著作権の保護期間はいつまで?インターネットビジネスにおける著作権

4.交通事故の治療費が打ち切りになった場合は?

著作権法は、新聞や雑誌のように、「素材の選択または配列創作性を有する」編集物を、編集著作物として保護しています。

もっとも、編集著作物と認められるためには、素材の選択又は配列に創作性が認められる必要があります。

そのため、網羅的な情報を、50音順に整理するようなデータベースには、創造性が認められない傾向があります。

そのため、網羅的で実用的なデータベースほど、著作物としての保護が及ばないというジレンマが生じます。

事業者としては、著作物としての保護ではなく、利用者や従業員と秘密保持契約を締結する等、営業機密として社内管理を徹底する対策が望まれます。

1.著作権の登録

日本はベルヌ条約に加盟しており、著作権について無方式主義が採用されています。

そのため、著作権が権利として発生するために、登録手続をする必要はありませんし、習慣として今も広く残っている「c(マルシー)」の表示も必要もありません。

もっとも、著作権法は文化庁における登録制度を用意しています。

この登録制度は、著作権の譲渡を受けた方が登録をしておくことによって、他にも譲渡を受けたと主張する方に対して、自身の優位性を対向するために有用です。

日本はベルヌ条約に加盟しており、著作権について無方式主義が採用されています。

そのため、著作権が権利として発生するために、登録手続をする必要はありませんし、習慣として今も広く残っている「c(マルシー)」の表示も必要もありません。

もっとも、著作権法は文化庁における登録制度を用意しています。

この登録制度は、著作権の譲渡を受けた方が登録をしておくことによって、他にも譲渡を受けたと主張する方に対して、自身の優位性を対向するために有用です。

(1)eコマースに関する制限規定

所有する買いがをインターネットオークション等で販売する場合、画像をウェブサイトにアップすることになりますが、このようなeコマースにおける画像掲載は、著作権者の許諾を得ずに行えます。

事業者としては、複雑な権利処理を要せず、インターネット取引を行えるようになりました。

(2)私的複製

個人的に楽しむ目的で、音楽を録音したり、テレビ番組を録画したり、雑誌の記事をコピーする等の行為は、私的複製として、自由に行えます。

近年、録音や録画を制限するコピープロテクション等の技術的保護手段(DRMといわれます。)が、コンテンツの配信時に用いられますが、これを回避して録音や録画を行う行為には、私的複製としての例外は認められていません。

事業者としては、著作権者へ支払う補償金を確保するためにも、コピープロテクション等の技術的保護手段を実践することが求められます。

(3)写り込み

写真や動画撮影時に意図しない対象が写り込んでしまうことがあります。

写り込みのような、付随的で軽微なものは、著作権者の利益は害されないことから、許諾を得ずに自由に利用できます。

(4)引用

単語などの短い節でなく、他人の著作物用いられる一節を、自分の著作物の中に取り入れる場合、一定の条件を満たせば、引用として、自由に利用可能です。

一定の条件とは、①著作者名や題名を表示して出所を明らかにして、②引用部分をカギ括弧等で区別し、③自分の著作物がメインとなるような主従関係があることをいいます。

事業者、著作権者としては、自身の著作物が適切に引用されているか、また、他人の著作物を適切に引用しているか、注意を払う必要があります。

(5)非営利目的の上演・上映等

公表された著作物は、①営利を目的とせず、②聴衆、観衆から入場料その他名目を問わず一切の対価を徴収せず、③演奏者などの出演者に出演料などの報酬が支払われない場合には、著作権者の許諾を得ることなく、公に上演、演奏、上映、口述することができます。

