フランチャイズの労務問題2(本部と加盟店との間の人材交流)

フランチャイズは、本部及び加盟店だけの関係では成り立たず、本部、加盟店のいずれも会社組織であれば、会社内部の労務問題は切っても切り離せない問題です。

今回は、フランチャイズシステムにおいて、本部と加盟店との間で、労働者の派遣、受け入れが行われることの問題点についてお話しします。

1.外部の人材の受け入れ

そもそも、労働者を他の使用者に提供、供給することは、職業安定法という法律によって禁止されていました(職業安定法は、労働者の募集や職業紹介、労働者の提供を規制する法律です)。

しかし、経済、企業の発展に伴い、企業のコスト削減や労働の仕方の多様化のニーズに対応するため、派遣法が制定されました。

今では、会社の外部から人材を調達することは当たり前のようになっています。

このように、過去の歴史を見ると、労働者の提供は原則禁止されており、派遣法によって、派遣業をすることの許可を受けた企業のみが、提供行為を行うことを許されています。

したがって、労働者を提供する行為は、労働の実態によっては無許可による派遣として派遣法上違法となることもあり、違法と判断された場合には、行政指導・勧告や刑罰の対象となり得ます。

2.派遣とは

派遣は、①派遣元と派遣先で人材提供の契約を締結、この契約に基づいて、②派遣元の従業員を派遣先に提供、③従業員が派遣先の指揮命令のもとに業務に従事、という形態をとります。

したがって、本部と加盟店との間で労働者の行き来がある場合、労働の実態が上記の3つに当てはまると、派遣業の許可が必要な派遣を行っていることになります。

労働者を提供する側が、派遣業の許可を得ていない場合には、無許可で派遣業を営むことになり、違法となる場合があります。

3.本部と加盟店との間の労働者の提供

フランチャイズ契約においても、知らず知らずのうちに、違法な派遣を行ってしまう可能性があります。

例えば、加盟店のスタートアップ時において、不慣れな加盟店を手助けする意図で本部から本部の従業員を派遣させて、加盟店での業務に従事させるような場合です。

このような形態で本部が加盟店に労働者を派遣する場合、この従業員が、加盟店の指揮命令のもとに業務に従事し、給与等も加盟店から支払われるとなると、職業安定法上禁止された労働者の提供、派遣法上の許可をもらわなければ認められない労働者の提供に当たる可能性があります。

しかし、本部から従業員を派遣するとしても、この従業員が、本部の指揮命令のもとに加盟店の経営指導、技術指導をする業務に当たるのであれば、違法な労働者の提供には当たりません。

労働者の提供が職業安定法上の禁止された労働者の提供に当たるかどうかは、形式的な契約形態(名目)ではなく、労働の仕方の実態によって判断されます。

したがって、フランチャイズ契約に基づく労働者の提供であっても、この労働者の提供行為が違法になる場合がある点に気を付けなければなりません。