会社の破産は弁護士に依頼した方がいい?破産手続の流れについて解説

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

この記事の内容を動画で解説しております。あわせてご視聴いただければと思います。

「会社の経営状態が悪化してしまい、負債も多く事業の継続が難しいので、会社をたたんでしまいたいがどうすればよいだろうか」
「今後会社の負債を返済しながら事業継続ができるめどが立たない」

会社を経営されている方の中には、会社の負債が大きくなってしまい、上記のようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、会社が破産する際の手続の概要、弁護士に手続を依頼するメリット、当事務所における会社破産手続の対応についてご説明します。

本記事が、会社破産手続を進める際の参考となれば幸いです。

1.会社破産手続の流れ

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株式会社などの法人の破産手続の流れは以下のとおりです。

(1)弁護士への相談・依頼

まずは、弁護士へ相談していただくことから手続は始まります。

相談時には、負債が増大するに至った経緯、債権者・債務額、会社の資産状況、従業員の有無、代表者の連帯保証の有無、事業所の状況、次回の返済日、売掛金や買掛金の有無、金額及び入金スケジュールなどを確認し、破産手続において必要となる情報を弁護士が聞き取ることになります。

その上で、申立てのためにどのようなスケジュールでどのような準備が必要か、裁判所に納める費用、弁護士費用や、どのような懸念点がありどのように解決するかなどの見通しを説明し、方針や進め方について決断された場合は依頼を受けることになり、契約書を取り交わして、手続を進めていくことになります。

(2)申立書の作成、従業員への説明・解雇等

相談時等に、弁護士から依頼者に対して必要書類を説明し、その提出を受けた上で、弁護士が申立書類を作成します。

申立書類の作成の際には、面談時に聞き取りきれなかった事情をさらに確認することもあります。

また、破産申立て前に事業を停止して従業員を解雇する場合、従業員が早めに失業保険等を受け取れるようにする必要があります。その手続の説明等についても弁護士が行うケースもあります。

(3)破産申立て

作成した申立書類を裁判所に提出し、申立てを行います。

申立ては管轄のある裁判所に提出する必要があります。

管轄があるのは、原則として、依頼者の会社の主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所です。

なお、会社破産の場合、会社財産の調査等を行うために、破産管財人という者が選任されます。

破産管財人は、通常弁護士が選任されるものであり、換価処分の対象となる破産者の財産の管理処分権を与えられ、その処分等を行うことになります。

(4)債務者審尋、破産手続開始決定

法人破産の場合、裁判所が、破産手続の申立て後、破産手続の開始決定を出す前に、破産手続開始の要件を満たしているかどうかを判断するための手続として、審尋を行うことがあります。この審尋では、債権者や債務額、会社の資産、従業員の解雇の有無などの破産手続開始後に必要となる情報について確認がなされます。

審尋が行われた後、破産手続開始の要件を満たしていると裁判所が判断すれば、破産手続開始決定が出されることになります。

裁判所によってはほとんどこの審尋を実施せず、裁判所が申立代理人弁護士と面談するだけで破産手続の開始決定に進むという運用をしていることも多いです。

例えば東京地方裁判所本庁や宇都宮地方裁判所本庁などでは、審尋が行われることはあまりありません。

 

(5)破産管財人との打ち合わせ

破産管財人、法人の代表者、申立代理人弁護士の三者で面談し、破産に至った経緯等の詳しい事情、資産の状況、手続の進め方、法人財産の引継ぎの方法などを話し合うことになります。

