説明義務違反と損害賠償
フランチャイズ契約において、加盟店側は、本部の説明に大きく依存することが多いです。
しかし、その説明に誤りが含まれていたとしたらトラブルの原因となってしまうでしょう。
例えば、フランチャイズ契約を締結するに当たり、本部側が加盟店になろうとする側に対して、事業の一部が行政法規違反であるのにその説明をしなかったため、フランチャイズ契約後、加盟店が営業を継続できなくなったなどの場合、本部側にはどのような責任が認められるのでしょうか。
1.不法行為
このような場合、本部側に説明義務違反が認められ、その結果、本部側の勧誘行為について「不法行為」とされ、本部側に損害賠償責任が認められることがあります。
つまり、フランチャイズ契約を締結するため勧誘行為をするのであれば、本部側には、法令に適合する為に必要な情報を加盟店になろうとする側に事前に説明し、契約締結後に適法な営業を行うことができず廃業せざるを得ないような事態を未然に防止すべき義務があると考えられるため、法令に適合するための手段、方法について説明を怠った場合には、説明義務の違反が認められることとなるのです。
2.損害賠償
それでは、損害はいかなる範囲で認められるのでしょうか。
説明義務違反の内容が、食品衛生法上の営業許可が得られないことの説明をしていなかった事例において、加盟店側は契約締結の過程でその説明を受けていれば契約をすることはなかったとされています。
そこで、契約を締結したことで生じた損害といえる、加盟金(ライセンス取得費)、機器一式の購入費や営業損失が、勧誘行為によって生じた損害として認められています。
3.過失相殺
それでは、説明義務違反が認められた場合、加盟店側は勧誘行為によって生じた損害の全てを本部側に請求できるのでしょうか。
加盟店側も、事前に気付くことができたのではないかとの反論の余地が考えられるため、問題となります。
この点、フランチャイズ契約における本部と加盟店の関係性として、本部側は当該事業について深い経験を有しているのに対して、加盟店側はそもそも事業の経験すらない者であることや当該事業の経験がない者であることが多いのが実情です。
例えば、コンビニのフランチャイズ契約においては、個人事業を初めて行う経営者が加盟店側となることが多く見られるでしょう。
そこで、本部側には、上記のとおり、契約締結の過程において、加盟店側に対して一定の説明義務が求められるのです。
もっとも、フランチャイズ契約においては、加盟店もあくまで独立の事業者として自らの責任において経営を行うことが求められています。
したがって、事業によって生じる損失、損害については、原則的には自己責任と考えられています。
このようなことから、本部側の説明義務違反が認められるとしても、加盟店側も一事業者として契約締結に際して注意を払うべきであり、それによる損失は経営責任として負うべき部分もあることが勘案されることで、過失相殺が行われることがあります。
例えば、過失相殺の結果、5割分しか請求できない、という結果もありえるのです。
まとめ
加盟店側としては、契約締結後、法令違反になる旨の説明を受けていなかったなどの場合、本部側へ損害賠償を請求することが考えられます。
しかし、それによって生じた損害も、大きく過失相殺されてしまう場合があるため、契約締結過程においては独自に十分な調査を行うことが求められるでしょう。
ぜひ弁護士へご相談下さい。
本部側としては、契約締結の過程において、後々説明義務違反を問われないよう、行政法規等についても調査して、不法行為責任を負うことがないよう備えるべきです。
本部側は、事業を加盟店側に進める立場として、責任ある説明を行うことが求められます。まずは、弁護士に一度ご相談下さい。
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