交通事故に遭った時の通院頻度の考え方と賠償額の算定方法について解説!
「交通事故に遭い怪我をしてしまったけど、いつまで病院に通院すればいいの?」
「通院中に保険会社から連絡が来た場合はどう対応すればいいのか?」
交通事故に遭った後の通院はご自身だけで症状を判断せず、医師と相談しながら通院を続ける必要があります。
しかし、通院途中に加害者側の保険会社から突然連絡が入り、治療費の支払いの打ち切りを一方的に告げられるなど、被害者の方が不利な状況に追い込まれてしまうことがあります。
この記事では交通事故に遭った際の通院頻度の考え方や、相手方に請求できる賠償額についてご説明します。
1.交通事故に遭ったら通院の頻度はどうすべきか?
交通事故に遭った時の通院頻度は、賠償を受けられる金額に関係します。
とはいえ毎日通えば賠償金額が上がるというものでもありません。
- 入通院の期間で賠償金額を計算する
- 通院頻度は医師の指示を仰いで決める
- 慰謝料の算定基準
以上についてご説明します。
(1)入通院の期間で賠償金額を計算する
交通事故に遭った際の入院頻度は、賠償金額のうち、傷害慰謝料の計算の基礎になります。
例えば自賠責保険の基準による慰謝料の金額は、事故から治療終了までの日数(通院期間)と実際に通院した日数の2倍の日数のどちらか少ない方で計算されます。
通院期間が90日だった場合に毎日通院したとき、計算の基礎となる日数は90日になります。
同じ場合で2日に1回通院すれば、実通院日数45日×2の90日が計算の基礎となりますので、毎日通院した場合と慰謝料の金額は同じになります。
つまり毎日通院したからといって、請求額が増える事にはならないのです。
(2)通院頻度は医師の指示を仰いで決める
交通事故に遭った場合の通院頻度は、医師の判断を仰いで決めてください。
医師が毎日様子を見たいと言っている間は、毎日通うべきでしょう。
怪我が回復してきて痛みを感じなくなったりしたとしても、ご自身で通院をやめる判断をせず、医師に確認すべきです。
ご自身で判断してしまうと、症状が悪化したり、想定外の症状が残ってしまったりするにとどまらず、さらにその賠償も受けられないという事態になりかねません。
そのため、症状の判断については医師の意見を聞くべきです。
(3)慰謝料の算定基準
傷害慰謝料の算定基準は3つあります。
- 自賠責保険基準
- 任意保険基準
- 裁判所基準
それぞれの計算方法について、詳細を説明します。
#1:自賠責保険基準
自賠責保険基準では、4,300円に基準となる通院日数をかけて計算します(2020年4月1日以降の事故の場合)。
- 治療期間の合計日数(通院期間)
- 実際に通院した日数の2倍の日数
以上のどちらか少ない方が、基準の通院日数になります。
例として通院期間が90日間で、実通院日数が60日だったとします。
- 通院期間…90日
- 実通院日数の2倍…120日
治療期間の合計日数の90日の方が少ないので、算定の基準は90日間となり、請求額は4,300円×90日=387,000円です。
自賠責保険基準で計算する場合は、治療期間の半分の日数通院していれば、最高額が請求できることになります。
#2:任意保険基準
任意保険基準の場合は、各保険会社によって計算の基準が違うため、金額は明らかにされていません。
平成11年までは旧任意保険基準が用いられており、定額で計算されていましたが、現在は保険会社、事案ごとに金額は大きく異なっているのが実情です。
#3:裁判所基準
裁判所基準では、入通院の期間を踏まえて計算されます。
症状別に算定基準表が作成されており、これに基づいて慰謝料の金額を算出します。
さらに長期にわたる場合も、算定基準表に沿って計算できます。
ご自身で裁判所基準で保険会社へ慰謝料の支払いを求めることもできますが、保険会社の基準より高額になるため、断られることが多いでしょう。
裁判所基準で慰謝料を請求したい場合は、弁護士に依頼するのがおすすめです。
2.交通事故の通院頻度の考え方
交通事故の通院頻度の考え方のポイントを解説します。
- 痛みや症状がある場合は我慢せず通院する
- 通院頻度が高すぎたり低すぎたりすると治療費打ち切りの理由になる
どの程度通院をすれば良いか分からないなど、疑問点が多数あると思います。
上記の二つの考え方を参考にしていただければと思います。
(1)痛みや症状がある場合は我慢せず通院する
交通事故にあって痛みや症状があるなら、我慢せずに通院をしてください。
毎日通院すれば賠償額が上がるわけではありませんが、症状が治癒しなければ、スムーズに日常生活へ戻れません。
慰謝料のことを考えても通院日数を抑える必要はありませんので、治療のために必要ならば可能な限り通院するようにしましょう。
(2)通院頻度が高すぎたり低すぎたりするリスク
交通事故に遭った際に過剰に通院したり、逆に頻度が低すぎると、治療費打ち切りの原因になります。
保険会社は120万円程度で治療費の打ち切りを打診してくる傾向にあるため、通院頻度が高すぎるとこれに達しやすいほか、治療の必要もないのに通院していると受けとられてしまう可能性もあります。
また、通院頻度が低いと症状が軽微であると判断されたり、通院期間が空いてしまうとその後の通院に事故との因果関係がないと判断されたりすることもあります。
通院頻度は多すぎても、少なすぎても不利になる可能性があることを覚えておきましょう。
3.交通事故による通院に関して請求可能な費用
交通事故による通院治療に関して加害者に請求できる費用についてご説明します。
- 積極損害
- 消極損害
以上について請求することができます。
(1)積極損害
積極損害とは、事故がなければ出費しなかったであろうと想定される費用です。
通院に関しては以下のような費用について加害者に請求することができます。
- 治療費
- 入院雑費・通院に必要な交通費・駐車場代等の雑費
- 通院中に必要な器具・用具の購入費
医師が治療に必要と判断したものに必要な費用であれば、積極損害として請求できる可能性が高いです。
(2)消極損害
消極損害とは、事故が発生しなければ本来被害者が得られた利益の喪失を補填するものです。
通院に関して発生するものとしては、休業損害が考えられます。
通院のために休業した場合は本来仕事に出ていれば得られるはずだった収入を請求できます。
有給休暇を利用した場合でも休業損害は請求できます。
まとめ
この記事では交通事故の通院の頻度の考え方や計算方法、賠償として請求できる費用について解説しました。
交通事故の被害に遭われた方は、まずは怪我の治療が最優先です。
医師と相談の上通院し、これを我慢することはありません。
慰謝料の金額は通院日数に基づいて算定されますが、通院日数が多ければ必ず高額になるというわけではありません。
どのくらいの頻度で通院したらいいのかなどについては、弁護士へのご相談をおすすめします。
また、裁判所基準で慰謝料を請求する場合には、弁護士へ依頼しないと認められる可能性が低いです。
アドバイスを受けながら通院をすることができ、裁判所基準での請求も認められやすくなりますので、交通事故の被害を受けた際には、早めの弁護士への相談、依頼をおすすめします。
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