過失割合7対3になる交通事故とは?示談に納得いかないときの対処法

執筆者 青山 侑源 弁護士

所属 東京弁護士会

法律トラブルというものは、いつも身近に潜んでいるものです。
はじめのうちは「大したことないだろう」と思っていたことが、そのうち大事になってしまうというケースも多くありますので、少しでも「法律トラブルに巻き込まれたかもしれない」と感じている場合には、お早めにご相談いただくことをおすすめいたします。
法律トラブルへの対処方法や解決方法は、個人の方、法人の方ごとに千差万別ですが、お早めにご相談いただくことで、選べる選択肢も多くなります。
どのような解決方法があなたにとって最適な選択となるのか、一緒に検討していきましょう。

この記事の内容を動画で解説しております。

あわせてご視聴いただければと思います。

「交通事故の過失割合が7対3になるのはどういうときなのか」
「7対3の過失割合に納得がいかないときはどうしたらいいのか」

交通事故の被害者の中には、過失割合が7対3と判定されて納得がいっていない方もいるのではないでしょうか。

本記事では、交通事故の過失割合が7対3のときの示談金や7対3になるときのケース、過失割合に納得がいかないときの対処法についてご紹介します。

1.交通事故の過失割合が7対3のときの示談金

交通事故の過失割合が7対3のときの示談金

交通事故の過失割合が7対3になった場合、多くの場合両者の被害金額を過失割合に応じて損害額を計算して、被害者の損害額から加害者の損害額を差し引いた残りが賠償金として被害者に支払われることになります。

たとえば、被害者の被害金額が100万円で加害者の被害金額が50万円だった場合、過失割合が7対3であれば、被害者の損害額は100万円×0.7=70万円、加害者の損害額は50万円×0.3=15万円となり、それぞれを相手方に請求することが可能です。

実際は、被害者の請求金額70万円から加害者の請求金額である15万円を引いた55万円が示談金として加害者から被害者に支払われることになります。

このように被害者は必ずしも被害額の7割を得られるわけではないので注意しましょう。

2.過失割合が7対3になる主なケース

過失割合が7対3になるケース

被害者側に3割の過失割合が生じるケースにはどのようなものがあるでしょうか。

四輪車同士の衝突事故の場合のほか、被害者が歩行者や自転車の場合であっても3割の過失が認められるケースもあるので、一通り確認しておきましょう。

(1)四輪車同士

四輪者同士の事故で過失割合が7対3になりうるケースとしては、以下のとおりです。

  • 信号のない交差点で、狭い道路の直進車と広い道路の直進車の衝突
  • 信号のない交差点で、一時停止規制のある道路から進入した直進車(減速あり)と直進車(減速なし)との衝突
  • 黄色信号で進入した直進車と黄色信号のときの右折車(進入時が青信号)の衝突
  • 赤信号の直進車と赤信号の右折車(進入時は黄色信号)の衝突
  • 同幅の交差点で、右折車と直進車の衝突
  • 信号のない交差点で、右方道路から進入してきた右折車と直進車の衝突
  • 信号のない交差点で、一時停止規制のある直進車と左方道路からの右折車の衝突
  • 信号のない交差点で、非優先道路の直進車と優先道路からの右折車(直進車の向かう方向への右折)の衝突
  • 信号のない交差点で、対向右折車と左折車の衝突
  • 信号がないT字路交差点で、狭い道路の右折車と明らかに広い道路の右折車の衝突
  • 同一方向に走行中の進路変更車と後続直進車の衝突

