加盟店の営業時間の指定
フランチャイズ契約において、加盟店の営業時間が指定されていることがあります。
加盟店は本部とは独立した経営主体ですから、本来は営業時間を自由に決めることができるはずです。
しかし、特にコンビニエンスストアなどは24時間営業が当たり前の世の中ですから、本部側も統一的な店舗運営のために、加盟店とのフランチャイズ契約では24時間営業と指定している場合があります。
フランチャイズ契約の内容になっているため、加盟店の独自の判断でこれを変更した場合には、契約違反として解除や損害賠償の対象になりかねません。
加盟店の営業時間を指定することについては、以下のような加盟店側、本部側の主張やメリット、デメリットが考えられます。
(1)営業時間を指定することに対する加盟店側の不利益
・加盟店は本部とは独立した経営主体であるから、営業時間は自由に設定できるはずであり、憲法上の権利である営業の自由(憲法第22条1項)を制限しかねない。
・時間帯による売り上げ状況の変化(赤字)があっても閉店できない。
・長時間の過重労働が強いられる結果を招きかねない。
・時間帯によっては、犯罪が行われる場所になりかねない。
(2)営業時間を指定することに対する本部側の利益
・一般消費者のフランチャイズチェーンに対する営業時間のイメージを保持する。
・一般消費者の利便性、犯罪からの避難所の役割を果たす
・労働市場を提供することができる
加盟店の営業時間を指定することが違法か否かは、営業時間を指定することによって加盟店が被る不利益と、本部が受けられる利益とを比較して、正常な商慣習に照らして、加盟店に殊更不利益を与えるものかどうかによって判断されます(独占禁止法-優越的地位の濫用)。
営業時間を指定されることで加盟店が受ける不利益は、やはり赤字の拡大と長時間労働ということになるでしょう。
他方、本部が受ける利益としては、そのフランチャイズチェーンの営業時間に対する一般消費者の信頼を保護ということになるでしょう(ひいては、一般消費者の利便性といった、本部だけではない一般消費者の利益も背景には存在しています。)
これらの利益、不利益を比較した場合、そのフランチャイズチェーンの業界やそのフランチャイズチェーンに対する一般消費者のイメージが重要になってくると思われます。
コンビニのような24時間営業が当たり前となっている業界であれば、営業時間の指定は許される事情となりますし、繁華街では24時間営業が一般的ではあっても、人が少なく24時間営業を前提としていないような場所であれば、24時間営業を指定する利益は大きくないといえます。
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