50万の借入れで過払い金は発生するの?返還請求手続のやり方を解説

50万の借入れで過払い金はいくら戻ってくるの?金額の目安を紹介

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。

「50万円の借入れをしていたけれど過払い金は発生するの?」
「過払い金があるとしたらどれくらいの金額になるの?」

50万円位の金額を消費者金融やクレジットカード会社から借入れをした経験があり、過払い金が発生しているのか気になる方は多いのではないでしょうか。

50万円の借入れで金利が年18%を超えていた場合は、過払い金が発生していると考えられます。

この記事では、50万円の借入れで過払い金が発生するケース、戻ってくる過払い金の目安についてご説明します。

1.50万円の借入れで過払い金が発生するケースとしないケース

1.50万円の借入れで過払い金が発生するケース

過払い金が発生するのは、利息制限法の上限金利を超えていた金利で借入をしていた場合です。

つまり、利息制限法の上限利率を超えない金利で借入れをしていた場合には、過払い金は発生しません。

たとえば、下記の4つのような借入は、契約の際に設定されている利率が利息制限法所定の上限利率より低いため、過払い金が生じません。

  • クレジットカードのショッピング利用分
  • 銀行カードローン
  • 住宅ローン
  • マイカーローン

一方、消費者金融からの借入れやクレジットカードのキャッシング利用分については、過払い金が発生している可能性があります。

その点を踏まえ、50万円の借入れで過払い金が発生する2つのケースについて見ていきましょう。

(1)2010年6月17日以前の契約

過払い金が発生するのは2010年6月17日以前に最初の貸付契約を締結していた場合になります。

なぜなら、2010年6月18日に改正賃金業法が完全施行され、事実上グレーゾーン金利は撤廃され、それ以降の契約だと利息制限法の上限利率内で貸付を行う消費者金融やクレジットカード会社がほとんどのためです。

2010年6月17日以前は、多くの消費者金融が出資法の上限となる年利29.2%の金利で貸付を行っていました。

一方、利息制限法で定められている上限金利は元本の金額が10万円未満で年利20%、10万円以上100万円未満で年利18%、100万円以上で年利15%となっており、最大で20%です。

利息制限法の上限金利を超えても、出資法の上限金利を超えなければ刑事罰が科せられなかったのを上手く利用し、多くの貸金業者はグレーゾーン金利で貸付をしていました。

しかし、改正賃金業法が完全施行され、出資法の上限金利が利息制限法と同様に15~20%に引き下げられました。

そして、利息制限法の上限を超える金利での貸付は無効となり、行政処分や刑事罰の対象となったのです。

そのため、貸金業者が2010年6月18日以降に契約を締結した借入れについては、過払い金が発生することが少なくなりました。

(2)適用金利が年18%を超える場合

50万円の借入れの場合、金利が年18%を超える場合は過払い金が発生します。

たとえば、消費者金融から借入した50万円の金利が年18.1%であれば、過払い金が生じ、その返還を請求することが可能です。

改めて借入元本ごとの利息制限法の上限金利は、以下のとおりですので良くご確認ください

  • 元本が10万円未満の場合→年利20%
  • 元本が10万円以上100万円未満の場合→年利18%
  • 元本が100万円以上の場合→年利15%

このように、借入金額が50万円で金利18%が設定されていた場合、利息制限法の上限金利を超えていないので過払い金は発生しないのです。

過払い金が発生しているかどうか判断するには、まず借入時の金利を確認する必要があります。

2.借入金額50万の過払い金の目安

2.借入金額50万の過払い金の目安

借入金額が50万円の場合、過払い金が平均でどれくらい戻ってくるのか気になるでしょう。

ここからは、50万円の借入れを完済している場合と、完済していない場合に分けて、発生する過払い金の額を計算していきます。

ただし、実際にはさらに複雑な計算が必要になることが多いので、あくまで目安としてください。

(1)完済している場合のシミュレーション

50万円の借入れをして、すでに完済している場合で計算していきます。

50万円の借入れで金利29%が適用されていた時は、以下の計算式で過払い金が求められます。

【グレーゾーン金利での1か月の利息額】50万×29%÷365日×30日=11,917円
【正しい利率での1か月の利息額】50万×18%÷365日×30日=7,397円
【1か月の過払い金】11,917円-7,397円=4,520円

つまり、1年で完済した場合は少なくとも約5万5000円の差額が単純に生じます。

ただ、少し複雑な話になるのですが、過払い金の計算では毎月多く支払った分の過払い金はその時点で残っている借入金の元金に支払ったものとして計算していき、翌月の支払いの際にはその少なくなった元金に利息制限法所定の18%の年利で計算をするため、毎月の差額は元金を同額で計算した場合より大きくなります。

そして、その貸付金の元金は毎月どんどん減っていく計算となるため、差額もどんどん大きいものになっていきます。

そのため、実際には上記の単純計算より過払い金の金額は大きくなります。

50万円を3年で完済した場合は20〜30万円程度、5年で完済した場合は50万円以上の過払い金が生じている可能性があります。

また、完済までの間に借入れと返済を繰り返している場合は、それに伴って取引が長くなり、金利差も広がっていくため、より大きい金額の過払い金が発生している可能性があります。

(2)完済していない場合のシミュレーション

完済していない時の計算では返済期間やその時点の残債務額によっても大きく過払い金の額が変わります。

仮に、上記のように利息29%で50万円を5年借りていた場合は、大まかに50万円程度の過払いが生じていると考えられますので、その5年後の時点で50万円の残債務がある場合は、適法に計算をするとその50万円がなくなる計算になります。

なお、過払い金の計算は、非常に複雑なことや計算方法を変えないといけない法的な争点が生じているケースも少なくありませんので自分で計算するのはとても大変です。

正確な金額を正確に計算する場合は弁護士に相談しましょう。

3.過払い金返還請求手続のやり方

3.過払い金返還請求手続のやり方

50万円の借入れをして、過払い金が発生している可能性があると分かったら、返還請求手続きをすることで過払い金を取り戻せる可能性があります。

過払い金返還請求手続きは自分でも行えますが、計算が難しいことや貸金業者が弁護士から請求するより低い金額の和解を迫ってくるケースも多いです。

本来取り戻せるはずの過払い金が戻ってこなかったと後悔しないために、過払い金返還請求手続は弁護士に任せることをおすすめします。

弁護士に依頼した際の手続の流れはこちらです。

  1. 相談後に弁護士と委任契約を締結
  2. 弁護士から債権者へ取引履歴の開示を求める受任通知を発送
  3. 貸金業者等から届いた取引履歴をもとに引き直し計算
  4. 貸金業者等へ算出した過払い金返還請求
  5. 過払い金の返還の和解書を締結

この流れのなかで、貸金業者等が過払い金返還請求に応じない場合は、訴訟を提起して過払い金の返金を受けることになります。

弁護士に依頼すればこれらの手続をすべて任せることができるので負担の軽減が図れます。

まとめ

50万円の借入れで、金利が年18%を超える場合は過払い金が発生していると考えられます。

消費者金融やクレジット会社との間で定められていた金利が高かったり、返済期間が長いほど過払い金の額は多くなります。

50万円を年利29%で借り入れていた場合は少なくとも1年ごとに約5万円もの過払い金が発生する可能性があるのです。

過払い金を取り戻すには返還請求手続きをする必要がありますが、引き直し計算は複雑なので弁護士に任せるのがおすすめです。

過払い金が発生しているのかどうか、過払い金がいくら戻ってきそうなのか正確な金額を知りたいならまずは弁護士に相談しましょう。

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