消費者金融における金利の上限とは?相場や利息・利率との違いについても解説

執筆者 実成 圭司 弁護士

所属 第二東京弁護士会

皆さまのご相談内容を丁寧にお聞きすることが、より的確な法的サポートにつながります。会話を重ねながら、問題解決に向けて前進しましょう。

「消費者金融からの請求書に記載されている金利の上限はどのくらいなの?」
「金利と似たような、利息や年利という言葉は、金利とどう違うの?」

消費者金融からの借入れを利用したものの、実際に請求された額が想定していたよりも高かった経験などはないでしょうか。

消費者金融でお金を借りた場合、借りた分のお金に加えて利息の返済が必要となります。

本記事では、消費者金融における金利の上限や相場、金利・利息・年利といった言葉の意味などについてご説明します。

1.消費者金融における金利の上限

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消費者金融などの貸金業者の定める金利は、利息制限法と出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)の二つの法律によって上限が定められています。

消費者金融の上限金利と金利相場について順にご説明します。

(1)消費者金融の上限金利

まず、利息制限法は、金銭消費貸借契約における利息について、借入金額に応じて、以下のように上限を定めています(利息制限法1条)。

借入金額 上限金利
10万円未満 年20%
10万〜100万円未満 年18%
100万円以上 年15%

利息制限法の上限を超える利息については無効となります。

さらに、貸金業法24条の6の4に基づき、貸金業の登録取消し、業務停止といった行政処分の対象となります。

一方、出資法では、金融業者の貸付けの場合、利息の上限を20%と定めています(出資法5条2項)。

出資法の上限を超える利息を業者が受け取っている場合は刑事罰の対象となります。

上記の規制により、消費者金融からの貸付けの場合、利息制限法の上限に従った利率が定められるようになっています。

(2)過払い金と出資法および貸金業法の改正

出資法と貸金業法については改正が行われており、その改正は2010年6月18日に完全施行されました。

この改正が行われるまで、債務者が利息を払いすぎていたことがあり、この払いすぎた分が過払い金となっています。

上記の改正が行われるまで、出資法の上限金利は29.2%とされていました。

そのため、利息制限法の上限金利と出資法の上限金利との間に、利息制限法上無効であるのに刑事罰は科されない金利が生じていました。

この金利帯を、グレーゾーン金利と呼びます。

また、貸金業法には「みなし弁済」といわれる規定が設けられていました。

みなし弁済とは、貸金業者が利息制限法所定の制限利率を超える利率の利息を受領したとしても、一定の要件を満たす場合には,有効な弁済としてみなすという制度のことです。

グレーゾーン金利での貸付けに刑事罰がなかったこと、みなし弁済の規定が置かれていたことから、消費者金融はグレーゾーン金利での貸付けを行い、その金利で計算した利息を受け取っていたのです。

しかし、2006年、最高裁判所はグレーゾーン金利での利息の受け取りについて、みなし弁済の規定の適用を認めないとする判決を出しました。

これにより、利息制限法の上限を超える利息の受け取りは無効となり、債務者は消費者金融にお金を多く払いすぎていたことになりました。

この多く払いすぎた分が、いわゆる「過払い金」というものです。

このような経緯を踏まえて、出資法の上限金利は20%となり、貸金業法からはみなし弁済の規定が撤廃され、法令違反の場合の行政処分の規定が設けられることとなりました。

この改正により、グレーゾーン金利による貸付けは闇金業者を除いては行われなくなりました。

(3)消費者金融の金利相場

大手の消費者金融からの初回借入れの場合の金利相場は多くの場合年18%となっています。

これは、初回借入れの場合、返済実績がなく貸付額の上限が10万円から数十万円と設定されることがほとんどであり、その金額に対応した金利の上限が設定されるためです。

借入れが多くなるにしたがって金利は低くなっていくようになっており、下限の金利相場は3~4%とされています。

大手に対して、小口の借入れを取り扱うことの多い中小の消費者金融では、上限金利を利息制限法の上限の20%近くに設定しているところもあります。

また、中小の消費者金融では下限の金利も大手に比べて高く設定しています。

2.金利・利息・年利の違い

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金利とは、借入金額に対していくらの割合で利息がつくのかをパーセンテージで表したものです。

