解決事例
Solution
認定等級と内容
・別表第一第2級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
事例の概要と解決に至るまでの流れ
本件事故により被害者は、脳に大きな障害が残ることとなりました(高次脳機能障害と呼ばれています。)。
事務所の弁護士にて資料収集を行い、自賠責保険へ後遺障害等級認定申請を行いました。
その結果、高次脳機能障害に該当するとして2級1号の認定を受けました。認定された等級をもとに相手方と交渉等を行い解決に至りました。
解決のポイント
歩行中や自転車を運転中に起きた交通事故の被害者は、自動車同士の事故と比べると、転倒等により頭部に大怪我を負う可能性が高い傾向にあります。
さらに、一度脳にダメージを受けてしまうと、脳の機能に障害が残ってしまう可能性があります。
脳の機能に問題が起こると、具体的に以下のような障害が生じます。
①記憶・記銘力障害
②集中力障害 ③遂行機能障害 ④認知障害(判断力低下など) ⑤人格変化(感情易変、不機嫌、攻撃性、暴言・暴力、幼稚、羞恥心の低下、多弁(饒舌)、自発性・活動性の低下、病的嫉妬、被害妄想など) ※半身の運動麻痺や起立・歩行の不安定などの神経症状を伴うこともある。 |
引用:損害保険料率算出機構「脳外傷による高次脳機能障害の後遺障害認定について」(H30.9)
しかしこの高次脳機能障害は、被害者本人が後遺症として感知することが難しいです。
更に家族や周囲の方も、事故前と比べて様子がおかしいと感じていても、事故によるストレスと見分けがつきません。
そのため、後遺症であることを判断することが非常に難しいものです。
どういった症状であれば後遺障害に該当する可能性があるかの判断が難しかったり、資料を集めることに苦戦したりと、一筋縄ではいかないことがほとんどです。
ここでは、別表第一第2級1号とはいったいどのような等級なのかについてご説明します。
■別表第一第2級1号の高次脳機能障害とは
自動車損害賠償保障法施行令において、2級1号の認定基準は「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」と定められています。
しかし、この基準は抽象的でわかりづらいかと思います。
そこで、平成12年度に自賠責損害保険料率算出機構が「等級認定にあたっての考え方」を以下の通り補足しました。
①著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、一人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。
②身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの。 |
引用:損害保険料率算出機構、「高次脳機能障害認定システム確立検討委員会報告書」(H12.12.18)
まとめ
交通事故の被害者が頭部外傷により重傷を負い、幸いにも快方に向かったとしても、一度深いダメージを負ってしまった脳の機能は完全に元通りになるとは限りません。
交通事故に遭われるのはいつも突然です。
このような普段聞きなれない難しい障害をご自身やご家族だけで調べながら対処していくことは、酷く困難です。
私たちは少しでもご不安を抱える方々の力になれればと、日々解決に取り組んでいます。
重傷を負ってしまい今後の治療が心配な方、事故後、ご自身のコントロールできない言動に悩まれている方、ご家族が事故前とは別人のようになってしまったとお感じになっている方、まずは一度当事務所の弁護士へご相談ください。