店舗のデザインと準備・管理責任

コンビニエンスストアなどのフランチャイズの店舗は、全国どこでも統一されたデザインになっています。

加盟店が独自にデザインの一部変更をすることはできるでしょうか。

また、店舗の準備や管理は本部と加盟店のどちらがするのでしょうか。

1.店舗デザインの統一性

まず、コンビニエンスストアやレストランなどの契約書には、店舗の内外装、設備・備品の選定などは本部の指定に従うという条項が入れられています。

この条項によって、加盟店は必ず統一デザインの店舗にしなければなりません。

また、加盟店独自にデザインの一部変更をすることはできません。

このような条項が入っているのは、フランチャイズの店舗が、統一のデザインの店舗を顧客に認識してもらって、集客するシステムをとっているからです。

たとえば、同じ名前のコンビニであれば同じデザインの看板を使用することで、顧客はどのコンビニかを瞬時に知ることができます。

初めて行く店舗でも、見慣れた外観の店舗であれば顧客は安心して入店することができます。

本部がコンビニエンスストアなどの小売店でこのようなデザインの指定をする場合、法律上、加盟店に対して文書で説明することになっています。

加盟店となる際には、このような説明をしっかりと聞き、本部からのデザインの指示がどこまで細かくされているかを確認する必要があります。

2.店舗の準備と管理

店舗準備のための工事や備品の購入は加盟店が自費で行います。

また、店舗の管理も加盟店が行うこととされています。

たとえば、加盟店は、店舗内で顧客が滑って転んで怪我をしたりしないように店舗の建物自体の手入れをしなければなりません。

他にも、駐車場に段差があって顧客の運転する自動車に傷がついてしまわないように、管理することも必要となります。

店舗の加盟店は自ら経営を行っている事業主ですから、本部からの指示を受けているとはいえ、このような店舗の準備や管理という負担を負うのも当然であるといえるでしょう。

ただし、確かに、建物の準備や普段の管理をするのは加盟店の責任ですが、実際に顧客が店舗内で怪我をした場合には、加盟店だけでなく、本部も賠償責任を負うことがあります。

上述の例でいえば、店舗内で顧客が滑って転んで怪我をした場合、本部が全店舗に指示をしている方法で、本部が指示した道具を使って床掃除をした結果、そのような怪我を顧客が負ったのであれば、本部の責任になり、本部が顧客の治療費や慰謝料などの賠償責任を負います。

また、駐車場に段差があって顧客の運転する自動車に傷がついた場合、加盟店が十分に注意をしていて、店舗の駐車場が本部所有のものであれば、本部が自動車の修理代の賠償責任を負います。

このようなケースで、顧客に本部を訴えられてしまい、判決で本部の責任だということになると、加盟店としては責任がなくとも、本部との関係は悪くなってしまうおそれがあります。

そこで不当にフランチャイズ契約を解除されてしまうことも十分に考えられます。

不当なフランチャイズ契約の解除に対しては、法的には、解除をなかったことにしたり、正当な対価を受け取って再出発したりすることが考えられます。

ただ、本部は法務部に弁護士がいたり、法律的知識を持った法務部員がいたりすることが多く、加盟店にとって、本部との話し合いは難しいでしょう。

そのような不当なフランチャイズ契約の解除をされた際には、ご自分で抱え込まず、弁護士に相談していただきたいと思います。