知的財産権に関するリサーチ

1.出願前の調査

特許のみならず、商標や意匠であっても、出願前に登録済み商標と類似しないか、リサーチする必要があります。

類似する商標のリサーチは、①当該商標を権利化するという観点、②侵害訴訟を予防するという観点のいずれからも重要です。

(1) 当該商標を権利化するという観点

商標出願をした場合、既存の登録済み商標が引用された上で拒絶理由通知が出されることが多くあります。

拒絶理由通知を受け取った場合、一部の分類を削除する補正したり、類似しないとの意見書を提出したりすることになりますが、補正や意見書提出期間は限られています。

そのため、出願前に、既存の登録済み商標のうち類似する商標はないかリサーチすることは、補正や意見書の提出という中間処理自体を削減するためにも、補正や意見書の提出の際の反論を想定しておくためにも、重要となります。

リサーチには、J-PlatPat(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage)を用います。

 (2)侵害訴訟を予防するという観点

商標権侵害に基づく損害賠償請求訴訟を提起された場合、訴訟対応に長大な期間と労力を割かなければならなくなります。

また、商標権は、会社名や主力商品名であることがほとんどですので、営業損害も大きく、経営にもダメージを与えてしまいます。

そのため、侵害訴訟そのものを予防するという観点からも、出願前に、既存の登録済み商標のうち類似する商標はないかリサーチすることは、重要となります。

リサーチには、J-PlatPat(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage)を用います。

2.商標の不使用取消審判

既存の登録済み商標のうち、6~7割程度は、営業上使用されていないものと言われます。

そのため、既存の登録済み商標と同一もしくは類似すると考えられる商標の登録を希望する場合でも、不使用取消審判を請求することで、自社の登録可能性が生じます。

不使用取消審判にあたっては、商標権者が営業上使用していないことを立証する必要はなく、商標権者が営業上使用していることを立証しなければなりませんので(立証責任の転換といいます。)、審判請求のハードルは高くないです。

したがって、既存の登録済み商標と同一もしくは類似すると考えられる場合であっても、商標権者が営業上使用しているかどうかという一歩踏み込んだ調査を経て、営業上使用している事実が見当たらない場合に不使用取消審判を請求するという選択肢は、自社の登録可能性を生じさせるために、とても有意義です。