交通事故に遭い、圧迫骨折と診断された場合はどうすればいいのか?

1.圧迫骨折とは?

ひとくちに骨折と言っても、剥離骨折、転移骨折、粉砕骨折などなど、折れ方は様々です。

通常骨折は「癒合」、つまりくっついてしまえば、骨折自体は治ったことになります。

しかし、治らないタイプの骨折もあるのです。

それが圧迫骨折です。

重力のかかる方向に背骨がつぶれることから、その後骨の形が元に戻ることは基本的に考えられません。

治らないなんて、ショックかもしれませんが、治らないからこそできることがあります。

ずばり、後遺障害の認定を受けることです。

2.圧迫骨折は後遺障害等級に認定されるのか

圧迫骨折は、「脊柱に変形を残すもの」、つまり“背骨の形が変わってしまったもの“として後遺障害等級11級7号またはそれ以上の後遺障害等級の認定がされる可能性があります。

ただし、例えばお医者さんが「腰椎圧迫骨折ですね」というだけでは、後遺障害の認定はおりません。

圧迫骨折が11級として認められるためには、①圧迫骨折がレントゲン、CT画像またはMRI画像によって確認できること、②背骨を固定するためにプレートやスクリューといった金属を入れるなどの手術が行われたこと、または③3個以上の背骨(脊椎)について一定の手術が行われたことなどが必要です。

②や③は症状が重い方に行われる手術なので、圧迫骨折の中でも症状が軽めの方の場合は、①圧迫骨折がレントゲン、CT画像またはMRI画像によって確認できることがポイントとなります。

11級の認定がおりれば、後遺障害が残ってしまったことに対する慰謝料として420万円、加えて後遺障害が残ってしまったことによる将来の収入減少(逸失利益)として事故前の収入を基準として計算した金額が請求できます。

具体的には、11級の認定がおりると、まずは、自賠責保険から331万円(後遺障害慰謝料の一部と逸失利益の一部の合計)のお金がおります。

その後、この331万円では損害が埋まらない部分を、相手方や相手方保険会社に請求していくことになります。

3.逸失利益はどうなるのか

ここで、少し問題となるのが、「逸失利益」です。

腰椎の圧迫骨折は、ムチウチなどと違い、画像にはっきりと異常が見て取れることから、後遺障害がとりやすいお怪我といえます。

そして11級の逸失利益は、基本的に将来に渡って20%の労働能力が制限されると考えられています。

ムチウチで後遺障害が認められた場合の14級(5%)や12級(14%)と比べても高い逸失利益が認められるということになります。

しかし、裁判をした場合に、すべての腰椎圧迫骨折の事案で、労働能力制限率20%で逸失利益が認められるとは限らないのです。

というのも、腰椎圧迫骨折に11級という高い等級が認められているのは、背骨が変形してしまうことで、身体を支えるという背骨の大切な機能が害されるとともに、身体を動かしにくくなったり、痛みが出たりすることで労働能力に大きな影響が出てしまうからです。

そうすると、変形自体が認められて11級の認定がされたとしても、圧迫骨折としては変形の程度が小さくて身体を支える機能にあまり影響がなかったり、身体を動かすこと自体には問題がなく、痛みも時々であったりと、具体的な症状等をみて、20%よりも低い労働能力制限率が相当と認められるケースがあるのです。

したがって、圧迫骨折だからといって、自動的に20%の労働能力喪失が認められるわけではありません。

まとめ

まとめると、圧迫骨折の場合に適切な賠償をとるためには、①まずは圧迫骨折をしっかり見つけること、②次に圧迫骨折があるのであればしっかり後遺障害認定をとること、③そして逸失利益を含め損害賠償金をしっかり請求するため主張立証していくことが大切になります。

まず、腰椎圧迫骨折は、初診の病院でとったレントゲンで必ず見つかるというものでもありません。

「腰の痛みがとれない」「足のしびれが治らない」ということで、他の病院でしっかりと画像検査を受けて分かることもあるのです。

痛みやしびれなど、事故前は無かった症状に悩まされている場合には「画像を撮って原因を知りたい」とお医者さんに相談してみたほうがいいですね。

次に、後遺障害認定を得るためには、後遺障害申請手続をしなければなりません。

後遺障害申請手続では、必要となる書類や資料、画像など集めなければならないものが多く、お怪我をされた被害者の方がお一人で全てやるのはとても大変です。

当事務所にご依頼いただいた場合は、その大部分を代わりに収集することができますので、ご負担がかなり軽くなることと思います。

そして、後遺障害認定を受けただけで自賠責から自動的に支払われる金額だけでは、お客様の損害を埋めるには到底足りません。

適正な賠償を得るためには、後遺障害認定を受けた上で、しっかりと主張立証していくことがとても大切なのです

主張立証は弁護士の得意分野です。

法律上、お客様が受け取るべき金額を勝ち取るために、力を尽くすことをお約束いたします。

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