金利のほか、利息、年利のように似たような言葉が用いられることもあります。

それぞれの言葉の意味と違いを順にご説明します。

(1)金利・利率

金利とは、元金に対していくらの割合で利息を支払うことになるのかをパーセンテージで示したものです。

消費者金融を含む貸金業者からお金を借りた場合、債務者は借りた元金利用の対価を支払う必要があります。

このときの対価の金額は、金利をもとにして計算します。

(2)利息・利子

利息・利子とは、借りた元金の利用対価として支払う必要のある金銭のことをいいます。

借りた側が対価を支払う場合はその対価を「利子」といい、貸した側が対価を受け取る場合はその対価を「利息」といいます。

しかし、この区別は慣用的であり、明確に使い分けられているわけではありません。

そのとめ、これらは同じものと捉えていただいても問題はありません。

(3)年利・年率

年利・年率とは、1年あたりの金利・利率のことをいいます。

通常、消費者金融を含む貸金業者は金利をこの年利・年率で表示しています。

利息制限法や出資法の上限金利も同様です。

この年利・年率を元に利息を計算すると、以下のようになります。

元金 × 年率 ÷ 365  × 返済までの日数 = 利息

例えば元金が10万円で年利が18%の場合、30日間の利息は以下のように求められます。

10万円 × 18% ÷ 365 × 30日 ≒ 1479円

消費者金融からの借入れの場合、借入金の全額を一気に返済するのではなく、元金と利息の一部を合わせた固定金額を毎月返済していくという約束をすることがあります。

このような場合、返済をしているにもかかわらず、元金がなかなか減らずに利息がどんどん増えていく、という事態になっていることもあります。

利息は返済が終わるまで発生し続けるものであり、返済までの期間が長いほど金額が増えてしまうものであることを覚えておきましょう。

3.借金問題を解決する方法

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消費者金融からの借入れに関する請求書が届いた場合、元金に利息が加わっているために想定していたよりも高い金額を支払わなければならなくなっていることがあります。

想定以上の借金額となり、返済が困難になってしまったり、返済の遅れに不安を感じたりしている場合は、弁護士に一度ご相談することをご検討ください。

以下では、借金問題を解決するための方法を二つご紹介します。

(1)債務整理

消費者金融からの借入れの返済についてお困りの場合は、債務整理をご検討ください。

本記事でご紹介したように、消費者金融などの貸金業者からの借入れの場合、元金に利息を加えて支払わなければなりません。

そのため、消費者金融から請求書が届いた際、あるいは、支払予定を確認した際、返済総額が思ったより高額になっており、その後の返済に不安を抱く方もいるかもしれません。

また、決められた支払期日までに金銭の返済が遅れると、遅延損害金という遅延日数に応じて利息の利率よりも高い利率で発生する、損害賠償金を支払う必要があります。

この遅延損害金は、返済が行われるまでの間増加し続けます。

返済ができず滞納となってしまった場合は、できるだけ早い段階で債務整理を検討し、早期に借金のお悩みを解決すべきです。

債務整理には任意整理、個人再生、自己破産の3種類があり、それぞれ手続の方法やメリット・デメリットが異なります。

債務整理の経験豊富な弁護士に相談すれば、債務者の状況に合わせた債務整理のアドバイスを受けることができます。

(2)過払い金返還請求

過払い金返還請求を行うことにより、債務に関する問題を解決できる可能性もあります。

過払い金返還請求とは、法律上定められている利息の上限を超えて支払を行っていた場合に、払い過ぎた分の利息を返還してもらう手続を指します。

繰り返しになりますが、出資法および貸金業法の改正施行までは、グレーゾーン金利とみなし弁済の規定により、利息制限法の上限を超える貸付けと利息の受け取りが行われていました。

これに対し、最高裁判所がグレーゾーン金利での貸付けについてはみなし弁済の規定の適用はないと判断したため、グレーゾーン金利分の利息は受け取る権利がないことになりました。

この、消費者金融に権利がないにもかかわらず、債務者が払いすぎていた利息が「過払い金」です。

過払い金請求とは、このような払い過ぎた分の利息の返還を請求する手続です。

場合によっては、過払い金返還請求を行って返還された過払い金をほかの債務の返済にあてることで完済できるケースもあります。

過払い金返還請求が可能というためには、借入れの開始が2010年6月17日以前であること、借金完済から10年以内であることなどの条件をみたすことが必要です。

心当たりがある場合は、過払い金返還請求が可能か弁護士に相談し、調べてもらうとよいでしょう。

 

まとめ

消費者金融からの借入れの場合、上限金利は、利息制限法では借入額に応じて15%〜20%、出資法では20%と定められています。

消費者金融からの初回借入れの場合、上限が数十万となることがほとんどであるため、上限金利は18%とされていることが多いです。

この金利は、借入額が増えるにしたがって、下がっていく傾向にあります。

消費者金融などの貸金業者から借入れを行った場合、元金のほか、上記のような金利から算出した利息を支払う必要があります。

利息が加わったことにより借金の額が膨れ上がってしまい、借金の返済が遅れそうであったり返済自体が困難であったりする場合は、専門家である弁護士へご相談ください。

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執筆者 実成 圭司 弁護士

所属 第二東京弁護士会

皆さまのご相談内容を丁寧にお聞きすることが、より的確な法的サポートにつながります。会話を重ねながら、問題解決に向けて前進しましょう。