例えば、学校の文化祭での演劇や、軽音楽部による演奏がこれにあたります。

チャリティー目的であったとしても、徴収、観衆から対価を徴収する場合には、非営利目的の上演にはあたりませんので、注意が必要です。

(6)公開の美術の著作物等の利用

屋外の場所に設置されている彫刻や壁画、建築物は、一定の場合を除き、著作権者の許諾を得ずに、自由に利用することができます。

例えば、有名な建築物を写真撮影してインターネット上にアップしたり、公園の銅像と写真撮影して雑誌に掲載したりすることは、問題ありません。

もっとも、入場料を支払って敷地内に入る場合や、敷地内での写真撮影を禁止している場合には、著作権侵害ではなく、契約違反となる場合があるので、注意が必要です。

事業者、著作権者としては、公開の著作物が所在する場所の管理体制、顧客への周知を徹底することが求められます。

2.著作権の保護期間

著作権の保護期間は、原則として、著作物が創作された時から著作者の死後50年間存続します。

技術を保護する特許権等と比べて保護期間が長い理由は、長期間の独占を認めることで創作的な表現の多様性の追求に資すると考えられているからです。

保護期間を経過した後は、誰でも自由に利用できます(パブリックドメインといいます)。

保護期間の例外もあります。

(1)保護期間の例外

・共同著作物
2名以上の著作権者が創作した共同著作物は、最後に死亡した著作権者を基準に、その著作者の死後50年間保護されます。

・無名又は変名で公表された著作物
この場合、著作者を特定できず、いつから50年間を起算すればよいか判然としないため、著作物の公表度50年間保護されます。

・団体名義の著作物
法人などの団体が著作者の場合には、著作物の公表後50年間保護されます。

・映画の著作物
映画の著作物の著作権は、諸外国の制度との調和を図り、公表後70年間保護されます。

(2)権利処理(利用許諾と権利譲渡)に関する契約書作成、リーガルチェック

#1:利用許諾

利用許諾という言葉を用いると、複雑なものとの印象を受けるかもしれませんが、テレビ局は映画の著作権者に対して対価を支払って放映したり、漫画の著作権者に対して対価を支払ってアニメ化したりと、ごく身近に触れるものの中にも、利用許諾は存在しています。

インターネットビジネスにおいても、ある著作物を適法にインターネット配信する場合に、こうした利用許諾について、対象となる著作物や利用態様、許諾期間、禁止事項等を取り決める契約書を作成します。

当事務所では、利用許諾に関する契約書作成、リーガルチェックを取り扱っています。

#2:権利譲渡

著作権者から著作権自体を譲ってもらい、利用者自ら著作権者となって利用することも可能です。

利用態様が多岐に及ぶ場合など、当該著作物を利用して、広く事業を展開する場合には、利用許諾よりも権利譲渡が活用されます。

例えば、音楽業界では、作詞家や作曲家が著作権を音楽出版社に譲渡して、音楽出版社からさらにJASRACなどの著作権等管理事業者に著作権を信託譲渡する取扱いが一般的です。

権利譲渡を行う場合に、特に注意しなければならないのは、明記されていないと譲渡の対象にならないと推定される、翻訳権や翻案権といった権利、二次的著作物の利用権の取扱いです。

一般的に、契約書では、著作物の範囲を規定する際に、「著作権法27条及び28条に規定する権利を含む。」という記載を挿入する工夫をしています。

また、著作権は財産権ですので第三者に譲渡することが可能ですが、著作者人格権は人格的な権利であるため第三者に譲渡できないことにも注意が必要です。

著作者人格権は譲渡人である著作権者が持ち続けることになりますので、例えば、著作物を改変することが予定されている場合は、あらかじめ改変の同意を得ておく等の工夫が必要です。

譲渡人である著作権者は、著作者人格権の基づく各権利(公表権(著作権法18条)、氏名表示権(19条)、同一性保持権(20条))の対象となる行為に対して、差止請求、損害賠償請求、刑事罰を求める告訴等を行うことができるため、一般的に、契約書では、著作者人格権の不行使をあらかじめ定める(不行使特約といいます)という工夫をしています。

当事務所では、権利譲渡に関する契約書作成、リーガルチェックを取り扱っています。

(3)電子書籍

近年の海賊版の氾濫に、作家ではなく、出版社が対抗できるようにするために、電子出版においても、出版権が認められています(著作権法80条)。

出版権は大きく2種類で、①紙の書籍の場合で、原作のまま電子出版する権利と、②原作の著作物の複製物を用いて公衆送信する権利に分かれます。

作家と出版社の間の契約に則して分けると、①は販売型電子出版の場合に出版社が専有する権利で、②は配信型電子出版の場合に出版社が専有する権利となります。

出版社としては、海賊版の氾濫に対抗するということも重要ですが、自社の持つ権利の詳細について把握して、作家の著作権及び著作者人格権に配慮しつつ、作家の発展、作家との関係維持を図れるよう、細やかな契約関係の改善が必要になります。

(3)動画配信

動画配信にあたっては、とても複雑な権利処理が必要になります。

作品自体の著作権の他、作品の原作や脚本、音楽、映像素材についても権利処理を行う必要があります。

また、CD等に収録された音源を使用した場合、製作者の著作隣接権についても権利処理を行う必要があります。

さらに、俳優や声優などの実演者の著作隣接権についても権利処理の必要性を検討しなければなりません。

このように複雑で、個別的な権利処理を要する場合が多いため、不明な点のみ専門家の意見を聞いてみるというように、ご相談の機会を活用いただければと思います。

(4)オンラインゲーム

ゲームアプリの開発や運用には、ソーシャルアプリプロバイダ(SAPといいます)や、開発会社、プラットホーム事業者、ディストリビューター、原作の権利者等、複数の関係者が存在します。

原作の著作権から辿って、当該ゲームアプリに組み込まれる著作物の著作権、著作者人格権、著作隣接権の権利処理は、各関係者と調和を保ちつつ、進められなければなりません。

また、ゲームアプリに限ったことではありませんが、競合他社のゲームアプリ上の表現が似通ることで、著作権侵害の有無が問題になる件が少なくありません。

このような紛争では、著作権侵害の有無について、ゲームアプリ上の表現が、創作的な表現か、単なるアイデアかという曖昧かつ個別的な争点について、適切な主張をする必要があります。

当事務所では、権利処理に関する疑問点や、著作権侵害の有無に関するご相談を取り扱っております。