さまざまなパターンがありますが、上記のどれかに該当する場合、7対3の過失割合(いずれも前者が7、後者が3)になる可能性があります。

(2)四輪車と二輪車

四輪車と二輪車の事故で過失割合が7対3になりうるケースは以下のとおりです。

  • 赤信号の直進二輪車と黄色信号の直進四輪車の衝突
  • 信号のない交差点で、幅の狭い直進四輪車(減速あり)と幅の広い道路の直進二輪車(減速せず)の衝突
  • 黄色信号の右折四輪車と黄色信号の直進二輪車の衝突
  • 渋滞車列の間を通った四輪車と渋滞車列の横を通過する二輪車の衝突
  • 信号のない交差点で、非優先道路の直進・右折二輪車と優先道路の直進四輪車の衝突
  • 路外からの右左折二輪車と直進四輪車の衝突
  • 追い越し禁止場所ではない道路で、追い越し二輪車と直進四輪車の衝突
  • 対向車線から転回途中の二輪車と直進四輪車の衝突

こちらのケースも前者:後者の過失が7対3となりえます。

二輪車側が過失割合で7とされるケースもあることは押さえておきましょう。

(3)四輪車と自転車

四輪車と自転車の事故でも過失割合が7対3になることがあります。

たとえば、以下のケースです。

  • 双方赤信号の直進四輪車と直進自転車の衝突
  • 信号のない交差点で、広い道路の直進・右折四輪車と狭い道路の直進自転車の衝突

いずれも四輪車の過失が7で自転車の過失が3となりえます。

自転車の方が過失が重いケースもありますが、基本的には自転車側が有利になることを頭に入れておきましょう。

(4)四輪車と歩行者

四輪車と歩行者の事故でも以下のように7対3の過失割合になるケースがあります。

  • 路上横臥者と道路の直進四輪車の衝突(昼間の場合)

路上横臥者との衝突はかなり珍しい事象なので、もし当てはまる場合は確認しておきましょう。

(5)自転車と歩行者

自転車と歩行者との事故の場合過失割合が7対3になるケースもあります。

基本的に、歩行者は守られますが、歩行者側の信号無視による衝突は、歩行者であっても過失割合は大きくなります。

3.過失割合に納得がいかないときの2つの対処法

過失割合に納得がいかないときの対処法

過失割合に納得がいかないときは、以下の方法をとりましょう。

過失割合に納得がいかない時の対象法

  1. 過失割合の修正を求める
  2. 弁護士に相談する

過失割合は交渉によって変わることがあるので、どうしても納得がいかないと思われた方は、速やかに行動しましょう。

(1)過失割合の修正を求める

過失割合の修正が可能かどうか検討しましょう。

上記の事故態様における過失割合はあくまで基本的な場合なので、事情次第では、被害者の過失が2以下になることもあります。

例えば、加害者が猛スピードで走行していたため被害者の回避が困難だったなど、加害者側の運転に大きな過失がある場合は、被害者の過失が小さくなることもあるでしょう。

加害者側の保険会社は、基本的に加害者の過失割合を下げようと提案してくるので、保険会社が過失割合を提案してきたからといって鵜呑みにしないのがポイントです。

(2)弁護士に相談する

弁護士に代わりに加害者側と交渉してもらうのもおすすめです。

過失割合の修正を求める際、弁護士であれば過去の裁判例などをもとに適切な主張を行うことができます。

また、示談交渉を弁護士に依頼すると、慰謝料などの賠償金を弁護士基準を前提に交渉できるため、他の自賠責基準や任意保険基準と比べて受け取れる賠償金の金額が増加することもメリットです。

過失割合に納得がいかないときは、まずは弁護士に相談してみましょう。

まとめ

交通事故の過失割合で7対3になるケースはいくつもあります。

自転車や歩行者であっても過失割合が3になることがある点は押さえておきましょう。

当事者ごとにさまざまなケースをご紹介しましたが、実は他にも考えられるシチュエーションはあります。

今回ご紹介したパターンに該当しない方で適切な過失割合を知りたい方や提示された過失割合に納得がいかない方は弁護士に相談しましょう。

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執筆者 青山 侑源 弁護士

所属 東京弁護士会

法律トラブルというものは、いつも身近に潜んでいるものです。
はじめのうちは「大したことないだろう」と思っていたことが、そのうち大事になってしまうというケースも多くありますので、少しでも「法律トラブルに巻き込まれたかもしれない」と感じている場合には、お早めにご相談いただくことをおすすめいたします。
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