この際、申立代理人が預かった会社の物品や資料についても破産管財人に引き継ぎます。

代理人弁護士がいない場合、破産管財人は引き継いだ資料を精査して、不足しているものがあれば、申立人に提出するよう求めることになります。

代理人弁護士がいる場合は、その連絡も代理人弁護士にされることになり、不足資料の収集についても弁護士の主導によって行うことができます。

なお、裁判所によっては、破産手続開始決定前にこの打ち合わせを行うようにしていることもあります。

(6)破産管財人による管財業務・債権者集会

破産手続開始決定後、破産管財人は、破産法人の財産の調査、処分等の管財業務を行うことになります。

売掛金の回収や、破産手続開始後に従業員を解雇する場合の解雇に関する手続も、管財業務の一つです。

この管財業務の進捗状況を債権者に報告するため、債権者集会という手続が行われます。

通常、第1回の債権者集会は、破産手続開始決定から2か月~3か月後に開催されています。

この債権者集会は、管財業務の終了、つまり法人財産の調査と換価が終了するまで、3か月程度の間を置いて第2回、第3回と継続して開催されていくことになります。

第1回の債権者集会までに、法人に配当すべき財産もないことが判明していれば、そこで管財業務は終了します。

(7)債権者への配当

管財業務が完了した後は、債権者への配当が行われることになります。

配当については、裁判所により配当期日の指定がされますが、この期日は形式的なものであり、実際はそれ以前に管財人による配当処理が行われています。

(8)破産手続の廃止、終結

法人に財産がなく、配当が行われない場合、裁判所から破産手続廃止決定が出され、手続は終了します(申立てと異なる時点で廃止となるため「異時廃止」といいます。)。

一方、配当手続が行われて、手続が終了した場合は、裁判所から破産手続終結決定が出されて手続は終了します。

廃止、終結の決定については官報に公告され、また、登記がされます。

登記がされたことにより、法人の登記簿が閉鎖され、法人格が消滅することになります。

2.会社の破産手続を弁護士に依頼するメリット

(1)申立書類の作成や資料収集の整理を任せることができる

会社破産の申立てを裁判所に行うにあたっては、多くの必要事項の記入が必要な申立書類を提出する必要があります。これを弁護士に依頼をせずに作成することは容易ではありません。

また、法人の破産の場合、個人の破産と比較して、提出すべき資料が膨大にあります。

これらについて整理せずに何の指針もなく収集するのは極めて困難と言えるでしょう。

申立て後、破産管財人から追加資料の説明や資料を求められた場合も同様の困難が生じます。

これらを弁護士に依頼すれば、申立書類の作成は弁護士が進め、どのような資料をいつ収集すればよいのかについて判断を受けながら進めることができますので、負担を大幅に軽減することができます。

(2)債権者とのやり取りを弁護士に委ねることができる

弁護士に依頼した場合、事案に応じて、弁護士は、ただちに債権者に対し、弁護士が負債の整理を行うことになったことを知らせる受任通知を送付します。

以降は、弁護士が窓口となり、債権者からの連絡に対応してやり取りを進めるようになります。

そのため、多数の債権者からの連絡に煩わされず、破産手続のための準備に集中することができます。

(3)代表者の債務整理も一緒に進められる

会社も法人として、一つの人格を与えられた存在です。

そのため、会社とその代表者は別人格ですから、会社に借金があって破産することとなっても、代表者まで破産する必要はありません。

しかし、代表者が会社の借金について保証をしていることは多くあります。会社が破産すると、代表者も保証債務の請求を受けてしまいますから、代表者も破産せざるを得なくなります。

弁護士に依頼した場合、破産準備のための聞き取りにより、代表者も一緒に破産しなければならない状況かどうかを判断することができます。

代表者の破産が必要となった場合は、会社の破産と合わせて進めることが有益です。

本来、会社と代表者は別人格ですから、それぞれ別の破産事件を申し立てることになり、裁判所に納める費用も2件分がかかることになります。

しかし、ほとんどの裁判所においては、会社と代表者の破産事件を同時に申し立てることにより、別々に申し立てた場合よりも裁判所へ納める費用を低く抑えられる運用がされているのです。

弁護士に依頼し、代表者も破産した方がよいかどうかを確認し、その必要があれば一緒に進めてもらうのがよいでしょう。

(4)従業員とのやり取りなどを任せられる

前記のとおり、従業員がいる会社では、事業を停止するために従業員を解雇しなければならないこともあります。

この際に、従業員に対する説明を行うことになりますが、これについても弁護士が代わりに行うことができます。

これまで会社のために働いてきてくれた従業員全員を解雇することになりますので、代表者としては身を切られる思いで解雇の決断をすることになるでしょう。

この通告を代表者本人で行うのは難しいケースもありますので、そういったことを弁護士に任せられるのはメリットといえます。

3.弁護士法人みずきの強み

(1)豊富な破産申立て実績

弁護士法人みずきでは、開設以来、多数の会社破産手続の申立てを行ってきました。

これらの経験の蓄積により、相談者、依頼者の状況に応じ、適切なアドバイスを行いながら、破産手続を進めることが可能です。

(2)多種多様な業種の破産手続の対応

弁護士法人みずきでは、これまで飲食業、卸売業、小売業、製造業、建設業、旅行業、運送業、農業といった様々な業種の法人について、破産の申立てを行っております。

これらの経験を生かして、それぞれの業種に対応して、適切に手続を進めることができます。

(3)破産管財人の経験を持つ弁護士が在籍

破産の申立ての経験だけではなく、破産管財人の経験を持つ弁護士も在籍しております。

これにより、破産手続の申立て後を見据えた準備を行い、破産手続開始決定後の手続もスムーズに進めることができます。

まとめ

本記事では、会社破産手続の流れ、弁護士に手続を依頼するメリットをご説明しました。

会社の破産をお考えの場合は、弁護士に依頼した方が、手続をスムーズに進められ、代表者の負担も軽減することができます。

弁護士法人みずきには豊富な実績があり、多数の破産手続の経験がある弁護士が在籍しています。そのため、それぞれの会社の状況に応じた対応が可能です。

会社破産の手続をご検討の際には、弊法人へご相談いただければ幸いです。

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。