自己破産にかかる期間はどのくらい?手続の流れと手続中の注意点とは
「自己破産をすると手続にどのくらいの期間がかかるのか知りたい」
「手続に長い期間がかかって生活に支障や負担が出ないか心配」
このように自己破産にかかる期間に対して不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、自己破産の手続にどの程度の期間を必要とするのかご説明します。
手続期間中にできることとできないことについてもご説明しますので、自己破産を考えている方の参考になれば幸いです。
1.自己破産にかかる期間と手続の流れについて
自己破産を行うには手続に合計で3か月~1年程度の期間が必要です。
同時廃止か管財事件かによって手続に要する期間は異なります。
では、具体的にどのような流れで手続を進めていくのかご説明します。
(1)弁護士への依頼・受任通知の送付
相談をした弁護士が自己破産を行うのが適切な状況であると判断すれば、その内容を説明の説明を受け、手続を進めるための依頼をします。
弁護士に手続を依頼すると、債権者に対して弁護士から受任通知が送付され、これ以降債権者は債務者に対して取立することができなくなり、毎月の返済がストップします。
(2)過払金の返還請求
もしこの時点で過払金が見つかった場合には過払金を回収することになります。
過払金とは、利息制限法で決められた範囲を超えて払いすぎた利息のことです。
過払金があるかどうかは、貸金業者に対して取引履歴を開示請求し、開示された履歴をもとに調査をします。
(3)書類の作成(2~6か月程度)
次に、裁判所に自己破産を申し立てるための書類を作成しますが、各債権者や借入額、財産の有無や種類、家計の状況などを弁護士が正確に把握する必要があります。
そのため、この段階で弁護士が債務者から情報の提供を受けたり、新たに債権者がいないかどうか確認をしたり、引き直し計算をして借入額の総額を算出したりします。
裁判所に提出する書類を作成するためには、破産をする方の収入や財産状況がわかる書類を用意する必要があります。可能な限り前もって準備しておきましょう。
収入が分かる書類とは給与明細や源泉徴収票を指し、財産状況がわかる書類とは不動産の登記簿謄本などの書類です。
(3)裁判所への申立てと書類の提出(2~3週間)
弁護士が作成した申立書を裁判所に提出し、自己破産を申し立てます。
書類を提出すると、裁判所は内容を確認し、場合によっては追加で書類の提出や説明を求められることもあります。
(4)破産手続開始決定(同時廃止事件:1~2か月、少額管財事件:3~6か月)
提出した書類に問題がなければ、裁判所は破産手続開始決定を出します。
自己破産には同時廃止事件と少額管財事件の二種類があり、どちらの方法で手続を進めるかどうかもこの段階で決定されます。
同時廃止事件は、債務者が所有する財産が少ない場合や借入の原因に問題が無い場合など比較的簡易、軽微な破産で行われる手続方法です。
債務者が債権者に対して分配できるほどの財産を所有していない時は、この段階で破産手続が廃止されます。
少額管財事件は、債務者が財産を所有していたり調査の必要があったりする場合の手続方法です。
財産を不正に隠したりできないよう破産管財人が選任され、破産者の財産の調査や管理を行います。
破産管財人が選ばれる必要があるため、引継予納金と呼ばれる手数料が必要になりますが、個人でも利用しやすいように費用負担を抑えて運用されている方法です。
(5)免責尋問
免責尋問では、裁判官が破産者と面談をします。
自己破産は、免責許可の決定を出すことで借金が免除される仕組みです。
そのため、免責尋問で破産者に対してさまざまな質問をし、免責許可の決定を出すべきかどうか判断します。
(6)免責許可
免責尋問の結果、破産者の免責を認めるべきだと判断した場合は免責許可が出ます。
ただし、許可が出たからと言ってすぐに免責が確定し借金が免除されるわけではありません。
公告日から2週間以内に債権者から不服申立てがない場合に免責が確定します。
2.自己破産の手続中に制限を受ける行動
自己破産の手続には、比較的長期間必要とすることがわかりました。
では、自己破産の手続中に生活をするうえで何か制限を受けるのでしょうか。
手続中でもできることとできないことに分けてご説明します。
(1)手続中でもできること
自己破産の手続中でも可能なことは以下になります。
- 部屋を借りる
- デビットカードの作成、利用
- 携帯電話の利用
自己破産を行うと、信用情報機関に事故情報が一定期間登録されてしまいます。
