フランチャイズの会計システム
1.独立した経営主体
加盟店は、本部とは独立した単独の経営主体ですから、加盟店の事業会計についても、本部とは独立して独自に管理、運営するのが原則です。
もっとも、フランチャイズ・システムの多くのケースで、本部が加盟店の事業に関する会計管理に何かしらの関与をしています。
フランチャイズ契約書において、帳簿の作成が義務付けられ、本部がいつでもこの報告を求めることができるようにされていることも多くあります。
2.本部が加盟店の会計管理に関与する理由
本部が加盟店の会計管理に関与する理由として、以下のような点が挙げられます。
(1)加盟店側の会計に関する知識、経験を補うため
フランチャイズ・システムは、経営の知識や経験の浅い人でも、本部のノウハウを利用して経営できるように生み出されたものです。
したがって、経営、会計について、本部の指導や援助を必要とする加盟店が多くいることが想定されます。
このような加盟店にとっては、会計管理について本部からある程度関与を受け、その指導や援助し、経営を成り立たせる必要があります。
(2)本部側の受け取るロイヤリティの計算をするため
フランチャイズ・システムでは、加盟店が本部のノウハウを利用する対価として本部にロイヤリティを支払う必要があります。
ロイヤリティの計算方法には様々ありますが、例えば、売上高や利益を基礎として、その割合をロイヤリティとして設定することもあります。
そうすると、本部側としては、ロイヤリティを計算するために、加盟店の売上高や利益を正確に把握する必要があります。
(3)オープンアカウント方式が採られている場合
オープンアカウントとは、一定期間に発生する、本部の加盟店に対する債権と、加盟店の本部に対する債権を一括して差引計算する会計システムをいいます(詳しくは↓下記で説明します。)。
このような差引計算をするためには、加盟店の売上高や経費等の勘定を把握する必要があります。
3.オープンアカウント方式
オープンアカウント方式は、一定期間に発生する本部と加盟店との間の債権債務関係を一括して差引計算をし、余剰が発生した場合にこれが加盟店に支払われる会計システムをいいます。
例えば、本部の加盟店に対する債権としては、加盟店の代わりに本部が支払った商品の仕入代金やロイヤリティ等があり、他方、加盟店の本部に対する債権としては、売上高や本来本部が支払うべきものの立替金があります。
これらを、一定の会計期間において一括して差引をし、加盟店の本部に対する債権の方が大きい場合にはその余剰を加盟店に支払い、本部の加盟店に対する債権の方が大きい(=赤字)の場合には、与信(本部に対する借入)として処理するというものです。
この与信に対しては利息が付くのが通常ですので、オープンアカウント方式を採用した場合に与信を受ける状態が継続すると、目に見えない利息の負担が増えて加盟店の経営を圧迫することもあるため、加盟店が経営不振に陥らないよう本部は加盟店に対する指導、援助をすべきといえます。
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