拘束条件付取引(対面販売)
フランチャイズにおいては、フランチャイズ・チェーン全体の統一性が保たれていることが重要な前提です。
そこで、フランチャイズ事業の運営上、本部側が加盟店側に商品の販売方法として対面販売を求め、契約上で定められていることがあります。
このような販売方法の拘束について、どのような法律問題が生じうるのでしょうか。
1.独禁法違反
事業運営上の拘束が、結果としてフランチャイズ・チェーン全体の利益に繋がっているとしても、それが加盟店の事業活動を不当に拘束していると判断されれば、拘束条件付取引として独禁法違反となり得ます。
但し、独禁法違反であることは、本部側と加盟店側との間の関係において、当該拘束が無効であることを意味しません。
2.加盟店の経営権の拘束
加盟店の運営主体はそれぞれ独立しています。
したがって、原則として、加盟店側は販売方法を制限されることはないはずです。
しかし、フランチャイズ・チェーン全体の統一性を維持するために加盟店を束ねる本部側が一律に販売方法を定める場合、通常その制限は、事業利益が加盟店側にも還元されることを目指しています。
そうだとすれば、拘束の内容によっては、違法性は認められず、有効と認められても良いように思われます。
この点、裁判例は、当該販売方法には価格維持の効果があるかどうかという点で判断しています。
価格維持に向けて合理性のある手段であれば、当該拘束は有効と判断されます。
例えば、化粧品の販売に際して、個々の消費者の肌の性質などに合わせて販売することは、商品の安全性や品質、信頼の維持のためには合理性を有すると判断され得ます。
裁判例では、価格維持に対する効果の有無について裁判所が立ち入って判断することを避ける傾向が認められます。
これについては、原則として販売方法を決めるのは事業者であること、また、効果の有無については市場の判断が優先する、すなわち、市場に委ねずに裁判所が判断することは、当該事業を裁判所が先走って否定することを意味し避けるべきである、との考え方を前提としているためと考えられています。
まとめ
(1)加盟店側
以上のように、拘束条件付取引については、簡単には有効性が否定されることはないと思われます。
加盟店側としては、当該拘束に違反したことを理由に契約解除を告げられたり、違約金を請求された場合、裁判でも不利に立たされる可能性があります。
そうなる前に、弁護士にご相談下さい。
当該拘束が従うべき内容なのか否かついて、アドバイスができます。
(2)本部側
また、本部側も、拘束条件によっては、独禁法に抵触する場合があります。
その場合、公正取引委員会から排除措置を命ぜられたり、課徴金を課されたりすることになります。
それだけでなく、排除措置命令に違反すれば過料などに処せられることもあります。
上記のとおり、加盟店側との関係でも、無効となることもあります。
このように、本部側にとっても、どのような拘束なら問題が生じないか、トラブルにならないかを、事前に弁護士に相談されることは非常に重要です。
是非、弁護士にご相談下さい。
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