裁判例

Precedent

フランチャイズ
加盟金の不返還特約の有効性2(平成18年6月8日東京地裁判決)

事案の概要

X(加盟店)は、コーヒーショップのフランチャイズ展開していたY(本部)とフランチャイズ契約を締結した。

しかし、Xは、Yがフランチャイズ契約に基づいた情報提供義務、指導援助義務を履行しなかったために営業不振となり閉店に追い込まれたとして、加盟金(2店舗分1680万円)の返還を含め、損害賠償の支払いを求めた。

なお、XY間のフランチャイズ契約には、加盟金の不返還特約が定められていた。

<主な争点>

フランチャイズ契約における加盟金不返還特約の有効性

<結論>

加盟金不返還特約は有効(返還する必要はない)

<判決の内容>

(1)既出店の加盟金について
本件加盟金は、フランチャイジーとしてのフランチャイズ付与と加盟研修の対価としての性質を併せ持つものと解され、暴利行為であって公序良俗に反して無効なものとは認められない。

また、Xは、そのグループ企業と共に多角的に経営業務を行っていることにからすれば、Xも加盟金の不返還について十分に了解した上でフランチャイズ契約を締結したものと認められる。

(2)未出店の加盟金について
未出店分の加盟金については、本件加盟金がフランチャイズ付与と加盟研修の対価としての性質を有していることから、Xがフランチャイズ店を出店していないため、その対価性が問題となりうるが、YがXに対して加盟研修をしていること、また、Xに対して、1店舗分の出店枠の有効活用として別店舗の売却を申し出るなどしていることから、一応対価性を満たしている。

まとめ

本裁判例は、加盟店側が、本部側の経営指導等の義務違反を理由に、加盟金返還をも含めた損害賠償を請求した事案です。

裁判所は、そもそも本部側の経営指導等の義務違反を認めてはいませんが、加盟金不返還特約の有効性について特に取り上げて論じています。

加盟金不返還特約の有効性については、加盟金の対価性(趣旨)や締結過程、当事者の債務不履行の有無などを考慮用として実質的な審査をしていることが窺えます。

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