債務整理後に支払いが遅れる時には?任意整理・個人再生それぞれの対処法を紹介
「債務整理で和解をしたのに支払が遅れてしまうかもしれない」
「任意整理をしたが入院で収入がなくなってしまった」
任意整理や個人再生を行った後の分割返済中に、急な入院や仕事の状況の変化等で支払いが難しくなることがあります。
支払いが滞りそうなのに放置をし、そのまま滞納が続くと債権者から訴えを起こされて財産・給与の差押えに発展しかねません。
今回は任意整理や個人再生後の分割返済中に支払いが遅れる場合の対処法、返済額が払えなくなった場合の対処法を解説します。
大事なのは支払いの遅滞を放置せず、状況に合わせて適切な手続を取ることです。
決して支払いの遅れを放置せず、適切な行動を取るようにしましょう。
1.任意整理中に支払いが遅れそうな場合の対処法
任意整理によって和解を行う場合「懈怠約款」というものを約束に盛り込むことになります。
これは、「返済が遅れた(懈怠)場合に、どうなるか」を定めるものです。
多くの場合は、返済を2回以上怠った場合(滞納額が2回分の合計額に達した場合)には、残債務を一括して返さなければならないという約款になります(稀に、1回の滞納で一括弁済を求められる約款もありますので、ご自身の和解内容をご確認ください。)。
このような約款がある任意整理において、支払いが遅れそうな場合の対処法を紹介します。
- 支払いの遅れが1回目の場合
- 支払いの遅れを解消できずに再度遅れそうな場合
支払いが遅れた回数や状況によって対応が違うので現在の滞納状況に合わせて確認してください。
(1)支払いの遅れが1回目の場合
支払いの遅れが初回である場合は、上記のような約款であればすぐに一括請求をされることはありません。
しかし、何も対処しなければ状況は悪化しますので、以下の2つの対処法をお勧めします。
- とにかくまずは債権者に連絡を取る
- 催促の電話や請求書が送られてくる場合は弁護士に相談する
それぞれの方法を説明します。
#1:とにかくまずは債権者に連絡を取る
約束の返済日に支払いができない恐れがあれば、まずは債権者に連絡を取りましょう。
支払いが遅れる事情を事前に連絡をし、支払いが遅れる可能性があることを伝えてください。
返済日を過ぎてから連絡するよりも、事前に連絡した方が心象がよくなります。
もしも懈怠約款上1回の遅れで一括弁済を要求できるようになっていたとしても、支払いの遅れが初めてであれば、債権者に対して誠実に対応することで待ってもらえるケースが少なくありません。
支払日を過ぎてから連絡をしたり、連絡自体をしないで放置することは避けましょう。
まずは事前に滞納が起きそうなことを債権者に伝えてください。
#2:催促の電話や請求書が送られてくる場合は弁護士に相談する
債権者から催促の電話や請求書が送られてくる場合は、弁護士に相談しましょう。
和解成立後の支払いの遅れはご自身に債権者から連絡が入る場合がありますので、まずは弁護士に相談するのが安心です。
返済の見込みがあるのか、それとも返済の見込みがなく他の手続をとるべきかも含めて相談してみてください。
(2)支払いの遅れを解消できずに再度遅れそうな場合
支払い遅れが解消できずにさらに遅れが発生する場合には、懈怠約款によって一括請求をされてしまう可能性が生じます。
このような場合には、以下の対処法をお勧めします。
- 契約中の法律事務所などがあれば相談する
- 再和解を検討する
- その他の債務整理の手段を検討する(個人再生・自己破産)
#1:契約中の法律事務所などがあれば相談する
支払いの遅れが解消できていない状況でさらに支払いが遅れそうな場合は契約中の法律事務所に相談しましょう。
支払いの遅れを放置すると、債権者からの訴訟や一括請求のリスクを招くので早急に弁護士に相談してください。
支払い遅れが解消できずに滞納状況が続くということは、和解成立当初の状況と異なってきているということですので、方針変更など何らかの手を打つ必要がある場合も多くあります。
まずは、弁護士と状況を整理したうえで、一番良い方針を検討するべきです。
#2:再和解を検討する
支払い遅れが一時的なものでない場合には、再和解を検討しましょう。
和解が成立した時点での収入状況から大きな変動があったような場合には、再度和解内容を見直す必要があります。
具体的には、残債務額について再度長期分割を組み直すことで返済期間が延び、その分月々の支払金額が減額するので、生活への影響も少なくなるでしょう。
