顧客情報の管理

後遺障害14級の認定基準

フランチャイジーが、フランチャイザーから提供された顧客情報を外部に漏えいした場合

1.フランチャイズ契約における管理手段

(1)秘密保持義務

フランチャイジーに秘密保持義務を課し、フランチャイジーの役員や従業員を介した情報流出を防ぐために必要です。

(2)競業避止義務

合理的な範囲内でフランチャイジーに競業を禁止することは、ノウハウの流出のみならず、顧客情報の流出、流用の防止にも資するものです。

2.フランチャイズ契約外で発生し得る責任

(1)不正競争防止法

不正競争防止法は、不正の利益を得る目的又はその保有者に損害を与える目的で、その営業秘密を使用し又は開示した者に対しては、差止請求や損害賠償請求を行うことができるとしています。

ここでいう「営業秘密」とは、①秘密として管理されている情報であること(秘密管理性)、②生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること(有用性)、③公然に知られていない情報であること(非公知性)、の3つの要素を持った情報を指します。

フランチャイザーとしては、フランチャイザーが上記行為を行った場合に責任を追及できるように、当該情報が①秘密管理性を充たすべく従前より厳重な管理を行っておくことが重要となります。

(2)その他の責任

フランチャイジーは、信義則上の責任や刑事上の責任を負うこともあり得ます。

3.顧客との関係

・プライバシー侵害(不法行為責任)

顧客情報には顧客の住所氏名年齢等だけでなく嗜好等も含まれます。これらを顧客の同意なく第三者に提供すると、プライバシー侵害に基づく不法行為責任を顧客に対して負う可能性があります。

4.個人情報保護法

個人情報保護法は、同法の定める個人情報取扱事業者に適用されます。

通常は、フランチャイザー、フランチャイジーともに、この個人情報取扱事業者に該当するものと考えられます。

(1)利用目的の特定と明示

個人情報の取扱いに際しては、利用目的をできる限り特定し、事前に公表するか速やかに通知又は公表し、本人から書面に記載された個人情報を取得する場合には予め当該書面に利用目的を記載するなどして利用目的を明示する必要があります。

(2)第三者への提供

#1:あらかじめの同意

原則、予めの本人の同意なくして個人情報を第三者に提供してはなりません。

この「第三者」には、フランチャイザーがフランチャイジーに提供する場合のフランチャイジーも該当します。

#2:グループ間での共有

もっとも、グループによる共同利用について、①共同利用される個人データの項目、②共同利用者の範囲、③利用目的及び④管理責任者の氏名・名称等について、予め本人に通知し、又は本人が容易に知りえる状態に置いているときは予めの同意がなくても個人情報の共同利用が可能となります。

新たな加盟等によるフランチャイジーの変動が見込まれるでしょうから、共同利用者の範囲としては、フランチャイザーのホームページ上に、「○○フランチャイズチェーン加盟店」等と記載することが考えられます。