医療費に時効はあるの?未払いを防ぐ方法について解説
未払い医療費について、気をつけなければいけないのは、消滅時効です。
消滅時効とは、債権の請求をできる時から一定の期間が経過した場合請求ができなくなる効力を意味します。
一般の債権は5~10年間の消滅時効とされているものが多いですが、医療費については民法によって3年間と定められています。
したがって、医療費が発生してから3年を経過してしまうと、そもそも請求すること自体ができなくなってしまいますから、時効の管理は注意しなければなりません。
また、公立病院の医療費に関しては、従来は地方自治法が適用されて消滅時効は5年間であるとの見解もありましたが、最高裁判所が民間病院と公立病院で別意に取り扱う必要はないとして、公立病院も3年間の消滅時効となることが確認されています。
1.医療費の未払いを事前に防ぐ方法
医療費の未払いがひとたび生じれば、上記のような費用と労力をかける必要が出てきます。
そのため、医療費の未払いを可能な限り生じさせないような予防策は大切です。
もっとも、医療機関には応召義務があります。
したがって、事前に「お金を持っていない人は診ません」とすることはできません(厚労省も「医療費が支払われていない場合でも直ちに診察を拒むことはできない」旨を示しています)。
しかし、純然たる慈善事業でない以上、適切な対価をいただくことが必要なのはいうまでもありませんし、他の患者様にも迷惑をかけることになってしまいます。
そこで、これらのジレンマを解消できる方法を採る必要があります。
例としては以下の方法があります。
(1)患者負担額が高額になる場合や、支払能力に不安がある患者については、事前に金額及び支払条件を書面にして確認を取る
診療契約は、「何をしていくらかかる」というのが、事前に患者側からわかりづらい場合が多いです。
患者側からすると、「思いのほか高額だった」「事前に聞いていた話とは違う」等という状況が生じ兼ねず、「資力の問題で支払えない」「支払いたくない」という問題につながる可能性があります。
したがって、患者負担額が大きくなりそうな場合等は、事前に金額とこの支払方法(一括か分割か、支払日はいつか等)を書面で確認しておくことで、事後の紛争を予防できます。
(2)親族に連帯保証人になってもらう
患者本人の資力が乏しい場合には、親族に連帯保証人となってもらうことも検討しましょう。
連帯保証とは、主債務者本人の債務と同内容の債務を引受けることです。
そのため、患者本人が支払えない場合には、連帯保証人へ請求することができます。
まとめ
上記のとおり、医療費の未払いをなくすべく予防策を練っても、未払いを100%なくすことは困難です。
その場合、医療機関の事務局は、督促の電話や手紙を発送したり、事項の管理をしたりと、煩雑な手間に追われることとなります。
しかし、医療機関の本来の使命は、「患者様を癒すこと」だと思います。
未払い金の回収に対して、労働力を割き、精神的ストレスを抱え込んでしまっては、本来その医療機関が持っているパフォーマンスを発揮できていないこととなります。
未払い金の回収については、その専門家である弁護士にお任せいただき、医療機関の皆様には、患者様を癒すことに専念いただける環境を提供できればと考えています。
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