ただしあくまで債務者との交渉によるものなので、それまでの滞納状況などによっては債務者が再和解に応じないケースがあります。
その場合は次の項目で説明する個人再生や自己破産の手続が必要です。
#3:その他の債務整理の手段を検討する(個人再生・自己破産)
滞納が常態化しつつあり、返済継続の目処が立たない場合はその他の債務整理の手段を検討しましょう。
任意整理が難しい場合は個人再生・自己破産の手続を取ることが考えられます。
ただし、保証人へ支払義務が移り、官報に掲載されるなどそれなりのデメリットがあることは事実です。
しかし、借金の元金を減額・または免除してもらえるので、収入や返済の目処が立っていない状況では適切かつ現実的な対応です。
2.任意整理中に返済が困難になった場合の対処法
任意整理で合意した金額の返済が難しくなった場合は、以下の3つの選択肢があります。
- 再和解
- 個人再生
- 自己破産
支払いが2回以上遅れて一括請求されてしまっても、全額をすぐに返済することはできないことがほとんどです。
しかし、返済できないまま放置したり、連絡を無視し続けると裁判に発展し、財産の差押え(強制執行)が始まる可能性があります。
任意整理中に支払いが難しくなった場合は弁護士にすぐさま相談し、今後の対策を相談してください。
返済が難しくなったとしても、現在の状況に合わせて適切な手続を取ることで借金を整理できます。
再和解ができれば収入状況に合わせた支払額で返済計画を再度立てられますし、和解が難しければ個人再生や自己破産という手段もあります。
3.個人再生中に返済が困難になった場合の対処法
個人再生で認められた再生計画の履行が難しくなった場合は、以下の選択肢があります。
- 再生計画の見直し
- ハードシップ免責
- 自己破産への切り替え
個人再生後に再生計画通りに払えなくなった場合は、再生計画を再度立て直すことがで考えられます。
やむをえない事由があり、再生計画通りの返済が著しく困難になった場合には、返済期間を最長で2年の範囲で延長してもらえる可能性ががあります。
まずは弁護士に相談をして支払いを計画通りに行えなくなったことを伝えましょう。
また、状況によっては残額を免除できるハードシップ免責という制度の利用ができる可能性もあります。
ハードシップ免責とは再生計画の履行が難しい場合に、一定の条件を満たせば借金の残額が免責、つまり支払免除される制度のことです。
ただし、支払い終わっていないにもかかわらず支払免除がされるという強い効果があるため、認められるための要件も厳格に定められています。
支払いが難しい状態であり、なおかつ借金の4分の3が返済し終わっていること、さらに債権者の一般の利益に反しないことが条件となります。
ここでいう債権者の一般の利益とは、再生計画で返済した金額が最初から自己破産を選んだ場合よりも多く、債権者が損をしないと認められることです。
つまり債権者に損にならないかどうかを慎重に判断し、その上で認められれば借金の免責が可能になります。
上記のような調整ができない場合には、自己破産への切り替えを検討することになります。
ただし、自己破産の場合は持ち家があれば売却が必要となるなど別途の考慮事情がありますので、現状と照らし合わせて弁護士と相談しましょう。
まとめ
今回は任意整理・個人再生の支払いが遅れそうな場合、遅れが常態化してしまう場合の対処法を紹介しました。
単発の遅れであれば、事前に債権者に遅れが発生しそうな状況を連絡すれば、待ってもらえることが多いです。
しかし滞納が2回以上続くような場合は、債権者から残額の一括請求をされるリスクがあります。
任意整理中に支払いが難しい状況になったら依頼している弁護士に相談し、再和解を組むか個人再生・自己破産のどれかの手続をとりましょう。
個人再生の場合は、再生計画の見直しを進め、自己破産への切り替えも検討する必要があります。
現在の収入状況や手放したくない財産の有無によってとる方法が変わるので、弁護士とよく相談することが大切です。
支払いが難しくなった場合に最も大切なのは放置せず、現在の収入状況に合わせた支払いができるように債務整理の手続を再びとることです。
支払遅滞の状況で取れる債務整理の方法はあるので、まずは専門家に相談してください。
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