交通事故の入院雑費は加害者に請求できる?入院雑費の主な内容について
「交通事故の入院雑費も加害者に請求できるのか」
「どんな支出が入院雑費に該当するのか」
交通事故の被害に遭った方の中には、どんな費用が入院雑費に含まれて、加害者側に対して請求できるのか気になっている方もいるかと思います。
怪我の治療のために入院が必要となった場合、治療費のほかにも様々な費用がかかります。
入院雑費とは、入院に関して必要となる諸々の費用のことをいい、これは交通事故に遭わなければ支出する必要がなかった費用であることから、加害者側に請求し、その費用の補償を受けることができます。
また、入院や通院によって必要となる費用は様々なものがあります。
これらについても、必要性を証明することができれば、加害者側に請求し、その費用の補填を受けることが可能です。
本記事では、入院雑費や入通院に必要な費用について詳しくご紹介します。
1.交通事故の入院雑費は加害者に請求できるのか
結論から述べると、交通事故の入院雑費は加害者に対して請求することができます。
入院雑費は、怪我の治療のために入院したことによって生じた物品の購入費用などを指します。
具体的には、入院に際して必要な衣類や日用品の購入費用などがこれにあたります。
これらの費用は、交通事故を原因とする怪我がなければ、支出の必要がなかったものといえることから、交通事故によって生じた費用として加害者に請求することができます。
入院雑費は、領収書をもとに金額の算定が可能であるため、本来であれば全ての領収書を保険会社に提出してかかった実費を請求することになるように思えますが、そのような緻密な作業をするのは大変ですし、実益が乏しいです。
このように、上記の手間と実益の問題に加え、入院時の雑費は入院すれば必ず必要となる費用で、人によって金額に差が出にくい傾向にありますから、実費で計算をせず、入院1日当たり〇円と定型化して計算されるのが一般的となっています。
入院雑費の算定基準には、自賠責基準と裁判所(弁護士)基準があり、自賠責基準の場合には、入院日数×1,100円、裁判所基準の場合には入院日数×1,500円で計算されることになります。
2.入通院に伴う主な費用
入院雑費とは、交通事故の被害者が怪我の治療で入院している際に発生する治療費以外の費用のことです。
また、怪我の状態によっては入院期間が終了した後にも通院しながら治療を継続する必要がありますが、通院に要した交通費等が発生することがあります。
示談交渉では、入院中に生じた費用はもちろん、通院によって生じた費用についても加害者側に請求し、受け取ることが可能です。
具体的には、以下のような費用について請求し、受け取ることができます。
- 入院雑費
- 通院交通費
- 入通院付添看護費
順にご説明します。
(1)入院雑費
入院雑費とは、厳密にいうと入院中に支出することが想定される費用全般のことです。
たとえば、以下のような費用が該当します。
- 日用品雑貨費(衣類、寝具、洗面用具、紙おむつ、食器、チリ紙等)
- 栄養補給費(栄養剤、栄養補助食品、乳製品等)
- 通信費(電話代、切手代等)
- 文化費(新聞雑誌代、ラジオ・テレビ賃借料等)
入院生活において必要と判断される支出が入院雑費として認められることが多く、金額もそれほど大きくないことがほとんどです。
そのため、これらの費用を個別に立証することは煩雑であり、1日あたりの金額が定額で定められています。
もっとも、算定基準によって金額に差があり、自賠責基準では1日あたり1,100円、裁判所基準では1日あたり1,500円となっていることには注意が必要です。
なお、請求にあたっては、領収書による金額の証明は要しません。
これは、上記で述べたような個別の立証の煩雑さや実益の乏しさなどを理由としているからです。
基準となる金額を超えて支出をした場合には、その必要性を証明することができれば別途請求できる可能性はありますが、通常はその必要性が認められることは稀です。
(2)通院交通費
通院交通費は、通院をするために発生する諸費用のことです。
症状などにより、タクシー利用が相当とされる場合以外は、電車・バスの料金となり、自家用車を利用した場合にはガソリン代、駐車代などが認められます。
なお、看護のための近親者の交通費も被害者本人の損害として認められます。
たとえば、家族が通院のために支出した交通費などがこれに該当します。
