建設アスベスト給付金の申請方法とは?申請時に注意すべき五つのポイント
「建設アスベスト給付金はどうやって申請するのか?」
「建設アスベスト給付金で申請するときに何に注意すべきなのか?」
建設アスベスト給付金の申請を検討している方の中には、どうやって手続をすればよいのか分からずに困っている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、建設アスベスト給付金の申請方法や申請時の注意点についてご紹介します。
1.建設アスベスト給付金の申請方法
建設アスベスト給付金の申請は、厚生労働省労働基準局労災管理課に必要な書類を送ることで行います。
ただし、書類を送るには、配達状況や到着の確認ができる方法(簡易書留やレターパックなど)でなければなりません。
なお、労災認定を受けているかどうかで必要な書類が変わります。
労災認定を受けている場合と受けていない場合で必要な書類が何なのかご紹介するので、申請するときの参考にしてみてください。
(1)労災認定を受けている場合
労災認定を受けている場合は、労災支給決定等情報提供サービスを利用できるので、必要な書類が少なくなります。
労災支給決定等情報提供サービスとは、建設アスベスト給付金の請求手続の利便性を図るために設けられたサービスです。
このサービスを利用することで、請求書への記入事項や提出書類が減るため、申請の負担を小さくすることができます。
なお、労災認定を受けて、労災支給決定等情報提供サービスを利用している方が揃えるべき書類は以下のとおりです。
- 請求書
- 通知書のコピー
- 死亡届の記載事項証明書(請求者が遺族の場合)
- 金融口座の通帳やキャッシュカードの写し
詳しくは「建設アスベスト給付金請求の手引き①」をご確認ください。
(2)労災認定を受けていない場合
労災認定を受けていない方は、労災支給決定等情報提供サービスを利用できないので、提出書類が多くなります。
この場合に提出が必須な書類は以下のとおりです。
- 請求書
- 住民票の写し等
- 戸籍謄本等(請求者が遺族の場合)
- 死亡届の記載事項証明書(請求者が遺族の場合)
- 被災者の就業歴・石綿ばく露作業歴の分かる資料
- 請求する区分の石綿関連疾病に罹患していることを証明する資料
- 金融口座の通帳やキャッシュカードの写し
詳しくは、「建設アスベスト給付金請求の手引き②」をご確認ください。
アスベストセンターの相談員が実施する業務内容等の詳しい聞き取り調査によって労災申請できると判断された方は、労災認定を受けましょう。
労災と認定されれば、労災支給決定等情報提供サービスを利用して申請することをおすすめします。
2.建設アスベスト給付金申請時の五つの注意点
建設アスベスト給付金の申請時に注意すべきポイントについてご紹介します。
特に気をつけるべき点は以下の五つです。
- 給付金を受け取れる条件がある
- 遺族なら誰でも請求できるわけではない
- 被害者が請求して通知を受け取る前に死亡したら無効になる
- 給付金の請求期限がある
- 和解金等の支払いを受けた場合は支給されないことがある
いずれも大切なことなので、確認しておきましょう。
(1)給付金を受け取れる条件がある
給付金を受け取れる条件があるため、アスベストで苦しんでいる方全員が請求できるわけではありません。
厚生労働省によると、以下の期間中に該当する業務を行っている必要があります。
期間 | 業務 |
---|---|
昭和47年10月1日から昭和50年9月30日 | 石綿の吹付け作業に係る建設業務 |
昭和50年10月1日から平成16年9月30日 | 一定の屋内作業場で行われた作業に係る建設業務 |
また、石綿関連疾病にかかった労働者や一人親方(労働者を雇用せずに自分自身と家族などだけで事業を行う事業主)、中小事業主(家族従事者等を含む)であることもポイントです。
ちなみに、石綿関連疾病には、中皮腫や肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、石綿肺(じん肺管理区分が管理2~4またはこれらに相当するもの)、良性石綿胸水などがあります。
建設業務に携わっている期間が決められているので、これらの期間にアスベストの影響を受けた方は、給付金の請求が可能です。
(2)遺族なら誰でも請求できるわけではない
被害者が死亡している場合は、遺族が請求することになりますが、全ての遺族が申請できるわけではありません。
給付金を請求できる遺族は、配偶者(事実婚含む)や子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹に限られます。
たとえば、従兄弟にあたる者は、給付金を請求できません。
なお、遺族が複数いる場合は、配偶者から順に優先して請求することが可能です。
(3)被害者が請求して通知を受け取る前に死亡したら無効になる
本人が請求して、本人が通知を受け取る前に死亡した場合は、申請が無効になります。
そのため、本人に代わって申請結果の通知を遺族が受け取っても、給付金を受け取ることができません。
この場合は、遺族が改めて申請を行います。
遺族が申請する場合は、戸籍謄本等の書類が必要なので、漏れがないように「建設アスベスト給付金請求の手引き」を確認しましょう。
(4)給付金の請求期限がある
給付金には請求期限があるので、早めに行動することをおすすめします。
以下の日を起算日として、20年経過すると給付金の請求ができません。
- 石綿関連疾病にかかった旨の医師の診断日
- 石綿肺に係るじん肺管理区分の決定日のいずれか遅い日
- 石綿関連疾病により死亡したときは死亡日
20年もあるので猶予はありますが、申請等に時間がかかる可能性があるので、請求できると知った日から時間を置かずに手続を進めましょう。
(5)和解金等の支払いを受けた場合は支給されないことがある
すでに和解金等を受け取っていても給付金を請求することはできますが、和解金等の金額によっては給付金が支給されないことがあります。
給付金は、すでに支給されている和解金や賠償金によって調整され、定められた給付金の金額から和解金等を差し引いた残りが支給されるのが一般的です。
そのため、受け取っている和解金等が給付金の金額と同等、もしくは上回る場合は給付金は支給されません。
給付金の支給金額に関しては以下の表にまとめているので、もし国から和解金等を受け取っている方は、給付金の支給金額との差額を計算してみましょう。
病態区分 | 金額 |
---|---|
石綿肺 (管理2) 合併症なし | 550万円 |
石綿肺 (管理2) 合併症あり | 700万円 |
石綿肺 (管理3) 合併症なし | 800万円 |
石綿肺 (管理3) 合併症あり | 950万円 |
中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、石綿肺 (管理4)、良性石綿胸水である者 | 1,150万円 |
病態区分 | 金額 |
---|---|
石綿肺 (管理2) 合併症なし | 1,200万円 |
石綿肺 (管理2) 合併症あり | 1,300万円 |
石綿肺 (管理3) 合併症なし | 1,200万円 |
石綿肺 (管理3) 合併症あり | 1,300万円 |
中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、石綿肺 (管理4)、良性石綿胸水である者 | 1,300万円 |
まとめ
建設アスベスト給付金は、必要な書類を厚生労働省労働基準局労災管理課に送ることで申請できます。
ただし、労災認定を受けているかどうかで必要な書類が異なるので、提出必須の書類が何か確認しておくことが重要です。
今回紹介した五つの注意事項を意識しながら、給付金を申請してみましょう。
申請のサポートを受けたい場合はお気軽に弁護士法人みずきへお問い合わせください。
関連記事