そのため、信用情報機関に個人の信用情報の確認が行われるようなクレジットカードの発行などは審査を通過することが難しくなります。
この中でも、自己破産手続中でも問題なく行うことができることをご説明します。
#1:部屋を借りる
自己破産の手続中でも、部屋を借りることができます。
賃貸では、家賃保証会社による入居審査に通らなければなりません。
家賃保証会社には、信用情報機関に加盟している会社と加盟していない会社の二種類があります。
信用情報機関に加盟している会社で申し込むと、自身の信用情報に登録されている自己破産の事実がわかってしまいますので、審査に落ちてしまう可能性が高いです。
一方、信用情報機関に加盟していない会社で申し込むと、自己破産をしているかどうか調べられませんので、審査に通りやすくなります。
審査に通るかどうか不安な人は、信用情報機関に加盟していない家賃保証会社を利用しましょう。
#2:デビットカードの作成・利用
デビットカードは、銀行口座を持っていれば誰でも作成することができます。
クレジットカードとは異なり、デビットカードは申込時に信用情報の調査はありません。
カードで支払うと即座に口座から引き落とされますので、収入や事故情報の有無などは問題にならないからです。
#3:携帯電話の利用
自己破産をしても、携帯電話は問題なく使うことができます。
ただし、料金を滞納している場合は解約する必要が生じますので、忘れずに支払うようにしましょう。
また、携帯電話本体の代金を分割で支払っている場合は注意が必要です。
詳しくは(2)でご説明しますが、自己破産中は分割払いが利用できないため、残りの本体代金を一括で支払う必要があります。
(2)手続中にできないこと
自己破産の手続中にできないことは以下になります。
- 新たな借入
- クレジットカードの利用
- 分割払いによる物の購入やサービスの利用
- 引っ越しや旅行
- 一部の職業に就くこと
では5つの点についてご説明します。
#1:新たな借入
自己破産をすると、その後の家計状況や通帳を裁判所に提出しなければなりません。
もし新たに借入をすれば、その返済のためにお金が動くことになります。
例え裁判所に黙って借入をしても、不自然な出費があれば裁判所にはすぐにわかってしまうのです。
また、管財事件の場合は管財人が郵便物を確認するため、その郵便物から借入の事実は発覚することもあります。
いずれにしても新たに借入を行うことはやめましょう。
#2:クレジットカードの利用
クレジットカードを利用するためには、#1と同様にクレジットカード会社の審査に通る必要があります。
新規利用の場合、カード会社は申込みがあると、まず信用情報機関に問い合わせをしますので、自己破産の手続中であることがわかればその段階で審査に落ちてしまいます。
継続利用の場合もカード会社は定期的に与信審査を行います。
与信審査で自己破産をしていることがわかれば、支払能力がないと判断されカードは解約されてしまうのです。
#3:分割払いによる物の購入やサービスの利用
スマートフォンなどを分割払いで購入するケースは多いですが、自己破産を行うにあたっては分割で購入することができません。
なぜなら、分割払いも債務と同じ扱いを受けるため審査に通る必要があるからです。
もし確実に購入したい場合は一括払いでの購入をする必要があります。
#4:引っ越しや旅行
自己破産の手続中は、引っ越しや旅行など、居住地を離れることについて制限を受けるケースがあります。
個別の理由によって許可が出るかどうかも異なりますが、事前に許可を得れば引っ越しを行うことはできます。
もし長期間自宅を離れるようなことがある場合は、あらかじめ裁判所に相談しましょう。
#5:一部の職業に就くこと
弁護士や司法書士などの士業や保険外交員、警備員などの職業は、破産手続申立後から免責許可決定までの期間は一時的に就くことができません。
免責許可が決定されるまでは数か月間かかりますので、その間仕事を休むか、転職により資格の不要な仕事に就く必要があります。
まとめ
自己破産は、数か月から1年程度の比較的長期間を必要とする手続です。
自己破産の申立てを検討するにあたっては、弁護士に相談し、自己破産のスケジュールやその間日常生活にどのような影響が出るのかよく確認しておきましょう。
弁護士法人みずきでも経験豊富な弁護士が多数在籍しておりますので、自己破産について何か分からないことがあればお気軽にご相談ください。
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