休業損害の打ち切りを打診されたときにすべき対応とは?弁護士に相談するメリット

執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

法律は堅苦しいという印象はあるかと思います。しかし、そんなイメージに阻まれて、皆さんの問題や不安が解決されないのは残念でなりません。
私は、そんな法律の世界と皆さんを、柔和に橋渡ししたいと思っています。問題解決の第一歩は、相談から始まります。
皆様が勇気を振り絞ってご相談をしていただければ、後は私どもが皆様の緊張や不安を解消できるよう対応し、法的側面からのサポートができればと思います。敷居はバリアフリーです。あなたの不安を解消するために全力でサポート致します。

「休業損害の支払対応の打ち切りを打診されたらどうしたらいいのか」
「休業損害を打ち切られるのはどういったときなのか」

交通事故の被害に遭って加害者側の保険会社から休業損害の支払いを受けている方の中には、突如休業損害の打ち切りを打診されて困っている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、休業損害を打ち切られるタイミングや打ち切りを打診されたときにすべきことについてご紹介します。

1.休業損害を打ち切られるタイミング

休業損害とは、完治または症状固定に至るまでの期間において、事故による怪我を原因として仕事を休んだ場合に受け取ることができる補償のことです。

そのため、休業損害を受け取ることができる期間は、怪我の程度や状態、仕事の内容などによって異なります。

法律上、原則として賠償金は治療終了後の示談の際にまとめて払うこととなりますが、怪我によって収入が減ってしまう場合には、賠償を受けるまでの生活に支障が生じかねません。

そこで、加害者側の保険会社は、示談に先立って休業損害を補償してくれることが多いです。

これを「内払い」といいます。

この内払いという対応は、法的にその時点での支払いを強制することができるものではないため、休業損害の発生や内払いをする必要性に疑いが生じると打ち切られることとなります。

