スマホは差押えの対象になるの?スマホが使えなくなるケースを紹介
「財産が差し押さえられるとスマホは使えなくなるのか」
「スマホが使えなくなる前にしておくべきことはあるのか」
返済の滞納などにより財産の差押えに遭いそうな人の中には、スマホも差し押さえられるのか気になっている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、スマホが差押えの対象となるのか、スマホが使えなくなるケースについてご説明します。
1.スマホは差し押さえられるのか
結論から言うと、原則として、スマホは差押えの対象になりません。
スマホは現代の社会生活上、生活必需品で、スマホが無くなることで生活に悪影響を及ぼす可能性が高いため、民事執行法131条で定められる生活必需品の動産と同じように、ほとんどの場合で差押えの対象になりません。
また、スマホ以外にもテレビやパソコンなど情報媒体の家電製品も、原則として、差押禁止財産に該当するので、差し押さえられる心配はそれほどありません。
家電製品以外にも差押禁止財産として以下のような財産も差押えの対象となりません。
- 66万円までの現金
- 給料、退職金などの債権の4分の3(但し手取り額が33万円を超える場合は33万円を超える部分が差押えの対象となる)
- 個別法で守られている債権(国民年金・厚生年金などの各種年金の受給権、生活保護受給権、児童手当受給権など)
- 債務者等の生活に必要な衣服や寝具、家具、台所用具、建具
- 債務者等の1月分の食料や燃料
- 債務者の職業で必要な器具やその他の物
- 実印、職業又は生活で必要な印鑑
- 仏像や位牌など祭祀に必要な物
- 債務者等が受けた勲章や名誉を表彰するもの
- 債務者等の学習に必要な書類や器具
- 債務者等に必要な義手、義足、身体の補足に供する物
- 消防用の機械、器具、避難器具、備品
- 発明、著作に係る未公表の物
- 日記、商業帳簿など
スマホは社会的に生活に必要なものとの認識が一般的であるため、生活に欠くことができないとされ、原則として差押え禁止財産に該当しますので、債権者から差し押さえられる可能性は少ないでしょう。
2.スマホが差押えの対象となるケース
原則として、債権者からスマホが差し押さえられることはありませんが、例外的に、スマホが差し押さえられる可能性もあります。
例えば、スマホを複数台所有しているため、複数スマホのうちの一つを除いて、他のスマホが差し押さえられたり、高価で財産的価値の高いスマホ等は差押えされる可能性があります。
また、スマホの購入代金の返済を怠っている場合も、返還を求められます。
これらは、生活に必要不可欠な財産とはいえないからです。
3.差し押さえられる可能性がある財産
差し押さえられる可能性がある財産、つまり、差し押さえられる可能性がある債権、動産及び不動産について、具体例を挙げながらご説明します。
(1)債権
債権は財産の中でも特に差し押さえられやすい傾向があります。
基本的には、給料や預貯金が対象になることが多く、法律で決まった額が回収されてしまうでしょう。
たとえば、給料で差し押さえられる範囲は以下のように定められています。
- 給料の4分の1(手取りが44万円以上の場合は、33万円を超える部分が対象)
差押禁止財産として、給料の4分の3は差押えされませんので、差し押さえられる対象は上記のようになるのです。
給料が差し押さえられたとしても、4分の3は毎月手元に入ってきますので、差押えによって給与の支払を全く受けられなくなるわけではありません。
(2)動産・不動産
動産・不動産も差押えの対象になりますが、債権に比べると差し押さえられるケースは少ないでしょう。
動産で差押えの対象になるのは、主に現金や車、有価証券、宝石などで、不動産では土地や家、マンションなどの建物です。
動産では主に現金や車が対象になることが多いですが、財産を差し押さえられる人が多額の現金を持っていることは少なく、車も状態や世代によって値段がつかないケースが多々あります。
また、不動産の場合は手間やお金がかかり債権者にも大きな負担がかかるため、債権と比べると、差し押さえられることが少ないです。
動産は価値が安定しにくく、不動産は所有権の移転など手間などがかかるため、動産・不動産よりも給料や預貯金が差し押さえられる可能性が高くなります。
ただし、債権者次第では動産や不動産が差し押さえられる可能性はあるため、66万円以上の現金や高級車、高層マンションなど高額な資産を所有している人は注意しておきましょう。
4.差押えを受ける前兆とは
財産を差し押さえられる前には、必ず債権者から督促状が届きます。
借金の返済が滞っている場合、いきなり差押えではなく支払を促してくるので、督促状が差押えの前兆です。
債権者からの督促状を無視した場合、債権者が訴訟を起こせば、裁判所から書類が届きます。
裁判所から書類が届いたら、差押えまでの期間はそう長くないので要注意です。
督促状に続いて、裁判所からの書類に対しても指定期間中に応じなければ、いつ差押えが起こっても不思議ではありません。
差押えの決定が下りる前であればまだ間に合うので、債権者から督促状や裁判所から書類が届いている人は、すぐに弁護士に相談しましょう。
まとめ
財産が差し押さえられたとしても、原則として、スマホが差押えの対象になることはありません。
しかし、スマホを複数所有していたり、とくに高価なスマホを所有している場合は、差押えを受ける可能性があります。
生活に必要な財産は差し押さえられませんが、給料や資産価値が高い財産は差押えの対象になるので、差し押さえられないように対応することが重要です。
督促状や裁判所からの書類が届いている人は、早い内に弁護士に相談しておきましょう。
関連記事