過払金返還請求手続の期間や時効は?弁護士に依頼するメリットも解説!

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

「過払金返還請求をしてから過払金が振り込まれるまでの期間はどのくらい?」
「過払金には請求期限があるの?」

過払金の返還請求をご検討中の方の中には、このような疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。

過払金の返還請求の手続には、債権者との交渉で和解した場合3か月から半年ほど、裁判が必要となった場合は半年から1年ほどの期間が必要になります。

また、この目安期間はあくまでも弁護士に依頼して手続を行った場合のものですので、ご自身で請求を行った場合はもう少し時間がかかる可能性があります。

本記事では、過払金返還請求の流れと手続に要する期間、過払金の時効と時効が成立しないケース、過払金返還請求を弁護士に依頼するメリットを順にご説明します。

1.過払金請求の流れと手続に要する期間

過払金請求をしてから返還されるまでには通常、債権者との和解で3か月から半年ほど、訴訟まで発展した場合は半年から1年ほどかかります。

過払金請求の流れと手続に要する期間についてご説明します。

(1)弁護士に相談・依頼

過払金返還請求をご検討の際は、専門家である弁護士に相談・依頼することになるでしょう。

過払金返還請求の手続では、債権者との交渉や過払金の金額を算出するための細かい計算が必要となります。

過払金請求に精通している専門家にサポートしてもらうことで、正確な金額の返還を受けられるようになります。

相談の結果、弁護士への依頼を決めたあとは、弁護士との間で契約を締結することになります。

(2)債権者へ受任通知を送付・取引履歴の開示請求

契約の締結後、弁護士は、債権者に対し、受任通知を送ると同時に取引履歴の開示請求を行います。

債権者は、受任通知を受け取ると取立てを停止しなければなりませんので、まだ債務が残っている場合は、債権者からの請求も一時中断します。

なお、債権者への受任通知は、弁護士への依頼後すぐに送付されます。

(3)利息制限法に基づく引き直し計算

取引履歴の開示を受けた後、弁護士は利息制限法の上限利率に引き直して、取引の最初から計算をし直します(これを「引き直し計算」といいます。)。

このように債権者と債務者の取引履歴は、過払金がどのくらい発生しているのかを把握・請求する上で重要な役割を果たすのです。

なお、債権者から取引履歴が開示されるまでには、受任通知の送付から早ければ1か月以内、債権者によっては3か月程度を要することもあります。

(4)貸金業者へ返還請求・交渉

弁護士による過払金の引き直し計算が完了したら、算出された金額の返還請求を行います。

弁護士は、過払金返還請求を行った後、電話・書面などで債権者と返還交渉を行います。

交渉がまとまらない場合は、裁判所へ訴訟を提起します。

過払金の交渉には、1〜3か月程度かかることが通常です。

(5)合意書の取り交わし

債権者が過払金返還請求書の内容に合意した場合、債務者と債権者との間で合意書を取り交わします。

合意書の内容は、過払金の発生と金額を認める旨や過払金返還の期日などが記載されています。

(6)過払金の返還

債権者と債務者との間で合意書が交わされると、指定期日までに過払金が返還されます。

弁護士は、ご依頼者様のもとへ過払金が期日までに振り込まれるかを監視する役割も担います。

2.過払金請求の時効について

請求者が亡くなったときの注意点

原則、過払金返還請求の時効は債権者との最後の取引から10年とされています。

ただし、同じ貸金業者から再度借入れを行ったような場合には、過払金の時効が成立しないケースもあります。

過払い金請求の時効と時効が成立しない場合について詳しくご説明します。

(1)過払金請求の時効は10年

過払金返還請求は、最後に債権者と取引を行った日(ほとんどの場合は借金完済日)から10年または権利が行使できることを知ってから5年とされています。

つまり、借入れを始めた日が20年前であったとしても、返済が完了した時点が10年以内であれば時効は成立しないのです。

ですので、過払金返還請求をご検討の場合はまず、貸金業者などとの最終取引から10年以上が経っていないかを確認する必要があります。

