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FC本部のFC加盟店に対する損害賠償請求及び営業差止めを認めた事例(東京地方裁判所平成17年1月25日判決)

事案の概要

FC本部A(以下「本部A」といいます。)は、高齢者向けの弁当宅配事業のFCを展開しており、平成14年4月、Bと、契約終了後3年間の競業避止義務の定めがある弁当宅配事業のFC契約(以下「本件FC契約」といいます。)を締結しました。

平成15年9月及び同年11月に、本部Aは、Bに対し、Bが仕入保証金を支払わない債務不履行等があったことを理由に、本件FC契約を解除しました。

ところが、Bが、本件FC契約解除後も同一店舗において弁当宅配事業を継続していたことから、本部Aは、Bに対し、弁当宅配事業の営業差止め及び毎月発生しているロイヤリティ相当額等の損害賠償請求をしました。

※なお、本件事案は、FC本部のFC加盟店に対する損害賠償請求及び営業差止めのほか、FC本部からFC契約を中途解約することの有効性等も問題となっていますが、本記事では割愛します。

<本判決のポイント>

(1)本判決は、本件FC契約で定められた競業避止義務は、期間(契約終了後3年間)及び区域を限定し、競業を禁止する営業の種類を弁当宅配業と特定する内容であり、Bの営業の自由を不当に制限するものではないとして、競業避止義務の有効性を認めました。

(2)その上で、競業避止義務に基づき、Bの営業差止めを認めました。

(3)また、本部Aの損害額として、ロイヤリティ相当額の損害賠償を認めました。

まとめ

FC契約では、FC本部の有する経営に関するノウハウの保護や、FC本部の商圏・顧客を確保するため、競業避止義務の定めが設けられることが多いです。

また、競業避止義務に違反した場合に備えて、違約金の定めを設けるものも多いと思います(違約金の定めがある場合、FC本部側で、損害の費目や損害額の立証が不要となるというメリットがあります。)。

本判決では、競業避止義務の定めは存在していたものの、違約金の定めがなかった場合の損害の費目・損害額として、ロイヤリティ相当額が主張され、かつ、それが認められています。

FC加盟店による競業避止義務違反による損害の費目としては、ロイヤリティ相当額に限られるものではないと思いますが、本判決は、一つの事例として参考になると思います。

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