交通事故の際に必要になる診断書とは?提出先や費用を解説

交通事故における診断書とは?提出が必要な理由や提出先、費用を解説

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

「交通事故の診断書って絶対に必要なのだろうか」
「診断書を提出しなかったらどうなるのだろう」

交通事故の診断書は、慰謝料などの補償を適切に受けるために欠かせない書類です。

用途に応じて、警察や自賠責保険会社等へ提出することになります。

本記事では、交通事故における診断書の必要性やその提出先、気をつけるべきポイントについてご説明します。

1.交通事故における診断書とは

交通事故における診断書とは

診断書とは、病気や怪我の程度、状況について、これを診察した医師が証明する書類です。

交通事故における診断書は、被害者が加害者へ適切な損害賠償を請求するために必要です。

そのため、交通事故によって怪我をした場合、必ず病院で医師の診察を受けなければなりません。

診断書に書かれている内容やどこで取得できるのか、どれくらいの費用がかかるのかについてご説明します。

(1)診断書に書かれている内容

診断書に書かれている内容は、主に以下のとおりです。

  • 傷病者
  • 傷病名
  • 症状の詳細・今後の見通し
  • 治療開始日
  • 治療期間
  • 作成年月日
  • 病院名
  • 医師名


治療期間には「加療1週間」「全治1か月」など、治療終了時期の目安が書かれますが、実際にはそれ以上の期間をかけて治療を受ける場合もあります。

損害賠償の金額は実際の治療期間から算定されることになります。

(2)診断書を作成できる人

診断書を作成できるのは医師です。

症状改善のために整骨院や接骨院に通う方もいますが、整骨院等の施術者である柔道整復師は診断書を作成することができません。

そのため、整骨院や接骨院で診断書を作成してもらうことはできないことに注意しましょう。

診断書は、医師に「交通事故に遭ったため診断書を作成してほしい」と伝えることによって作成してもらえます。

傷病名、治療期間等を記載した簡単なものであれば即日作成してもらえますが、治療の内容等記載事項が多くなると日数がかかる場合もあります。

また、記載事項は、後述の診断書の目的によって変わってきます。

(3)診断書作成にかかる費用

診断書作成にかかる費用は、病院によって異なりますが、1通あたり5000円程度としてる病院が多い印象です。
目安として覚えておくとよいでしょう。

診断書作成にかかった費用は、交通事故による損害として加害者側へ請求できるものがあります。

相手に請求できる場合も、一時的に費用を立て替えることになるので、領収書を発行してもらい保管しておくことを忘れないようにしましょう。

2.3つの種類の診断書と提出先

診断書の3つの種類と提出先

交通事故で怪我を追った場合に作成される診断書は主に3つの種類があり、それぞれ提出先が異なります。

それぞれ、どのような目的で作成、提出されるのかについてご説明します。

(1)警察へ提出する診断書

人身事故として届出をする場合には、警察へ提出する診断書が必要です。

届出をしなければ物損事故として扱われることとなります。

物損事故のままでは実況見分が行われず、客観的な証拠が不十分となってしまいます。

そうなると、過失割合で争いになり事故の状況を明らかにしなければならない場合、不利になる可能性があります。

この診断書の作成費用は、交通事故に遭った場合に必要なものとして、加害者側から支払ってもらえるケースが多いです。

(2)加害者側の保険会社へ提出する診断書

治療費について適切な補償を受けるために、加害者側の保険会社へ提出する診断書が必要です。

交通事故の怪我によって負担した治療費の支払を受ける方法は以下の2つに分かれており、それぞれ提出先が異なります。

請求方法 内容 診断書の提出先
一括対応 加害者の任意保険会社が自賠責保険分を立替えて、任意保険会社分と併せて損害賠償を支払う制度 任意保険会社
被害者請求 被害者自身が自賠責保険へ損害賠償を請求する方法 自賠責保険

加害者が任意保険会社に加入している場合は、一括対応での請求が一般的です。

この場合、診断書の作成依頼、取り寄せは任意保険会社が行います。

被害者は、任意保険会社が医療機関から診断書を取り寄せるための同意書を提出することになります。

一方、被害者請求の場合は、被害者自身が診断書の作成を依頼し、自賠責保険会社へ提出することになります。
被害者請求のための診断書には決まった書式があります。

自賠責保険の保険会社から取り寄せることができますので、窓口に連絡してみるのがよいでしょう。

この診断書の作成費用は、請求の方法により支払われる時期などが異なります。

一括対応の場合、医療機関から任意保険会社へ行われ、そのまま支払われます。

被害者請求の場合、自賠責保険会社に請求することにより、治療費などと一緒に支払を受けることができます。

(3)後遺障害等級認定を受けるための診断書

交通事故によって後遺症が残った場合、後遺障害等級認定を受けるための診断書が必要です。

後遺障害等級認定とは、交通事故による後遺症が自賠責法に定められた1~14等級までの後遺障害等級のいずれかに認定されることを指します。

後遺障害等級認定を受けなければ、後遺障害に対する損害賠償は請求できません。

この認定を受けるためには「後遺障害診断書」が必要です。

後遺障害診断書には決められた書式があります。

これも、保険会社から取り寄せて医師に記入してもらう必要があります。

後遺障害診断書の作成費用は、後遺障害等級の認定を受けられた場合に限り加害者に請求することができます。

3.診断書で気をつけるべき2つのポイント

交通事故の診断書で気をつけるべきポイント

交通事故の診断書は、加害者に適切な賠償金を請求するための重要な書類です。

作成や提出に関して、気をつけるべきポイントについてご説明します。

(1)早めに提出する

交通事故の診断書は早めに作成し、提出するよう心がけましょう。

事故の発生から時間が経ってしまうと、医師も症状の判断が難しくなりますし、診断書を提出しても事故と傷病の因果関係があるか判断しにくくなるからです。

物損事故から人身事故への切替えを行う場合も、早めに手続を行わないと警察が時間が経って証拠が集められないからと受理してくれなくなることもあります。

したがって、遅くとも、事故発生から1週間から10日以内には診断書を作成してもらい届け出るようにするのがよいでしょう。

保険会社への提出についても、作成や提出が遅れると因果関係の判断に影響が生じる可能性があります。

診断書を早く提出する方が示談交渉もスムーズに進みますし、少なくとも、病院への受診については事故後すぐに行い、診断書を作成してもらうことをおすすめします。

(2)診断書は原本を提出する

診断書は、基本的に原本で提出しなければなりません。

警察や保険会社にコピーを提出しても受け付けてもらえないことが多いです。

余分な枚数を作成してもらっても、作成費用をすべて請求できるわけではありません。

目的ごとに必要な原本の枚数を確認しながら作成を依頼するようにしましょう。

まとめ

交通事故の被害者となった場合、病院で診断書を作成してもらわなければなりません。

診断書は警察における人身事故への切替えや加害者側の保険会社からの治療費の支払のために必要となります。

また、後遺症が残った場合、後遺障害等級認定を受けるために後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。

診断書の取り扱いについてわからないことがあったら弁護士に相談しましょう。

適切なアドバイスを受けられますし、依頼することにより、その後の手続や交渉を一任し治療に専念することもできます。

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

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