交通事故の損害を“証明”するためには、どんな資料が必要になるのか?

「交通事故で被った損害は、全部加害者に償ってほしい!」

突然交通事故に見舞われた被害者の方の多くが、このように思われることでしょう。

しかし、損害賠償は法律のお話です。

法律上請求できる損害でなければ、そもそも加害者に償わせることはできません。

そして、加害者に“強制的に”償わせるためには、裁判で認めてもらわなければならないのです。

つまり、簡単に言ってしまえば、裁判で認められる損害 = 加害者に償わせることができる損害ということになります。

では法律上請求できる損害”、“裁判で認められる損害とは何でしょう。

まず、交通事故で身体が傷ついた場合には、以下の各項目が法律上請求できる損害となります。

1.法律上、請求できる損害とは?

そして、以上の項目に当てはまっても、“裁判で認められる損害”でなければ、加害者に強制的に償わせることはできません。

“裁判で認められる損害”とは、つまり“証明できる損害”です。

その“証明”は、以下のような資料ですることになります。

(1)お怪我をした場合

・治療費
・通院交通費
・休業損害
・傷害慰謝料

治療費 診断書、診療報酬明細書、施術証明書・施術費明細書、領収証…
通院交通費 通院交通費明細書(ご自分で作成するもの)、領収証(特にタクシー)、ルート地図…
休業損害 休業損害証明書(勤務先に作成してもらうもの)、源泉徴収票、課税証明書、確定申告書…
傷害慰謝料 診断書、診療報酬明細書、施術証明書・施術費明細書、領収証…

(2)後遺障害が残ってしまった場合

・後遺症慰謝料
・逸失利益

後遺症慰謝料 後遺障害認定票、後遺障害診断書…
逸失利益 源泉徴収票、課税証明書、確定申告書…

(3)死亡事故の場合

・葬儀費
・死亡本人の慰謝料
・遺族の慰謝料
・逸失利益

葬儀費 領収証、見積書…
死亡本人の慰謝料 戸籍謄本…
遺族の慰謝料 戸籍謄本、住民票…
逸失利益 源泉徴収票、課税証明書、確定申告書…

以上の“証明”資料の中で、よく盲点となるのが「タクシー代の領収証」、「個人事業主の方の確定申告書」です。

交通費でも、バスや電車など一定区間で料金が決まっているものであれば、毎回の領収証がなくても裁判で認められることも多いのですが、タクシー代は、領収証がなければ基本的には認められません。

また、個人事業主の方で、「確定申告をしていなかった」場合や「過少申告していた」場合には、適正な賠償は認められないことになってしまうのです。

もちろん、加害者が、損害を認め払ってくれる場合には、“証明”資料の準備は必要ありません。

ただ、加害者が、損害を争った場合に、“証明”資料の準備をしておけば、最終的には“裁判”という手段で、“強制的に”加害者に償わせることができるのです。

備えあれば憂い無しということですね。

まとめ

今回ご紹介した“証明”資料は、典型的なものです。

事案によっては、典型的なものだけでは“証明”できない場合、典型的なものがなくても他の資料で“証明”できる場合など様々です。

この損害は加害者に償わせることができるのか、償わせるためにはどういう資料が必要なのか、というお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所の弁護士にご相談ください。

それぞれの事案に応じた方法をご紹介いたします。

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