一般的には、以下のタイミングで支払対応の打ち切りを打診される場合が多いです。

休業損害の支払対応を打ち切られるタイミング

  1. 就業可能と判断されたとき
  2. 症状固定に至ったとき
  3. 就業不能が別の理由によるものであると判断されたとき

具体的にどのような状況か順にご紹介します。

なお、休業損害の概要や具体的な計算方法については、以下の記事が参考になります。

2021.12.31

交通事故による休業損害とは?計算方法と注意点を解説

(1)就業可能と判断されたとき

休業損害が認められるためには、休業の必要性と相当性が要件となります。

つまり、事故による怪我のために、仕事をすることができないという状況が必要です。

この必要性は、単に被害者本人が「痛いからできない」というだけではなかなか認められず、医師の判断が重要な意味を持ちます。

そのため、治療を担当した医師が業務復帰可能と診断すると、休業の必要性がないものと判断されかねません。

もっとも、医師は必ずしも患者の具体的な仕事内容を把握しているわけではありません。

同じ状況であったとしても、デスクワーカーと建設現場の職人では休業の必要性判断は異なります。

できる限り具体的に仕事内容を医師に伝えたうえで、意見をもらうようにしましょう。

(2)症状固定に至ったとき

原則として、損害賠償の対象となるのは症状固定までの期間です。

症状固定とは、治療を一定期間継続した後に症状が一進一退となり、これ以上治療を継続しても改善が見込めない状態のことです。

治療の終了をもって賠償期間の終了となるため、休業補償もそこまでとなります。

それ以後については、後遺障害認定を受けることができれば、逸失利益という形で賠償を受けることができるようになります。

症状固定の意義については、以下の記事でも解説しています。

2024.03.28

症状固定とは何?重要性やその後の流れについてご説明します

(3)就業不能が別の理由によるものであると判断されたとき

交通事故の賠償として認められるのは、あくまで交通事故と因果関係がある損害に限られます。

そのため、交通事故とは関係のない別の原因によって休業をしている場合には、休業補償を受けることはできません。

例えば、もともと持病があって仕事を休んでいるような場合や、事故と関係のない事情で精神的な傷病を発症したような場合は、事故による賠償が止まる可能性があります。

2.休業損害の打ち切りを打診されたときにすべきこと

相手方保険会社から休業損害の打ち切りを打診されたときにすべきことがいくつかあります。

特に押さえておくべきことは以下の3つです。

休業損害の打ち切りを打診された際にすべきこと

  1. 勝手に承諾せずに医師に相談する
  2. 医師の診断書・意見書を提出する
  3. 弁護士に相談する

順にご紹介します。

(1)すぐに承諾せずに医師に相談する

休業損害の打ち切りを打診されたら、まずは医師に相談しましょう。

医学的に禁忌とされる動作は何なのか、どのくらいの業務なら復帰してもいいのか等、休業の必要性について具体的に確認していくことが大切です。

仮に、無理に業務に復帰した結果症状が悪化してしまっても、相手方は責任を負わない可能性もあります。

ですので、まずは医学的に何ができて何ができないのかという点をしっかりと医師から確認することが大切です。

(2)医師の診断書・意見書を提出する

上記の結果、まだ休業が必要である状況の場合には、医師に診断書や意見書を書いてもらい、これを提出しましょう。

医師がまだ休業が必要と判断していたとしても、加害者側の保険会社は証拠がないと対応しないということも珍しくありません。

そのため、しっかりと診断書や意見書を作成してもらっておくことが大切になります。

(3)弁護士に相談する

保険会社を相手に交渉するのが難しいと思った方は、弁護士に相談しましょう。

交通事故に精通した弁護士に相談することで、専門知識や豊富な実務経験に基づいた適切な対処法についてアドバイスやサポートを受けることができます。

経験豊富な弁護士は、保険会社を説得するために必要な要素を熟知しているので、休業損害の打ち切りに対しても効果的に対処や交渉を行うことが可能です。

医師に相談するタイミングで、弁護士にも相談してみましょう。

3.弁護士に相談するメリット

弁護士に相談することでいくつかのメリットがあります。

主なメリットは以下の3つです。

弁護士に相談するメリット

  1. 休業継続の必要性を示す資料作成や収集のサポートを受けられる
  2. 保険会社との示談交渉を依頼できる
  3. 賠償金の増額が期待できる

順にご紹介します。

(1)休業継続の必要性を示す資料作成や収集のサポートを受けられる

弁護士に相談することで、休業継続の必要性を示す資料の作成や収集のサポートを受けられます。

特に保険会社を説得するためには、医学的根拠をもとに休業が必要であることを主張しなければなりません。

弁護士はどのような資料があれば保険会社を説得できるのか把握しているので、スムーズに交渉の準備を進められます。

(2)保険会社との示談交渉を依頼できる

保険会社との示談交渉を依頼できる点もメリットです。

保険会社とは休業損害の打ち切りだけでなく、治療終了後の賠償金に関する示談交渉もしなければなりません。

専門知識や経験がなければ、交渉のプロである保険会社と交渉を行っても、知らず知らずのうちに不利な内容で示談の合意をしてしまうリスクがあります。

この点、弁護士は交渉の専門家であり、交通事故対応に精通している弁護士であれば、示談交渉の経験も豊富です。

弁護士であれば、被害者が有利になるように治療に関する資料や事故の状況証拠等を踏まえて的確に主張できるため、保険会社の主張に対して効果的に反論することができます。

(3)賠償金の増額が期待できる

弁護士が示談交渉を行うことで、賠償金の増額が期待できます。

保険会社との示談交渉では、慰謝料は自賠責基準、もしくは任意保険基準で算定されますが、弁護士が交渉を行うことで裁判所(弁護士)基準で慰謝料金額を算定・請求することが可能です。

裁判所(弁護士)基準は過去の判例をもとにした賠償金の相場であり、他の算定基準よりも高額に設定されています。

もっとも、被害者がご自身で裁判所(弁護士)基準を用いて交渉を行っても、保険会社はこれに応じることはありません。

弁護士に示談交渉を依頼することで、裁判所(弁護士)基準を用いた交渉が可能となり、適切かつ高額の示談金を受け取ることができます。

怪我の内容次第では数百万円も受け取れる金額に差が出るため、少しでも多くの慰謝料を請求したい場合は弁護士に示談交渉を依頼しましょう。

まとめ

交通事故による怪我の治療を続けているときに、保険会社から突如休業損害の支払対応の打ち切りを打診される場合があります。

医学的に休業が必要な状況にあるのかという点が大切になりますので、まずは担当医に相談してみましょう。

医師が休業の必要性があると判断すれば、医師に保険会社を説得するための資料の作成を依頼してみましょう。

もっとも、保険会社との交渉は困難が伴う場合もあるため、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士に相談すれば示談交渉を依頼し、賠償金の増額も期待できます。

弁護士法人みずきでは、交通事故に関する相談を無料で受け付けておりますので、休業損害の打ち切りを打診されて困っている方はお気軽にご相談ください。

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執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

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