低いと判断せざるを得ない場合は任意整理をする意味がないこともあるのです。
(3)任意整理後の返済で支払えなくなってしまう
任意整理の交渉時点では返済能力があっても、途中で支払える金額が月々の返済金額を下回り、返済が滞ってしまうようになると、状況によっては再和解や任意整理以外の手段による債務整理を検討しなければならなくなります。
(2)と同じく、収入が不安定で、月々の返済金額を安定して捻出できそうにない場合は、任意整理の方針を考え直した方がいいかもしれません。
また、病気や止むを得ない事情で退職することになり、突然支払ができなくなってしまったら、すぐに弁護士に相談しましょう。
2.任意整理を成功させるためには
任意整理を成功させるためのポイントを紹介します。
意識しておいた方がいいのは以下の点でしょう。
- 一度も支払実績がない債権者を対象にしない
- 任意整理後の返済金額をまかなえる収支計画を作る
(1)支払実績がない債権者を作らない
一度も支払実績がない債権者を作らないようにした方がよいでしょう。
任意整理は和解後に返済を行っていけるかどうかが重要になりますが、一度も返済していないと、債権者側が和解後の返済継続に疑問を抱かざるを得ません。
もはや返済ができないような状況で新たに借入れをすることはこのような債権者を生むことにつながりますので、そのような状況に陥ったら、新たな借金によってその場をしのぐよりも、早めに弁護士へ相談しましょう。
(2)収支計画を作る
ご自身に支払能力があるかどうかを確認するために、事前に収支計画を作りましょう。
実際に収支計画を作ることで任意整理後の返済額を把握できるだけでなく、日々の出費の内容が把握でき、無駄遣いを防ぐことにつながります。
これによって家計を見直し、任意整理がしやすい状況に改善することもできるかもしれません。
弁護士と相談のうえで毎月の収入と支出を計算して、どのくらいの金額を返済に充てられるのか検討しましょう。
3.任意整理による解決ができない場合には
任意整理による解決が難しい場合、個人再生、自己破産のいずれかの方法を選択することが可能です。
順にご説明します。
(1)個人再生
任意整理は難しいけれども支払能力がないわけではないという場合は、個人再生を検討します。
個人再生とは、現在の財産や収入から借金の返済が困難であることを裁判所に認めてもらったうえで、一定の割合で借金を減額した再生計画案を裁判所に認可してもらい、返済計画による返済が終わった時点で、残りの借金を免除してもらう手続です。
任意整理に比べると、利息のみならず元本までに含めた減額を期待できる分、借金の大幅な減額が見込まれる手続ですので、支払能力の問題で任意整理が難しいという場合にも、選択肢に入れられる場合があります。
個人再生の主なメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット |
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デメリット |
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一番のメリットは借金の減額割合が大きい点です。
また、ローンがついていなければ、財産価値の高い財産を所有していても、これを手放す必要はありません。
一方で、保証人の支払義務が免除されることはありませんので、個人再生の申立てをすると、債権者が保証人へ支払請求をしてくる可能性があります。
再生計画案にしたがった返済が可能になる程度に収入がある必要があったり、債務総額の上限があったりする手続ですが、条件に合えば任意整理以上に借金を減らすことができます。
個人再生の手続の流れは以下のとおりです。
- 専門家に相談
- 委任契約の締結
- 対象の事業者に受任通知の送付、取引履歴の開示請求
- 引直し計算
- (過払金の返還請求)
- 申立て書類の作成
- 裁判所へ申立て
- 個人再生委員の選出
- 履行テストの開始
- 個人再生委員との面談
- 裁判所に必要書類の提出
- 裁判所による再生計画案の認可決定
- 再生計画にしたがった返済の開始
個人再生の手続完了までの期間の目安は、6か月から1年程度です。
(2)自己破産
支払能力に不安があるなどの場合は、自己破産を検討することになります。
自己破産とは、現在の収入や財産の事情を鑑みて借金の完済が困難であることを裁判所に認めてもらい、借金の支払義務を免除を受ける手続です。
自己破産の主なメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット |
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デメリット |
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自己破産の最大のメリットは税金や年金などの一部の債務を除いて借金の支払義務が免除されるため、手続後は借金の負担から開放される点です。
一方で住宅や車などの資産価値の高い財産は手放さなければなりませんし、手続が終わるまで、一定の職業・資格が制限されることもあります。
また、自己破産も個人再生と同じく保証人の支払義務が免除されることはありません。
自己破産の手続の流れは以下のとおりです。
- 専門家に相談
- 委任契約の締結
- 対象の事業者に受任通知の送付、取引履歴の開示請求
- 申立て書類の作成
- 裁判所に申立て
- 裁判官との面談
- 手続の開始決定(、破産管財人の選任)
- (破産管財人による財産の処分)
- 裁判所による免責許可の決定
財産の処分等の必要がある場合には破産管財人が選任される(「管財事件」といいます。)ことがあり、この場合には手続が破産管財人が選任されずに進む場合(「同時廃止事件」といいます。)に比べ、手続終了までの期間が長くなります。
まとめ
任意整理をすることで返済金額を減らすことはできますが、場合によっては任意整理をスタートさせる意味がないこともあります。
任意整理による和解を成立させるためには、収支計画を立てて無理のない返済を続けられるようにすることが重要です。
任意整理に関することで困ったことがあれば、すぐに弁護士に相談して、その都度最適な選択肢を提示してもらいましょう。
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