有給休暇を取得した場合は休業損害を受け取れる?アルバイト・パートの場合
この記事の内容を動画で解説しております。
あわせてご視聴いただければと思います。
「休業損害は有給を使ったら請求できないのか?」
「休業損害が請求できないのはどういうときなのか?」
事故の被害者で、年次有給休暇を取得しても休業損害を請求できるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、年次有給休暇を取得した場合に休業損害を請求できるのか、また、休業損害を請求できないのはどのような場合かについてご紹介します。
1.有給休暇の取得は休業損害に含まれるか
交通事故の治療のために年次有給休暇を取得しても休業損害を請求できます。
年次有給休暇は、労働者の法的権利(労働基準法39条)であり、財産的価値があります。
そのため、交通事故の治療等のために年次有給休暇を取得したということは、本来は自由に取得できたはずの年次有給休暇を治療のために消費させられたと考えられます。
これは、財産的価値が侵害されているといえ、休業損害の対象に含まれるのです。
また、年次有給休暇を時間単位で取得した場合や、半日の取得であっても、同様です。
さらに、アルバイトやパートの方が年次有給休暇を取得した場合も、休業損害の請求が可能です。
ただし、年次有給休暇の取得について、必ず休業損害が認められるものではないことに注意が必要です。
つまり、交通事故による怪我の治療に必要な範囲の取得に休業損害が認められるのであって、治療と関係のない取得には、当然認められません。
たとえ年次有給休暇を取得したとしても、交通事故による怪我の治療のために通院をしていない場合等は、休業損害の対象外になる可能性が高いです。
なお、休業損害を受給するには、交通事故の怪我により現実の収入が減っていることが、原則として必要です。
そのため、年次有給休暇を取得せずに欠勤した場合は、実際に給料が減額されなければ休業損害の対象にはなりません。
年次有給休暇を取得した場合に、給料が減額されなくても休業損害の対象になるのとは異なりますので、併せて注意が必要です。
2.休業損害の対象外になる2つの場合
休暇の種類や役職等の立場によっては、休業損害の対象外になる場合があります。
(1)交通事故にかかわらず発生する休日の場合
所定の休日、代休、会社が定める夏季休暇、年末年始休暇等、交通事故にかかわらず発生する休日については、原則として休業損害の対象外です。
なお、産休や育休を取得している場合の事故の場合は、休業損害の対象外になる可能性が高いです。
もっとも、家事従事者としての立場も同時に認められる場合には、休業損害の対象に含まれることもあります。
(2)役員報酬に労務提供の対価部分が含まれない場合
会社の役員が交通事故の被害者になった場合で役員報酬が支給されている場合、労務提供の対価部分のみが、休業損害の対象になります。
他方で、利益配当の実質をもつ部分は、対象外になることが多いです。
なぜなら、利益配当部分は、一般に、たとえ休業したとしても減額されないからです。
役員報酬中の労務提供部分の有無やその金額は、会社の規模や報酬額、職務内容等を総合して個々の場合について判断されます。
3.アルバイト・パートの場合
アルバイトやパートで働く場合であっても、交通事故による怪我の治療等のために休業した場合は、休業損害の対象になります。
しかし、雇用期間がごく短期間の場合等には、交通事故による怪我が休業と関係あるのかが問題になり、その結果対象外になる可能性があります。
休業損害を請求する際、事故前の収入を証明する手段として源泉徴収票が必要になりますが、これがない場合には、雇用契約書や賃金台帳の写しを勤務先に発行してもらいましょう。
賃金台帳は、法律で作成と保存が義務付けられていますので、勤務先には必ずあります(労働基準法108条)。
また、主婦(夫)等の家事従事者がアルバイトやパートで働いている場合は、休業損害の算出根拠には注意が必要です。
すなわち、現実の収入額と家事従事者としての賃金センサス上の金額のいずれか高い方を基礎として休業損害を算出できますので、請求の際には比較をすることが大切です。
4.休業損害を請求する方法
休業損害を請求するには、加害者の保険会社に休業損害証明書を提出して請求します。
休業損害証明書は、加害者の保険会社に書式がありますので、これを取り寄せる必要があります。
書類を取り寄せたら、勤務先に記入してもらいましょう。
また、前年度の年収を証明するために、源泉徴収票等を添付する必要があります。
失くした場合は、勤務先に再発行の依頼をしましょう。
そして、勤務先が休業損害証明書の記入を終えたら、被害者がそれを加害者の保険会社に郵送で提出して、休業損害を請求します。
まとめ
交通事故の治療のために年次有給休暇を取得しても休業損害を請求できます。
ただし、労務対価部分の役員報酬を支給されていない会社役員や、アルバイトやパートでごく短期間しか雇用されていない方は、休業損害の対象外になる可能性が高いです。
交通事故によりお怪我をされ、身体的、精神的に困難な状態にあるところ、休業損害の請求をおひとりで進めることは、大きな負担になります。
そこで、弁護士法人みずきがいつでもお手伝いさせて頂きます。
交通事故に関する相談を無料で受け付けていますので、まずはご連絡ください。
交通事故でこんなお悩みはありませんか?
交通事故に遭ってしまったけど、
保険会社・相手方とどんな風に対応
すればいいのかわからない・・・
後遺症があるためきちんと賠償を
受けたいけど、後遺障害認定申請や
示談交渉などさっぱりわからない・・・
- ✓ 事故発生直後からのご相談・ご依頼に対応しています。どの段階の方でも安心してご相談いただけます。
- ✓ 治療中のアドバイスから後遺障害認定申請、その後の示談交渉や訴訟対応までサポートいたします。
関連記事