むちうちの後遺症が数年後も残っていたら?慰謝料や治療費はどうなる
「この症状はむちうちの後遺症かもしれない」
「数年後でも交通事故の後遺症の慰謝料や治療費は請求できるのだろうか」
交通事故から数年後まで後遺症に悩まされる人は少なくありません。
なかでも、むちうちは交通事故による代表的な怪我の一つです。
本記事では、むちうちの後遺症が数年後まで残ったときの対処法について解説します。
1.事故から数年後までむちうちの後遺症が残る場合
交通事故によって負った怪我について、治療を続けても症状の改善が見込めない状態(この状態を「症状固定」といいます。)となることがあります。
このときに残った症状を「後遺症」といいます。
しかし、単に後遺症があるというだけでは、これに対する賠償を受けることはできません。
後遺症が自賠法上の「後遺障害」に該当すると認められれば、同法に定められた金額の賠償を受けることができますし、ほとんどの場合、加害者側の保険会社も後遺障害に応じた賠償をします。
交通事故において後遺症という言葉と後遺障害という言葉は、区別して扱われますので注意しておきましょう。
事故後、しばらく経ってからむちうちの症状が出ることは珍しくありません。
事故当日や直後は事故のショックで痛みやしびれを感じていなくても、落ち着いた頃に身体の不調を感じる人もいます。
また、数年間治療し続けても、むちうちの不快な症状で悩まされ続ける人は少なくありません。
むちうちの症状は多岐にわたりますが、主に後遺症として訴えられることが多い症状は以下のようなものです。
- 首の痛み
- 手、腕のしびれ
- 肩の張り
- 頭痛
- めまい
後遺症が残っている場合、申請により後遺障害の認定を受けられる可能性があります。
後遺障害と認められるためには、回復が見込めないこと、事故と症状に因果関係があることなどの条件を満たす必要があります。
むちうちの後遺症が後遺障害として認定されれば、後遺障害の等級に応じた慰謝料および逸失利益の請求ができます。
2.事故から数年後に慰謝料を請求するポイント
事故から数年後でも後遺障害認定を取得すれば、追加で保険会社から慰謝料が支払われる可能性があります。
ただし、後遺障害の認定を受けるには申請して審査を受けなくてはなりません。
また、すでに相手方との示談が成立している場合、和解内容に反しないかどうか検討する必要もあります。
追加で慰謝料を請求するための具体的な方法を確認しましょう。
(1)事故と後遺症の因果関係の証明
追加で慰謝料請求するなら、後遺障害認定の申請をして事故と後遺症の因果関係を証明しなければなりません。
証明するうえで重要な証拠となるのは、医師による診断書やMRI画像などの客観的な資料です。
後遺障害認定を受けるための大まかな流れは以下のとおりです。
- 症状固定の診断
- 後遺障害診断書の作成等必要書類の収集
- 自賠責保険に対する申請
- 損害保険料率算出機構による審査
症状固定日とは、これ以上治療しても効果がないと医師に認定された日のことです。
診断書以外にも客観的な証拠が重視されるので、レントゲンやMRIでむちうちの所見があれば有利になります。
ここで注意しておきたいのが、後遺障害がある場合の損害賠償請求について時効が存在することです。
時効は交通事故の発生日によって変わるため、以下の表で確認しましょう。
発生日 | 症状固定日から時効までの期間 |
2020年3月31日まで | 3年 |
2020年4月1日以降 | 5年 |
後遺障害が認められた損害賠償請求の時効は、症状固定日から起算して3年または5年です。
後遺障害の審査が長引くと、請求できる期間も限られます。
後遺障害認定を申請する前には、病院で自身の症状と経過を説明し、事故との因果関係を証明できる書類を揃える必要があります。
事故から数年経っている場合は、時効を迎えるまでに請求を行える状態にする必要があるので早急に準備を始めた方がよいでしょう。
(2)示談内容や状況の確認
示談した場合は、示談書の内容や示談したときの状況をよく確認しましょう。
示談後だと、追加の慰謝料請求は原則難しくなります。
ただし、以下のケースだと示談の効力を覆せる可能性があります。
- 予想外の後遺症が発現
- 被害者の無知を利用した非常識な額の示談
- 加害者による詐欺や脅迫
また、示談書に以下の内容が記載されている場合、示談成立後でも慰謝料請求ができます。
- 物損事故として示談、他の損害は別途協議
- 新たに損害が発生した場合、別途協議
このように、合意した時の状況や内容次第で請求できる可能性もあります。
詳しくは弁護士に相談されるのがよいでしょう。
3.むちうちの後遺症に悩まされているときの対処法
事故から数年後もむちうちの後遺症に悩まされていたら、すぐに通院や弁護士に相談するといった行動をとられることをおすすめします。
早めに行動することで、客観的な因果関係の証明を立証できる可能性が高くなります。
また、時効までの猶予も考慮しなくてはいけません。
後遺症による身体の不調を感じたときにやるべきことを確認して、早めに行動しましょう。
(1)医者に症状を診てもらう
後遺障害の申請には医師による診断が必要となるため、後遺症による不調を感じたらすぐに診てもらいましょう。
後遺障害診断書を作成できるのは医師のみです。
適切な診断を受けて診断書を書いてもらう必要があります。
事故との因果関係を証明するためには、医師の協力が必要不可欠です。まずは、むちうち治療のために通っていた病院へ相談しましょう。
(2)弁護士に相談する
治療費や慰謝料の追加請求ができるか弁護士に相談しましょう。前述のとおり、示談の内容によっては、取り決めた効力を覆せる可能性があります。
また、事故から数年が経過していると、時効が迫っているケースも少なくありません。
ただ、時効の進行を阻止する方法もあります。
数年前の事故だったり後遺障害の審査が長引いたりする場合は、弁護士へ早めに相談しましょう。
追加で慰謝料を請求するなら、時効や示談の内容の精査といった専門的な知識が必要になります。
スムーズに交渉を進めるためにも弁護士の力が必要です。
交通事故の案件を多く取り扱っている弁護士に相談し、追加で治療費や慰謝料を請求できるか確認しましょう。
まとめ
事故の数年後にむちうちの後遺症が出たら、慰謝料を請求できる可能性があります。
時効が過ぎていないことを確認したうえで弁護士に相談しましょう。
被害に対する適正な慰謝料を請求する方法があるかもしれません。
また、追加で請求する場合、医者による診断書は欠かせませんので、早めに治療にかかり、事故との因果関係をはっきりさせましょう。
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