解決事例
Solution
認定等級と内容
・併合8級
9級16号
外貌に相当程度の醜状を残すもの
11級7号
脊柱に変形を残すもの
事例の概要と認定に至るまでの流れ
事故態様 同乗者
被害者(20代 男性)は車両の後部座席に乗車中、交通事故に巻き込まれました。
被害者は、この事故により外傷性くも膜下出血、前頭部挫創、環椎破裂骨折などの怪我を負いました。
被害者はこれらの怪我の治療のため、一年以上に及ぶ入通院を継続しましたが、怪我による瘢痕及び脊柱の変形が後遺症として残ったため、後遺障害等級の認定を受けたいと、当事務所にご相談にみえました。
当事務所で自賠責保険に後遺障害認定申請を行った結果、瘢痕については「外貌に相当程度の醜状を残すもの」として9級16号、変形障害については、「脊柱に変形を残すもの」として11級7号に該当すると判断され、併合8級が認定されました。
認定された等級を元に、交渉を重ね、合計3400万円の支払いを受ける内容で解決に至りました。
解決のポイント
本件のポイントとなったのは、逸失利益がいくらになるか、という点です。
「逸失利益」とは、将来にわたって発生する損害に対する賠償のことをいい、認定された後遺障害等級に応じた労働能力喪失率と、その喪失期間に応じて算定されます。
複数の後遺障害等級が認められた場合に問題となるのは、残っている症状のうち、被害者の労働能力に影響するのはどういう症状で、それが後遺障害等級でいうと何等級にあたるのか、という点です。
本件で認定された後遺障害は、醜状障害の9級と変形障害の11級の2つでした。
裁判上、相手方の代理人からは、逸失利益の計算方法について、醜状障害は労働能力への影響はなく、変形障害は、痛みが生じているのみであるとの見解を相手方保険会社の顧問医が示していることを理由として、低い労働能力喪失率で計算するべきだとの主張がありました。
これに対し、当事務所の弁護士は、被害者に生じている痛みは骨の不完全癒合によるもので、骨同士の接触により将来的には痛みが憎悪する可能性があること等から自賠責保険が認定した等級に応じた労働能力喪失率で計算しなければならないことを主張立証しました。
裁判所が当事務所の弁護士の主張を採用した和解案を示したことから、さらにこの提案を元に交渉を重ね、和解に至りました。
また、本件では被害者が乗車していた車両に付帯する人身傷害保険も、相手方代理人の主張と同様の逸失利益の計算方法を採用していたものの、本件の和解によってその計算方法が覆り、人身傷害保険の保険金についても増額を図ることができました。
逸失利益の賠償は、交通事故により被害者の今後長期間に亘って影響を与える後遺症に対する大切な補償になります。
そして逸失利益の交渉は、被害者に生じている後遺症が将来的にどのような状態になるのかを医学的に立証しなければなりません。
医師の回答や医療記録等をひとつひとつ丁寧に精査していくことが、賠償額の大きな違いに結びつきます。
当事務所の弁護士は、こうした地道な努力の積み重ねが、被害者の将来の安心へと繋がることを願い、日々執務に励んでいます。