また、2020年の民法改正によって、「権利を行使することができることを知った時から5年間」で時効が成立することが定められました。

最終取引から10年が経過していなくても、過払金の返還請求をできる権利があると知った時点から5年で時効が成立するのです。

とはいえ、本記事の執筆時では、まだ改正から5年が経過していませんので、この規定が適用されることはありません。

現時点では債権者との最終取引から10年が過払金請求の時効となりますので、時効について不安がある方は、最後の取引の日を調べてみるとよいでしょう。

(2)過払金請求の時効が成立しないケース

過払金返還請求権の時効は、貸金業者との最後の取引から10年とご説明しました。

ただし、場合によっては時効が成立しないケースがあります。

同じ貸金業者から再度借入れを行った場合に、時効が成立しない可能性があります。

完済後、同一の業者から再度借入れを行った場合、前後の取引が一連のものとして処理される場合があるのです。

そのほか、貸金業者が違法な督促行為を行ったために返済がされ、その返済により過払金が発生した場合、完済から10年の時効が成立しないケースもあります。

この場合、過払金は不法行為による損害となり、過払金があることを知った時から3年の時効期間が適用されるためです。

ただし、督促行為が違法であったことの立証は難しい場合も少なくありません。

このように10年以上前に完済していても、時効が成立せず、過払金の返還を請求できるケースがあります。

まずは、弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

3.過払金請求を弁護士に依頼するメリット

後遺障害14級の認定基準

過払金の返還請求を専門家である弁護士に依頼すると、時間短縮や返還率の向上、手厚いサポートなどのメリットがあります。

それぞれの詳細について、順にご説明します。

(1)ご自身で請求を行う場合より時間が短縮できる

弁護士に過払金請求を依頼することで、ご自身で請求を行う場合よりも時間を短縮させることができます。

過払金返還請求においては、どのくらいの過払金が発生しているかを算出するための細かい引き直し計算や債権者との交渉が必要となります。

過払金に精通している弁護士に対応を任せることで、これらの対応をスムーズに進めることができます。

また、過払金には時効があり、上述のような対応に時間がかかってしまったことが原因で返還請求ができないまま時効を迎えてしまうケースもあります。

弁護士法人みずきでは、過払金の返還請求対応の実績豊富な弁護士が在籍しております。

過払金に関するお悩みはどのような些細なことでも構いませんので、当事務所にご相談ください。

(2)過払金の返還率が高い

弁護士による過払金返還請求は、過払金の返還率が高いことが特徴的です。

弁護士は、過払金返還請求に関する知識やノウハウを持っているため、迅速かつ確実に手続を進めることが可能です。

また、債権者との交渉を通じてそのまま交渉を続けるか、訴訟を提起するのかなどの判断力にも長けています。

このような理由から、過払金返還率の高さを期待できる弁護士に相談することをおすすめします。

(3)訴訟になった場合もサポートしてもらえる

弁護士は、ご依頼者様から過払金請求の依頼があると、訴訟になった場合でもサポートさせていただきます。

過払金請求では、債権者との交渉がスムーズに進まず和解できないと判断すると、訴訟を提起することになります。

裁判に発展すると、法律的な論点についての知識が必要になることもあるため、専門家の力を借りることが重要になります。

訴訟に発展する可能性も見据えた上で、過払金返還請求の対応を弁護士に依頼することをおすすめします。

まとめ

過払金請求をしてから返還されるまでには通常、債権者との交渉での和解で3か月から半年ほど、訴訟まで発展した場合は半年から1年ほどかかります。

専門家に依頼することで、適切な手続を選択し、解決までの期間を短縮することが可能になります。

弁護士法人みずきでは、過払金に関するご相談を無料でお受けしていますので、お気軽にご利用ください。

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。