借金の連帯保証人になったら生じる責任とは?返済できない場合の対処法
「友人から連帯保証人になってほしいと言われているが、どのような役割なのかよくわかっていない」
「絶対に迷惑はかけないから」と説得されて、身内や知人が借金を申し込む際の連帯保証人になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし連帯保証人は借入をする本人(主債務者)と同等の責任を負う立場となるため、安易に承諾するのは避けたほうが良いでしょう。
この記事では借金の連帯保証人になった場合に生じる責任と、連帯保証の借金が返せない時の対応策についてご説明します。
1.借金の連帯保証人になった場合に生じる責任
「借金の連帯保証人」という存在自体は知っている方が多いかもしれません。
ですが連帯保証人はどのような時に、どのような責任が発生するのかについてはご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
借金の連帯保証人になった場合に生じる責任と、保証人との違いについてご説明します。
(1)主債務者が返済できなくなったときに代わりに返済する義務を負う
そもそも「保証」とは、主債務者(実際に借入をした人)が借金の返済ができなくなった場合に、主債務者に代わって借金を返済する義務を負うことを指します。
そのため、保証人は主債務者とほぼ同じ責任を負うことになり、主債務者の行方が分からなくなった場合などには、借金残高の全額を保証人が請求受けることになるのです。
そのため友人・知人に「借金の(連帯)保証人になってほしい」と頼まれても、安易に承諾・手続をしないようにするのが無難です。
(2)単なる「保証」よりも強い義務があるのが「連帯保証」
連帯保証人 | 保証人 | |
催告の抗弁権 | ✖ | 〇 |
検索の抗弁権 | ✖ | 〇 |
分別の利益 | ✖ | 〇 |
連帯保証人とは、単なる「保証人」に「連帯」という効果が付加されているものです。
通常、保証人は、債権者(借入先)からの返済請求に対して、反論する権利が3つ認められています。
しかし、連帯保証人は、これらの3つの権利がありません。
そのため、連帯保証人はより義務が重いことになるのです。
ここからは連帯保証人に適用されない権利についてご説明します。
#1:催告の抗弁権がない
「催告の抗弁権」とは債権者(借入先)から借金返済の要求があった時に、先に主債務者に請求するように主張して、返済義務の肩代わりを拒むことができる権利です(民法452条本文にて規定)。
この権利を行使することにより、保証人は主債務者(実際に借入をした人)に支払い能力がないことを確認したうえで、はじめて借金の返済を始めることができます。
連帯保証人には、この催告の抗弁権はないため、債権者(借入先)から借金の返済請求があれば、直ちに借金の肩代わりをしなくてはいけません。
#2:検索の抗弁権がない
「検索の抗弁権」とは債権者(借入先)が保証人の財産の差し押さえをしようとした時に、先に主債務者の財産を差し押さえるように主張できる権利です(民法453条にて規定)。
この権利を行使して主債務者に財産があることを証明できれば、保証人の財産は差し押さえを回避することができます。
連帯保証人の場合は、この検索の抗弁権がないため、強制執行に抗う術がありません。
#3:分別の利益が適用されない
「分別の利益」とは、保証人が複数いる場合に、その負担の範囲が主債務を保証人の人数で割った金額のみを負担する権利です(民法456条・427条にて規定)。
そのため保証人が2人の場合は借金残高の1/2の負担、保証人が3人の場合は1/3の負担で良くなるため、保証人の人数が多いほど1人あたりの返済額は少なくて済みます。
連帯保証人には、分別の利益が適用されないため、借入先から借金残高の返済請求があった場合には全額を支払わなければなりません。
以上のとおり、連帯保証人は
①主債務者へ先に請求をして欲しいということも、②主債務者の財産を先に強制執行して欲しいということも、③自分以外の保証人と分担させて欲しいということもいずれもできない、とても強い義務を負うことになります。
2.借金の連帯保証人としての返済ができない場合の対処法
前章で借金の連帯保証人となった場合に生じる責任についてご説明しました。
連帯保証人は主債務者と同等の支払義務がありますが、借金残高や連帯保証人の財産状況によっては返済ができないこともあり得ます。
それでは連帯保証人として負った借金を返しきれない場合はどうすれば良いのでしょうか。
ここからは借金を返せない状況になった場合の対処法についてご説明します。
(1)保証債務を分割払いにできるよう交渉する
主債務者が借金を返済できなくなった場合には、連帯保証人に借金の残高が一括で請求されるのが一般的です。
ただし借入先によっては分割での支払いに応じてくれることもあります。
一括での返済が難しい場合には債権者に分割支払いが可能か交渉してみましょう。
(2)債務整理を検討する
分割払いに応じてもらえなかったり、抱えている借金が大きく分割でも毎月の返済が苦しい状況であれば、債務整理をすることで借金の減額や返済の免除を受けられます。
具体的な債務整理の手続は以下の三つです。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
ここからは上記三つの具体的な内容をご説明します。
#1:任意整理
任意整理とは借入先の金融機関・貸金業者と交渉して利息をカットしてもらった上で、3~5年かけて無理なく返済できるように計画を立て直す手続のことです。
任意整理をする債務は自分で選択することができるため、自宅や車のローンはそのままにして、連帯保証人としての借金のみを整理することもできます。
カットされるのは利息部分であるため大きな減額は期待できませんが、自分の財産(家・車・価値のある物など)を処分する必要がないため、債務整理の中ではハードルが低い手続と言えるでしょう。
#2:個人再生
個人再生とは抱えている全ての債務について支払能力がないことを裁判所に認めてもらうことで、借金の総額を5分の1(最大10分の1)程度に減額してもらう手続のことです。
減額された後の債務は継続して返済していく必要がありますが、マイホームを手元に残しておくこともできます。
ただし、資産が多ければ減額の割合が少なくなったりと、複雑な手続になっているため法律の専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
#3:自己破産
自己破産とは抱えている全ての債務について支払能力がないことを裁判所に認めてもらい、必要最低限以外の財産を換価処分した上で残りの借金の返済を免除してもらう手続のことです。
巨額の借金を抱えてしまっても支払い免除を受けられるのがメリットですが、借金の理由(ギャンブルや浪費など)によっては認められなかったり、手続中は一部の職業に就けなくなるなどのデメリットも存在します。
自己破産はあくまで個人的な債務整理であるため家族や親族に影響は及びませんが、身内の方が保証人を担っている場合は借金の返済義務がその方に移ってしまうので注意しましょう。
まとめ
この記事では借金の連帯保証人になった場合に生じる責任と、連帯保証の債務が返せない時の対応策についてご説明しました。
借金の連帯保証人になってしまうと、何らかの理由で主債務者が返済できなくなった際に、借金の残高を支払う義務が発生します。
連帯保証による借金は残高を一括で請求されるのが一般的であり、連帯保証人の生活を一変させてしまう可能性もあるのです。
そのリスクを回避するためには連帯保証人にならないことが確実ですが、すでに連帯保証の借金を背負い生活が困窮している場合には債務整理を検討してみてください。
なお債務整理は三つの手続があり、どの方法も法律の専門知識がなければスムーズに解決ができないため、法律の専門家である弁護士に相談するのが良いでしょう。
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