通院交通費は入院雑費とは異なり、1日あたり〇円という基準が定められていません。
そのため、支出した分の領収書を提示することによって加害者に請求することが一般的です。
なお、通院に際してタクシーを利用した場合には、その実費が支払われるかどうかは被害者の怪我の程度や生活環境などの事情によって判断されます。
たとえば、怪我の程度が軽微であり、通院をするために適当な公共交通機関があるにも関わらずタクシーを利用した場合などには、タクシー料金の支払いを受けることはできません。
このように、支出した費用の領収書などがあったとしても、通院交通費として認められるためには、必要性や相当性が求められることに注意が必要です。
(3)付添看護費
付添看護費は、交通事故の受傷で被害者が入院や通院をする際の看護や介助にかかる費用のことです。
看護や介助にかかる全ての費用が該当するわけではなく、原則として医師の指示のもとで行われる看護や介助が対象となります。
ただし、医師の指示がない場合でも、症状が重篤である場合や上肢・下肢の受傷により身体の自由がきかないなど、客観的に付添の必要性が認められる場合は認められることが多いです。
付添看護費の種類として、「入院付添費」「通院付添被費」「自宅付添費」「将来看護費」の4つに分類することができます。
なお「将来看護費」については、将来発生する費用として別途後述します。
入院付添費は、入院中の付添の必要性がある場合に相当な限度で認められており、自賠責基準では1日あたり4,200円、裁判所(弁護士)基準では1日あたり6,500円が認められています。
また、通院付添費は、入院付添費と同様に、被害者の症状や年齢等により、近親者の通院付添の必要性がある場合に、自賠責基準で1日あたり2,100円、裁判所(弁護士)基準では1日あたり3,300円が認められています。
自宅付添費は、退院後、症状固定までの自宅療養中に、身の回りの世話、介助、声かけなど日常生活上介護を受ける必要があるような場合に認められています。
自宅付添費については、入院の場合と比較して負担が少なかったり、拘束時間が短いような場合に、事案に応じて入院付添費の範囲内で算定することになると考えられています。
なお、自宅付添費の金額は入院付添費よりも低額になることが多いです。
3.将来発生する雑費について
交通事故の被害者は、重度後遺障害により症状固定後も付添介護が必要な場合、その後遺障害の内容や程度、介護の負担などに応じて将来の付添費用が認められる可能性があります。
将来の雑費が請求できるケースは稀ですが、具体的には、後遺障害等級1級や2級に認定された重篤な後遺障害の場合のほか、医師が必要性について意見書や診断書を作成している場合などです。
このようなケースにおいて、客観的に将来雑費代として支出する可能性が高いと認められるときに限って、加害者側に請求することが可能です。
なお、将来の雑費の計算方法は以下のように定められています。
- 年間の基準額(日額×365日)×平均余命に対応するライプニッツ係数
平均余命に対応するライプニッツ係数に関しては、国土交通省が公表しています。
なお、職業付添人は実費全額が、近親者付添人は日額8000円が1日の基準額となります。
まとめ
本記事では、交通事故の入院雑費や通院に要する費用などについて解説しました。
交通事故の被害者は、加害者側に対して入院雑費などの入通院に必要な費用を請求し、これについて補填を受けることができます。
たとえば、日用雑貨費や通信費などの入院雑費、付添看護費は、各算定基準に基づいて算定することが可能です。
もっとも、費用項目によっては個別に実費を証明する必要があるものもあり、加害者側に支払ってもらうためには支出の必要性・相当性を立証することを要するケースもあります。
特に保険会社との示談交渉では難航することも多いため、適正な金額を受け取るためには弁護士に相談することが重要です。
弁護士に相談し、交渉を依頼することで、入院雑費なども裁判所(弁護士)基準で算定された金額を請求できるため、賠償金等の請求を考えている方は、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士法人みずきでは、交通事故に関する相談を無料で受け付けておりますので、入院雑費などの賠償金に関するお悩みをお持ちの方はお気軽にご相談ください。
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