競業避止義務違反と事業の差止め

免責不許可事由がある場合の対処法

1.競業行為の差止め

フランチャイズ契約で定められる競業避止義務条項には、同種の事業を行うことが禁止されていますので、加盟店(又は元加盟店)がこの競業避止義務に反して、フランチャイズ・システムと同種の事業を行った場合、事業の差止めを請求される可能性があります。

2.競業避止義務を負う者の範囲

競業避止義務を負うのは、本部と契約をした加盟店又は元加盟店であるのが原則です。

しかし、競業避止義務は、多くの場合、第三者を利用して本部と同種の事業をさせることを禁止しています。

また、第三者に本部と同種の事業を行わせることを明確に禁止していない場合であっても、事業を行った場合にも、加盟店や元加盟店が、その第三者の事業に深くかかわっている場合や、第三者が近親者である場合、競業避止義務を意図的に免れるための別法人を設立しているような場合には、信義則上、加盟店又は元加盟店は、その第三者と同視され、第三者の事業も差止めの対象となる場合があります。

3.競業が差止められる期間

フランチャイズ契約の中には、競業を禁止する期間に制限がなく、永久に本部と同種の事業を行えないと解釈できるような定めが置かれていることがあります。

しかし、加盟店や元加盟店の事業を行うことを禁止することは、営業活動の自由を奪うものですから、永久的に競業避止義務を負うと判断されるケースは少ないでしょう。

裁判例では、契約終了後2年や3年間、競業避止義務を負うとした条項を有効と認めた例が多く、場合によっては契約終了後5年の競業避止義務を認めた例もあります。

4.競業が差止められる場所的範囲

また、本部と同種の事業を行うことが禁止される場所的範囲(エリア)にも、制限がされることが一般的です。

これは、競業が差止められる期間と同様、場所の制限もなく競業が禁止されると、加盟店や元加盟店の営業活動の自由を大きく制限するからです。

競業を禁止するエリアとしては、狭い場合で元加盟店の店舗所在地における競業、広い場合には、加盟店や元加盟店が所在した都道府県及びその隣接する都道府県まで競業を禁止した条項を認めた裁判例もあります。

5.差止めまで認められるか

事業行為の差止めは、損害賠償とは違い、単に金銭的な負担を負うだけではなく、事業そのものを停止させるため、事業を行う者に対する影響は大きいと言わざるをえません。

したがって、競業避止義務に違反した場合、損害賠償が認められるからといって、必ずしも同時に差止めが認められるというわけではありません。