B型肝炎給付金の申請手続の方法とは?申請時の注意点や給付金の金額を解説
「B型肝炎給付金はどうやって申請するのか」
「B型肝炎給付金の手続で気を付けるところは何なのか」
B型肝炎ウイルスに感染した方で、一定の条件に当てはまる場合、B型肝炎給付金を受給できる可能性があります。
本記事では、B型肝炎給付金の申請方法や申請時の注意点、申請できる給付金の金額についてご紹介します。
1.B型肝炎給付金の申請手続方法
B型肝炎給付金の申請手続についてご紹介します。
基本的には、以下のとおりです。
- 証拠資料の準備
- 国家賠償請求訴訟の提起
- 和解協議、和解の成立
- 申請書の提出
それぞれの手続について以下、ご説明します。
B型肝炎給付金の申請を検討している方は参考にしていただければ幸いです。
(1)証拠資料の準備
B型肝炎給付金の申請をするためには、受給条件を満たしていることを証明しなければなりません。
そのため、まず受給条件を満たしていることを示す証拠資料の準備を行う必要があります。
まず、申請対象者には以下の2つの類型があります。
申請対象者 | 申請条件 |
一次感染者 | 7歳になるまでに、集団予防接種等(昭和23年7月1日から昭和63年1月27日までの間に限る)の際の注射器の連続使用により、B型肝炎ウイルスに感染した方 |
二次感染者 | 一次感染者から母子感染をした方 |
B型肝炎給付金を申請するために必要な資料は、申請対象者ごとに異なるので注意が必要です。
申請対象者ごとの必要な証拠資料は以下のとおりです。
一次感染者 | ・B型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する資料 ・満7歳になるまでに集団予防接種等(昭和23年7月1日から昭和63年1月27日までの間に限る)を受けていることを証明する資料 ・⺟⼦感染でないことを証明する資料 ・その他集団予防接種等以外の感染原因がないことを証明する資料 |
二次感染者 | ・原告の⺟親が⼀次感染者として認定されるための資料 ・原告本人がB型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する資料 ・⺟⼦感染であることを証明する資料 |
ご自身が条件を満たしているか不明な方は、一度弁護士に相談してみましょう。
なお、具体的な資料内容については以下の記事でまとめているので、あわせてご確認ください。
(2)国家賠償請求訴訟の提起
B型肝炎給付金は、裁判上の和解をすることが支給の条件となっています。
そのため、先に紹介した資料を揃えたら、裁判所での協議を行うために国家賠償請求訴訟の提起をしましょう。
国家賠償請求訴訟は、一般の方でも行えますが、原告側は証拠をもとに的確な主張をしなければならず、専門的な知識、経験が必要になる場合があります。
また、手続に時間と手間がかかり大きな負担となりますので、なるべく弁護士に手続を一任するのがおすすめです。
(3)和解協議、和解の成立
訴訟を提起した後は、裁判所を介した和解協議を行うことになります。
この段階では、B型肝炎給付金を支給することが適切かを判断するため、追加でさまざまな書類の提出を求められることがあります。
提出書類に問題がなければ、国との間で和解調書を取り交わして和解が成立します。
(4)申請書の提出
和解成立後は、B型肝炎給付金の申請書を提出します。
申請書の提出先は、社会保険診療報酬支払基金です。
なお、申請書のほかに、以下の書類を提出することになります。
- 支払基金に提出する書類
- 給付⾦等⽀給請求書
- 受給者証交付請求書
- 住⺠票等
提出書類に不備がなく、同基金に受理されたら、後日給付金が支給されます。
2.B型肝炎給付金の申請時の注意点
B型肝炎給付金を申請するときに、いくつか注意点があります。
特に知っておくべき点は以下の2点です。
- 申請できる条件がある
- 請求期間がある
申請対象者でも請求できないケースがあるので、注意しましょう。
(1)申請できる条件がある
B型肝炎ウイルスに感染していたとしても、全ての人が給付金を受給できるわけではありません。
上記で述べたように、一次感染者と二次感染者に該当しない場合は、B型肝炎給付金の対象外です。
申請対象者の条件に関しては、以下の記事で具体的にまとめているので、あわせてご確認ください。
(2)請求期限がある
B型肝炎給付金には請求の期限があります。
2021年6月11日の改正により、訴訟提起期限は2027年3月末までとなりました。
法務省のホームページによれば、集団予防接種によりB型肝炎ウイルスに感染した方は推計40万人以上とされており、令和4年1月31日時点で訴訟提起数(原告数)は累計で9万6,974件で、その内和解が成立したのは7万7,101件です。
推計からすると、実際に一次感染者でB型肝炎給付金を受給してたいるのは、全体の2割を切っていることになります。
訴訟提起期限を迎える前に訴訟手続を進めましょう。
3.申請できる給付金の額
B型肝炎給付金の金額は、症状の区分によって異なります。
厚生労働省のウェブサイト(B型肝炎訴訟について(救済対象の方に給付金をお支払いします) |厚生労働省 (mhlw.go.jp))のとおり、支給金額は以下のようになっています。
病態等 | 支給金額 |
死亡・肝がん・肝硬変(重度) | 3,600万円 |
20年の除斥期間が経過した死亡・肝がん・肝硬変(重度) | 900万円 |
肝硬変(軽度) | 2,500万円 |
20年の除斥期間が経過した肝硬変(軽度) | |
(1)現在、肝硬変(軽度)にり患している方 など | 600万円 |
(2)(1)以外の方 | 300万円 |
慢性B型肝炎 | 1,250万円 |
20年の除斥期間が経過した慢性B型肝炎 | |
(1)現在、慢性B型肝炎にり患している方 など | 300万円 |
(2)(1)以外の方 | 150万円 |
無症候性キャリア | 600万円 |
20年の除斥期間が経過した無症候性キャリア (特定無症候性持続感染者) |
50万円 |
症状によって受給できる金額に大きな差があるので、対象者の方はどのくらいの金額を受給できる可能性があるのかチェックしておきましょう。
まとめ
B型肝炎給付金は、国家賠償請求訴訟を提起し、国との間で和解をすることで受給できます。
ただし、B型肝炎ウイルスに感染した全ての人が申請できるわけではありません。
一次感染者と二次感染者に該当する方は、2027年3月末までに訴訟提起するようにしましょう。
弁護士法人みずきでは、B型肝炎給付金に関する相談を無料で受け付けております。
些細な悩みでもかまいませんので、お気軽にご相談ください。
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