差押禁止財産とは?差押えの対象となる財産と種類を紹介
「差押えが禁止されている財産とは、どんな財産のことなのか?」
「差押えの対象となる財産はどんな財産なのか?」
支払いの滞納などを理由に差押えを受ける可能性がある人の中には、どのような財産が差し押さえられてしまうのか気になっている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、差押禁止財産の種類、差押えの対象となる財産についてご説明します。
1.差押禁止財産とは
まず前提として、差押えとは、債権者が債務者から債権を回収するために強制的に金銭債権を回収するための強制執行手続のことをいい、差押禁止財産とは、この差押えの対象とならない財産のことです。
債務者の生活保障の観点から、債務者やその家族が生活していく上で必要不可欠な財産や、必要最低限度の財産は法律で守られているのです。
したがって、差押えを受けたとしても、いきなり一文無しになるわけではありません。
差押禁止財産は、差押えの対象とならないのです。
2.差押禁止財産の種類
差押禁止財産の種類についてご説明します。
以下では、差押えが禁止される動産と、差押えが禁止される債権を、それぞれ具体例を挙げながら紹介しますので、自身の財産と照らし合わせながら、どの財産が守られるのか確認しておきましょう。
(1)差押えが禁止される動産
差押えが禁止される動産とは、一定額の現金や家具など、以下の動産をいいます。
- 66万円までの現金
- 債務者等の生活に必要な衣服や寝具、家具、台所用具、建具
- 債務者等の1か月分の食料や燃料
- 債務者の職業で必要な器具やその他の物
- 実印、職業又は生活で必要な印鑑
このように、財産が差し押さえられても、最低限の生活に必要な財産は残しておけるようになっています。
(2)差押えが禁止される債権
差押えが禁止されている債権とは、給料債権の内の一定の部分など、以下の債権をいいます。
- 給料の4分の3(ただし、給料が44万円を超える場合、33万円を超える部分が差し押さえ可能となる)
- 退職金債権の4分の3
- 個別法で守られている債権(国民年金・厚生年金などの各種年金の受給権、生活保護受給権、児童手当受給権など)
給与債権については、全額が差押えの対象になるというわけではありません。
手取り金額が44万円未満の場合、手取り金額の4分の3は差押えの対象になりません(民事執行法152条1項2号)。
手取り金額が44万円以上の場合は、33万円を超える部分が差押えの対象になります(民事執行法152条1項、民事執行法施行令2条)。
また、次に挙げる債権等は、それぞれの法律により差押えが禁止されています。
- 国民年金の受給権(国民年金法24条)
- 厚生年金の受給権(厚生年金保険法41条1項)
- 児童手当受給権(児童扶養手当法24条)
- 生活保護費の受給権(生活保護法58条)
これらの債権は差押えが禁止されているものの、一度銀行の口座に入金されてしまうと、単なる預金債権となってしまいます。
こうなると、差押えの対象となってしまいますので注意が必要です。
3.差押えの対象となる財産
差押禁止財産に該当しないものが差押えの対象となりますが、ここでは具体的にどのような財産が差押えられるのかご説明します。
今回は動産・不動産と債権に分けて説明しますので、ご自身の財産で何が該当するのか確認しておきましょう。
(1)動産・不動産
動産・不動産で差押えの対象となるのは、動産では現金や車、有価証券、宝石、不動産では土地や家、マンションなどの建物が該当します。
また、66万円以上の現金をはじめ、高級車や土地・家などが差押えの対象として考えられます。
しかし、動産に関しては中古の価値は変動しやすく、場合によっては価値が低く判断されることがあります。
また、不動産の差押えに関する手続には大きな費用と時間が必要なので、債権者から差押えられるケースはあまり多くありません。
したがって、動産・不動産で差し押さえられやすいのは、現金や有価証券、宝石などある程度価値が担保されていて、手軽に所有権を移行できるものが多いでしょう。
(2)債権
債権で差押えの対象となることが多いのは、給料や預金債権です。
給料債権について、先に述べましたように、差押禁止債権の範囲は原則として手取り金額の4分の3に相当する金額ですので、4分の1は差し押さえの対象になります。
また、手取り金額が44万円以上の場合は、手取りの4分の1ではなく、33万円を超える部分が全て差し押さえの対象になることも覚えておきましょう。
預金口座に対して差押えが実行されると、その時点の預金残高の内、借金の金額の範囲内で差し押さえられてしまいます。
まとめ
借金を滞納し続けると、財産を差し押さえられる可能性があります。
財産のなかでも差押えの対象になりやすいのは給与債権と預金債権です。
滞納後、差押予告通知書などが届いた場合も、早めに行動することで、差押えを回避することにつながります。
返済が難しい場合や差押えを回避したいとお考えであれば、ひとりで悩まずに弁護士に相談することをおすすめします。
債務整理について適切なアドバイスを受けて、大切な財産を守りましょう。
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