自己破産をすると海外旅行は行けない?自己破産後に旅行をする際の注意点
「自己破産をすると、海外旅行に行けなくなるって本当?」
「自己破産をしたあと海外旅行に行けないのはどういうとき?」
自己破産をすると海外旅行に行けなくなると聞いたことはないでしょうか。
実際は、自己破産をしたとしても海外旅行にまったく行けなくなることはありません。
ただし、場合によっては自己破産の手続中には海外旅行に行かない方がよいと考えられたり、海外旅行に行く際にさまざまな不便が生じたりすることがあります。
この記事では、自己破産の手続中、どのようなときに海外旅行への制限がかかるのか、また自己破産後に海外旅行をする際の注意点をご紹介します。
1.自己破産における海外旅行について
自己破産をしたことで海外旅行に行けなくなることはありませんが、場合によっては海外旅行への制限がかかる場合があります。
順に詳しくご説明します。
(1)自己破産手続前(申立て準備期間)
自己破産の手続前であれば、海外旅行に行くことを法的に制限されることはありません。
ただし、自己破産の申立て時には家計収支表の提出を求められるため、直近数か月の収支は裁判所に知られることになります。
海外旅行のための出費が大きな金額となっていると、浪費に当たるとして免責不許可事由があると判断されたり、そもそも十分な収入があって支払不能に当たらないとして破産開始決定がされなかったりする可能性もあります。
破産の申立てを考えている人が高額な支出を伴う海外旅行をすることは、その後の破産手続に悪影響を与えかねない行為です。
高額の支出については控えた方がよいことになりますので、出張などによって海外に行かなければならないなどやむを得ない場合を除いては、海外への旅行は避けた方がよいでしょう。
(2)自己破産手続中
自己破産の申立てを行い、破産手続が継続している間、申立人は自由に転居することができなくなります。
ところで、自己破産の申立て後、必ず破産の手続が行われるわけではありません。
自己破産の手続は、大きく分けて同時廃止事件と管財事件の二つがあります。この二つの違いは、破産管財人がつくかどうかにあります。
申立て書類の記載等から、申立人に財産があり債権者への配当が必要と判断された場合、または申立人に免責不許可事由に該当すると考えられる事情があり免責許可について調査が必要な場合、財産の換価処分や免責不許可事由の調査のために破産管財人がつくこととなり、それらの業務を行っている間、破産手続が継続することになります。
管財人がつく事件ですのでこれを「管財事件」といいます。
一方、財産の処分も免責不許可事由の調査も必要ない場合、破産管財人がつくことはなく、破産開始決定と同時に手続は終了します。
手続の終了を廃止といい、開始と同時に廃止になることから「同時廃止事件」と呼ばれるのです。
同時廃止事件の場合には破産手続は行われることなく終了してしまいますので、破産手続が行われるのは管財事件の場合、ということになります。
管財事件の場合、つまり破産手続が行われる場合、手続の期間中、転居、2泊以上の宿泊を伴う出張や旅行、海外への出張や旅行については、裁判所の許可を得ることが必要になります(破産法37条1項)。
その意味で、海外旅行を自由に行うことはできない、ということです。
しかし、手続期間中であっても申立てによって裁判所の許可を得られれば転居や海外旅行などを行うことはできます。
無許可での転居は破産手続への協力拒否とされ、免責不許可事由とされたり、刑罰を科されたりする可能性のある行為になりますので、転居、旅行の際には必ず弁護士に相談し、裁判所の許可を得るようにしてください。
同時廃止事件の場合、そもそも破産手続が行われませんので、裁判所の許可を得ることなく、転居、旅行などを行うことができます。
(3)自己破産手続終了後
管財事件の場合でも、債権者への配当の終了、免責不許可事由の調査終了により、破産手続は廃止または終了します。
転居等の制限は、破産手続の進行中のものですので、手続終了後は、自由に海外旅行をすることができるようになります。
管財事件の場合、手続が終了するまで通常は3か月から6か月ほどの時間がかかりますが、その後は海外旅行についても自由に行うことができます。
ただし、自己破産後は新たな借入れやクレジットカードの利用ができなくなります。
そのため、過剰な支出をすると生活に対して大きな影響を与えてしまいます。
法律上は自由ですが、破産後の生活のことを考えると、海外旅行は控えるべきでしょう。
2.自己破産後の海外旅行時の注意点3選
前記のように、破産手続中の裁判所の許可、破産手続の終了により、海外旅行をすること自体は可能です。
自己破産中または自己破産後の海外旅行について、知っておきたいことを以下、ご紹介します。
(1)浪費に気をつける
海外旅行の際は、浪費に注意しましょう。
特に、自己破産手続終了後には自由に海外旅行ができますが、海外旅行の支出が大きくなりすぎると、生活のための費用が足りないという事態になりかねません。
自己破産はもともと生活の再建のために行う手続です。
せっかく免責許可決定を受けたのであれば、その後の生活では浪費をすることなく、支出をしっかり管理して生活の再建を目指すことを第一に考えるべきでしょう。
また、自己破産中の海外旅行の場合も、浪費を疑われるような過大な支出をしてしまうと免責不許可事由があると判断されてしまうこともあります。
自己破産前でも同様です。
したがって、自己破産の前後を通して海外旅行は慎んだ方がよいですし、少なくとも過剰な支出はしないようにすべきです。
(2)クレジットカードの利用ができない
自己破産の手続をした後は、新たなクレジットカードの利用契約ができなくなります。
また、それまでに使っていたクレジットカードについて、未払いがなくともいずれ使うことができなくなります。
自己破産の手続を行ったことや手続前に債務の返済を延滞した事実は、事故情報として信用情報機関に登録され(いわゆる「ブラックリスト入り」)、カード利用申込み時や、契約中に行われる与信審査に通らなくなるからです。
事故情報は、遅くとも手続開始決定日から10年の経過により、信用情報機関から削除されます。
しかし、これは裏を返せば事故情報が削除されるまでは、クレジットカードを利用することはできない、ということになります。
海外旅行時の決済手段として用いられることの多いクレジットカードですが、自己破産の手続をするとその利用ができなくなりますので。代替の支払手段を考えておく必要があります。
詳しくは、自己破産後のクレジットカード利用に関する記事をご参照ください。
(3)パスポートへの影響はない
自己破産の手続中、手続後もパスポートの新規申請、切替申請等を行うのに制限はありません。
また、既に持っているパスポートが失効したり、自己破産の記録がパスポートに記載されたりすることも、出入国審査の際に自己破産に関する質問がされることもありません。
まとめ
自己破産の申立て後であっても、海外旅行をすることは可能です。
しかし、手続に悪影響を及ぼす可能性がありますので、海外旅行をするかどうかのは慎重になるべきです。
破産の申立て準備中や申立て後に海外旅行に行く必要が生じた場合には、ご依頼済みの弁護士にご相談の上、十分に検討することをおすすめいたします。
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